expression

マーケティングに役立つ心理効果の第三弾です。
今回はちょっとした表現方法の違いで、他人に与える印象が大きく変わってしまう事例をご紹介します。
表現方法で損をしないためにも、心理学で解説されている代表的な効果を抑えて、経営に活かしていきましょう。

【VOL122】中小企業の経営に最低限必要なマーケティングの基礎

【VOL123】マーケティングを最大限に活かすための消費者心理の基礎と代表例5つ

【VOL124】マーケティングより大切なビジネスモデルの作り方

【VOL135】マーケティングに役立つ心理効果〜印象編5選〜

【VOL136】マーケティングに役立つ心理効果〜特別感4選〜

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【VOL1】起業したら真っ先に見るべき会計の3つの数字

からお読み頂くことをお勧めします。

今回は『マーケティングに役立つ心理効果〜表現方法5選〜』です。(編集前のメルマガは2017年1月4日(水)に配信されています)

カリギュラ効果

禁止されるほどやりたくなってしまう人の心理効果をカリギュラ効果と呼びます。

カリギュラ効果の語源

カリギュラとは、ローマ帝国の皇帝カリグラを主役にした映画のタイトルです。
この映画が過激な内容だったため、アメリカのボストンでは公開禁止になりました。
ところが、公開禁止になったことで、より話題になりました。
それにちなんで、禁止するとより人の興味を惹くことをカリギュラ効果と呼ぶようになったのが始まりです。

カリギュラ効果の事例

「本気で◯◯したい方以外お断り」などのキャッチコピーの本やスクール案内をみたことがあるでしょうか?
これはカリギュラ効果を狙ったキャッチコピーです。

また、CMなどで、一部の音をピーという音にしたり、メールやビラなどの案内で「詳しくはWEBで」などにしたりして、重要な部分を隠す(禁止する)しているのもカリギュラ効果の一種です。

中小企業で活用できるカリギュラ効果

中小企業だと価格競争にはなかなか勝てません。
そのため、大資本の企業より価格は高くなっても、多少手間ひまかかっても商品やサービスに付加価値をつけようと努力しています。
それを逆手にとって、「価値のわかる方にのみ買ってもらいたいと思っています」や「価値のわかる人以外お断り」、「価値のわからない方は他社の安い商品をお求めください」などのキャッチコピーを使うと良いでしょう。

「絶対に◯◯しないでください」や「弊社の商品でなくても良いですが、◯◯のような欠陥のある商品は選ばないでください」といった言い回しも営業時やWEB上の文章として有効です。

プライミング効果

先に与えられた情報が、後に続く情報に無意識化で影響することをプライミング効果と言います。

プライミング効果の語源

後続する情報に無意識に影響を与える先行する情報をプライムと呼ぶことから、プライミング効果と呼びます。
ちなみに影響を受ける後続情報はターゲットと呼ばれます。

プライミング効果の事例

果物の話を先にしていて、その後赤いものを連想するゲームをするとします。
そうすると多くの人はリンゴを思い浮かべます。
郵便ポストでも赤信号でも何でも良いのですが、リンゴを思い浮かべる人が多いのは、先行する果物の話に無意識のうちに影響を受けているからです。

また、昨今では飲食店を選ぶ際に口コミ情報を見てから飲食店に行く方が多いですが、口コミの評判が良い店に行くと美味しい気がしたり、口コミの評判が悪い店にいくと美味しくない気がしたりするのも、このプライミング効果に引っ張られている可能性があります。

一般的に、人の判断というのは正確ではないので、口コミなどの先行情報に影響を受けています。

中小企業で活用できるプライミング効果

何度かこのサイトにも書いていますが、商品やサービスを買っていただく、または、使用していただく前に、先行して価値を伝えることです。
例えば、飲食店であれば、こだわりの食材の特徴や美味しいポイントなどです。
直接店員さんが話しかけて伝えても良いですし、メニュー表に入れるだけでも効果があります。
「北海道産の身がひきしまって今が旬の◯◯です。ぷりぷりした食感に、噛んだときに溢れ出る脂がおいしさのポイントです」
などの言葉を伝えるだけで、飲食のプロ以外の人は自然と美味しい気分になるものです。

他の業界でも応用できますので、ぜひプライミング効果を実践してみてください。

リフレーミング効果

同じモノやコトを見ても、伝え方や受け取る人によって感じ方や受け取り方が違うことをリフレーミング効果といいます。

リフレーミング効果の語源

リは英語のReで、再びとか新しいとかの意味をもちます。
フレーミングはフレーム(frame)からきていて枠組や骨格という意味を持ちます。
モノやコトへの感じ方や見方のフレームを再び見直すという意味から、リフレーミング効果という名前がついています。

リフレーミング効果の事例

有名な事例ですが、「水が半分しか入っていない」と思うのか、「水がまだ半分も入っている」と思うのか、人によって感じ方も表現も違います。
よくポジティブ思考という言葉が使われますが、これもリフレーミング効果の一種です。
失敗したときに落ち込むのが一般的なフレーミングですが、これをリフレーミングし、成長のチャンスなどと捉えるのがポジティブ思考です。

ビジネスの世界では、数字をどう表現するかで、消費者の心理をリフレーミングしようとする試みが多くされています。
25%の人が使う流行りの◯◯と表現するのか、同じ25%でも、4人に1人が使う流行りの◯◯と表現するのか、で受けるイメージは大きく違います。
これを利用した手法がビジネスのみならず、ニュースのタイトルなど、世の中にはたくさん使われているので注目して見てみましょう。

中小企業で活用できるリフレーミング効果

たくさんありますが、一例として、
5万円の商品を4万5千円で販売するとき、5,000円オフと宣伝したほうが良いのか、10%オフと宣伝したほうが良いのか、など細部の表現にこだわることから始めてみましょう。

知り合いやスタッフなどに意見を聞いてみて何が最善かこだわり抜いてみることです。

値引きだけでなく、特典なんかをつける際にも、実質◯万円もお得と書くのか、全部正規価格で買ったら◯万円にも関わらずと書くのかなど、同じ事実でも書き方、伝え方などの表現1つで大きく変わってきます。

片面提示・両面提示

物事の片面(長所)のみを提示するか、両面(長所と短所)を提示するかの違いが与える心理効果についてです。

片面提示・両面提示の語源

見ての通りですが、物事の片面だけを見せるのか、両面を見せるのかから来ています。
ビジネスの場合、片面だけ見せる場合に短所のみということはありませんので、結果的には、自社の商品・サービスの短所を見せるか見せないかという話に落ち着きます。

片面提示・両面提示の事例

「大画面、大迫力、高画質のテレビが新発売!」、これが片面提示です。
一方で、「電力消費は通常より激しく、場所もとりますが、大画面、大迫力、高画質のテレビです」、これが両面提示です。

何を短所に持ってきて、何を長所に持ってくるかによって効果は変わりますが、お客様が購入を悩んでいる場合には、両面提示が信頼を得るためには効果的です。
しかし、お客様が購入を決めていたり、お店や会社に対して既に信頼を持っている場合には、片面提示のほうが効果を発揮します。

ですので、片面提示と両面提示は使い分けるとマーケティングでは効果的です。
(短所を隠せということではないので、ご注意ください)

中小企業で活用できる片面提示・両面提示

「弊社は大手と違って小さい会社ですので価格面では勝てませんが、その代わり小回りが効きますし、大手みたいにマニュアル対応ではないので臨機応変に対応ができます。」
こんな言い回しが多く使われていますが、これも両面提示の一例です。

また同業他社と競争する際にも、「可愛さでしたらA社の商品のほうが良いと思いますが、使いやすさだったら弊社の商品のほうが良いと思います。あとはお客様の好みですね」
などという商品説明をするようなケースもあります。
これも両面提示です。

両面提示をすることで、欠点も正直にいう企業なんだという信頼感を得られると同時に、
お客様が色々な面から悩んでいた選択肢を、可愛さか使いやすさかと選ぶ基準を2つに絞ってしまう効果があります。

そのため、もう購入をほぼ決めているお客様に使うと、選択肢を増やす結果となってしまうため、片面提示のほうが効果的ということになります。

片面提示というと、短所や欠陥を隠して売るようなイメージが先行しがちですが、あくまでも上記の例のように既にお客様が持っている情報を強調するかしないかの違いです。

欠陥を隠して売るのは片面提示ではなく、詐欺や騙しと言いますので、絶対にしないようにしましょう。

シャルパンティエ効果

イメージによる錯覚効果のことをシャルパンティエ効果と呼びます。
有名な話は、10キロのダンベルと、10キロの羽毛、それぞれ持ち上げるイメージをしてください、どちらが持ち上げやすそうですか?という質問です。
10キロと明言されている以上、どちらも重さは変わらないはずですが、なんとなく羽毛のほうが軽く感じるような気がしてしまうことをシャルパンティエ効果といいます。

シャルパンティエ効果の事例

「レモン◯個分のビタミンCが含まれています」「しじみ◯個分のオルチニンが含まれたみそ汁」などの表記は見たことがあるでしょうか?
これもシャルパンティエ効果を狙った表現です。

ビタミンC◯mgやオルチニン◯gと書かれるより効きそうなイメージを持てませんか?

また、東京ドーム◯個分の広さという表現もシャルパンティエ効果を狙っています。
◯平米や◯ヘクタールの広さと言ってもイメージがしにくいですが、東京ドーム◯個分というと何となく広く感じます。
正確な広さがわからないのは同じにも関わらずイメージがしやすいという効果があります。
東京ドームに行ったことがない私ですら、広そうというイメージを持てますので笑

中小企業で活用できるシャルパンティエ効果

業種によっても違うので様々ではありますが、イメージを大切にすることが大事です。
例えば、3,000円引きと書くのと3千円引きと書くのでは、3,000円引きのほうが安く感じる人が多くなります。

また1万円のA商品を

①全品50%オフ、更にA商品はレジにて20%オフ
②全品60%オフ

と書くのでは、どちらが安く感じるでしょうか?

結果はどちらも4千円となり金額は変わりませんが、受けるイメージでは①のほうが安く感じる人が多い傾向があります。

イメージという意味では表を作って他社製品と比較しているのもシャルパンティエ効果です。

スピード
パワー
安さ

などの項目があり、他社には×や△があるのに自社は◯ばかりみたいな表です。
表にウソがあってはもちろんいけないのですが、書かれていない項目(例えば上記であれば耐用年数など)があるにも関わらず、その会社の商品が項目を網羅しているようなイメージを持ってしまうというのも、シャルパンティエ効果です。

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編集後記

業種によって具体的な表現は違うので、なかなか抽象的な表現になってしまいましたが、参考になれば幸いです。
第1弾から書いていますが、どれか1つを使えば良いということではなく、いろいろな心理効果を組み合わせて使うと効果的です。
実際に世の中には様々な心理効果を狙ったキャッチコピーやセールストークが溢れていますので、第1弾からの記事を読んでみて注意して生活してみるとわかります。

その中から自分自身が気になった効果を自社に取り入れてみるというのも1つの方法です。
大企業と違って大金を使ってCM等を出すわけではなく、ホームページの文言や、セールストークの変更といった小予算から取り組めることで心理効果を取り入れることができますので、どんどん試していただけたらと思います。

【VOL122】中小企業の経営に最低限必要なマーケティングの基礎

【VOL123】マーケティングを最大限に活かすための消費者心理の基礎と代表例5つ

【VOL124】マーケティングより大切なビジネスモデルの作り方

【VOL135】マーケティングに役立つ心理効果〜印象編5選〜

【VOL136】マーケティングに役立つ心理効果〜特別感4選〜

最後に

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