【VOL155】無知だと危険!フリーランスが気をつけるべきこと

読了時間目安:約 15分42秒

フリーランスという言葉を聞くようになって数年が経ちます。
デジタル機器やSNSをはじめとしたコミュニケーションツールの発達により、個人で独立しやすい時代となりました。

しかし、独立したは良いが苦戦している人もたくさんいます。
フリーランスという言葉が話題になっている背景をはじめ、まずはじめに気をつけるべき点についてまとめました。

今回の記事はフリーランスに限らず小規模事業主の方にも参考になる内容になっています。


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今回は『無知だと危険!フリーランスが気をつけるべきこと』です。(編集前のメルマガは2018年6月27日(水)に配信されています)

フリーランスとは?

フリーランスとは、free(自由な)lancer(槍騎兵)という英語からきています。

由来としては中世のヨーロッパでは、槍騎兵が傭兵のようにどこかの君主に使えず、戦争の度に契約をし、報酬をもらって戦うというスタイルからきています。

フリーランスも会社(=君主)に使えず、プロジェクト(=戦争)毎に契約をし、報酬をもらって仕事(=戦う)をするというスタイルが似ているためです。

フリーランスが生まれた時代の流れ

これは絶対に抑えておいていただきたい事項です。
なぜフリーランスという名前がこれほど浸透したのか。
昔でいえば個人事業主の1つの働き方でしかなかった働き方です。
いわゆる一人親方に近い働き方です。(建設業に限らず一人親方と表現します。)

にも関わらず、なぜ横文字のこんなイメージの良い言葉が生まれたのか?

ひと世代前に、フリーターという言葉が流行り、その後「派遣」という働き方が流行ったのをご存知でしょうか?

以前、個人のFacebookでこんな投稿をしたので、ご興味ある方はご覧下さい。

世の中の背景として、企業が「終身雇用」「年功序列」の維持に限界を感じてきていることにあります。

また、解雇規制が厳しく一度雇ってしまったら解雇も難しく、雇用が固定化されてしまいます。
そうすると、業績が悪いときに人を減らすことができず、業績が良いときですら人を雇うことを躊躇してしまいます。

労働基準法の解雇規制を緩めるのは人道的には難しいので、意図的にフリーランス、派遣、フリーターなどの言葉を作り流行らせ、雇用の流動化をはかっているというのが背景にあります。

好景気のときには多少高単価でも仕事を出し、不景気のときには内製化することで、景気の変動を乗り切ろうという思惑があります。(下請け企業も同じ発想です)

とは言っても、フリーランスをはじめとして独立起業には、リスクも大きい分、チャンスもたくさんあります。

お金を稼ぐという一点においても会社員より稼げる可能性がありますし、働き方の自由度という点や、やりたい仕事を選んでやれるという点をとってもメリットはたくさんあります。

チャレンジするだけの価値はありますが、そのためには正しい知識を持っていなければいけません。
でないと都合のいいカモにされてしまう可能性があります。

フリーランスは契約形態

会社員、フリーター、派遣など名前が違っても、これらはすべて「雇用契約」という契約形態です。

一方でフリーランスは、雇用契約ではなく「請負契約」となります。(一部「委任契約」の方もいらっしゃるかと思いますが。)

契約形態の違いとは何なのでしょうか?

雇用契約とは?

報酬(=給料)の代わりに労働(=時間)を提供する契約をいいます。
つまり、仕事の完成や結果に関わらず、労働を提供することによってお金がもらえる契約です。
また、基本的にはその仕事をするのに必要なモノ(備品や材料、知識など)が雇用主から提供されるのが前提となっています。

そして、大きな他の契約との大きな違いは労働基準法の適用を受けることです。

通常の契約は、原則双方が同意していればどんな契約でも成立しますが、雇用契約においては最低の条件が労働基準法において定められており、それを下回る契約は無効とされます。

結果、最低賃金、残業代の支給、有給休暇、社会保険の加入の義務などがあり、いかに契約で無給で残業はするとか、社会保険に入らなくて良いとか定めても無効になります。

そういう意味では労働者は弱者、雇用主は強者という前提のもとに労働基準法が定められているので、労働者は守られています。

請負契約とは?

報酬は、労働の対価としてではなく、請け負った仕事の完成を対価として支払われるものとなります。

完成までにかかった時間は本質ではなく、完成品に対してお金が支払われます。
(もちろん、かかった時間を根拠に交渉は可能です。)

完成しなければ、どんなに時間がかかってもお金が支払われないことに文句はいえません。
また、通常ミスがあれば減額や最悪の場合、損害賠償ということもあります。

また違法行為が含まれる内容でなければ、原則はどんな契約でも双方が合意すれば成立してしまいますので、契約書のチェックは注意が必要です。(例外は下請け法に違反するなど)

基本的には自己責任になり、無知でも労働基準法が守ってくれるなんてことはありません。

委任契約とは?

雇用契約と請負契約ほど関係はしてきませんが、解説しておきます。

「法律行為をすることを委託し承諾すること」
と定義されています。

主に、弁護士や税理士などの士業の方は委任契約がメインになります。

また会社の取締役についても狭義の委任契約となります。
他の会社の取締役などの就任を依頼されたときなどは、この委任契約になりますので頭の片隅に入れておくといいかと思います。

委任契約は成果物をもって報酬が支払われるのではなく、プロセスにおいて報酬が支払われることとなります。

法律のプロだから弁護士へ、経営のプロだから取締役へ、そんなイメージです。

なので、成功報酬を除いては、成果物というよりは訴訟に勝つため、経営を黒字化するためのプロセスに対して報酬が発生することとなります。

結果、訴訟に負けても、経営が黒字化できず赤字になっても報酬を払う義務がありますが、委任を受ける側(=受託者)には善管注意義務というものが存在します。

委任された分野のプロとして注意を払いながら委任事務を行う義務です。

プロとして当然気づかなくてはいけないことに対して注意義務を怠ると損害賠償の対象となります。

額面と手取りの違い

会社員時代やアルバイトのころは手取り額しか注目していなかった方も多いのではないでしょうか?

フリーランスになって最初の一番低い目標として独立前の収入を超えるという方も多いと思いますが、手取り額で比較すると実際には独立前より少ない収入になってしまうことに注意が必要です。

給与明細が残っている方は、見て欲しいのですが、給料からは様々なものが引かれています。

代表的なものとしては、

・源泉所得税
・住民税
・健康保険料
・厚生年金
・雇用保険
・労災保険

です。

フリーランスに限らず、自分で起業すると原則としてはお客様から支払われる報酬から何かが天引きされるということはありません。

つまり自分でそれぞれ定められた期日までに支払わなければいけないということになります。

源泉所得税は確定申告をして納付、
住民税は確定申告後、前年分を年4回に分けて納付

健康保険は国民健康保険に変わり、6月〜3月まで毎月年10回に分けて納付

厚生年金は国民年金になり、月額を翌月末に納付となります。
(半年毎の納付や年1回の納付も選択可能、多少安くなります)

健康保険と厚生年金は、会社が支払額の半分を負担している点にも注意が必要です。
特に年金に関しては国民年金だけか、厚生年金にも加入していたかによって、将来もらえる年金の額が大きく変わります。

このあたりの話は次回また書いていきます。

また、雇用保険と労働保険はなくなります。

健康保険と国民健康保険

大きな枠組みとしては、医療費の一部負担になります。

年齢によって違いますが、

75歳以上は1割負担
(但し一定の所得以上の人は3割)

70歳〜74歳は2割負担
(但し一定の所得以上の人は3割)

70歳未満は3割負担

義務教育終業前は2割負担

などになっています。

国民健康保険も健康保険も入っていないと、健康保険証がもらえず、10割負担となります。

また国民健康保険には、育児休業期間中の保険料免除制度や傷病手当金制度、出産手当金がないなど、健康保険ではカバーされている点がカバーされてない点にも注意が必要です。

国民年金と厚生年金

どちらも将来の年金の金額に影響してきます。

3階建て、又は2階建ての年金制度というのはお聞きしたことがありますか?

1階は、国民年金
2階は、厚生年金
3階は、年金基金
といわれており、

最近話題になっているiDeco(イデコ)は年金基金の一環です。

国民年金は、所得に関係なく一定額の支払になります。
(免除制度あり)

厚生年金に入っていると、国民年金にも加入していることとなり、2階建ての2階まで網羅していることになります。

将来年金が少なくなる又はもらえなくなる可能性があると話題になっていますが、会社が半分負担していること、自分が負担した分は税金がかからないことなどを考えると、まだまだ非常に投資効率の良い制度となっています。

フリーランスになると法人にしない限り、厚生年金には加入できませんので、将来もらえる年金は会社員と大きな差がでてきます。
(個人事業主で従業員がいても、従業員は厚生年金に入れますが、雇用主は入れません。)

また、厚生年金は配偶者が扶養に入れて厚生年金も国民年金も払っていないのに貰える権利ができるのもメリットです。

雇用保険

雇用保険は主に失業したときのために払っているもので、失業したときに失業手当が支払われます。

こちらもフリーランスを含む個人事業主は加入できません。
(法人の役員も加入できません。)

失業したときの対策は自分で考えなければいけないということになります。

労災保険

加入していると、仕事上で怪我や病気したときに保険が支給されます。
こちらも原則、フリーランスを含む個人事業主は加入できません。
(但し一定の条件を満たせば可)

業務上で怪我や病気をしたときの対策は自分自身で考えなければいけないということになります。

フリーランスが抱える不安

フリーランスの方の不安を簡単に解説します。
対策については次回詳しく書いていきます。

働けなくなったときの不安

怪我や病気はもちろんのこと、得意先から仕事がこなくなって働けなくなってしまったら、無収入になってしまいます。
ここはフリーランスの大きな不安の1つです。

退職金がない

退職金がない会社も増えていますが、退職金の有無は大きいのではないでしょうか?
月収または年収がそれほど高くなくても、定年まで勤めれば大きな退職金をもらえるのであれば、生涯年収という意味でも老後の不安という意味でも解消されます。

フリーランスは退職金は自分で貯めていかなければいけません。

老後の不安

退職金がもらえない上に、年金も厚生年金に入っている人より少ない、、、ということで老後の不安をするフリーランスはたくさんいます。

歳をとることへの不安

定年後に限らず、年を重ねると体力的・知識的な不安がでてきます。

日本型の終身雇用・年功序列は、そういう意味では優れた制度です。
若い頃は成果に対して給料やボーナスが安い感じがしますが、歳をとって若い頃ほどバリバリ働けなくても給料はあがっていきます。
考え方にもよりますが、若い頃のツケを返してもらっていると考えることもできます。

しかし、事業者、特にフリーランスなどの一人親方タイプの働き方は自分の腕が勝負です。
バリバリ働けるときの収入は多いですが、働けなくなると収入は一気に減るリスクがあります。

ローンが組みにくい

どんな小さな会社でもお給料という形で、毎月定額の収入がある人の金融機関からの信頼は絶大です。

一方で、収入が不安定なフリーランスや小規模事業者、中小企業の経営者は金融機関からの信頼はほとんどありません。

住宅ローンどころかクレジットカードすら作れないケースもあります…

freelance

編集後記

タイトルがタイトルだったので、フリーランスのデメリットに聞こえるような内容が多くなりましたが、それでもフリーランスに限らず独立するメリットはあると私は思っています。

フリーランスになるメリット

なんといっても、日本の古き良き「終身雇用・年功序列制度」が崩れてきている今、1つの会社に勤め続けるのは、リスクが大きくなっています。

会社が潰れたり、リストラしたりする可能性を考えると、その会社で歳をとってしまうことのほうがリスクが高くなっています。

特に新生銀行が副業を解禁したときの人事部長が、

周知の通り、終身雇用にはもう限界が来ています。今後、銀行はフィンテックの流れもあり、同じ数の社員を雇っていける保証はありませんし、必要な人材像も変わっていきます。
(『究極の“個人戦”時代、「副業社会」が到来する』より引用)

と言っているのを見て、フリーランスでも転職でも部署移動でも良いので、自分自身の能力を高めることが最大のリスクヘッジになると思いました。

その中でも、最強の能力は「自分の力でお金を稼ぐ能力=人に価値を提供でき対価としてお金を喜んで払ってもらえる能力」だと思います。

更には、人生設計をより柔軟に考えられるというメリットがあります。
全ては自由にならなくても、住む場所、働く場所、時間、服装、付き合う人、やる仕事など選べることは多くなります。

そういう意味では自分自身もフリーランスに近い形態なので、もっともっとこういう働き方で幸せになる人が増えたら良いなあと思っています。


最後に

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida

経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。
また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。
なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。
詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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