【VOL87】4つの資金の性質をつかんで財務体質改善をする方法

読了時間目安:約 9分59秒

資金会計理論では、資金を性質毎に4つにわけています。
これは手元にあるお金が自分たちが稼いだお金なのか、借りてきたお金なのかなど、なんで手元にお金が残っているのかわからなくなってしまうからです。

お金に色がついていれば良いのですが、現実には色がついていないため、損益資金、固定資金、売上仕入資金、流動資金などに資金を強制的にわけるのが資金別会計理論です。

資金の性質によって特徴があるので、その性質をつかむことが、財務体質改善への近道となります。



資金ごとの性質など資金会計理論についてはこちらから。

【VOL83】資金会計理論を活用して事業の本当の財務体質をみましょう

【VOL84】資金会計理論を例題で紐解く

【VOL85】資金会計理論で未来の事業の財務体質をシミュレーションする!

【VOL86】利益が増えれば財務体質は良くなるのか?



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今回は『4つの資金の性質をつかんで財務体質改善をする方法』です。(編集前のメルマガは2015年12月30日(水)に配信されています)

財務体質を改善するとは?

【VOL86】利益が増えれば財務体質は良くなるのか?でも説明しましたが、財務体質はまず安定資金があることが大切でした。

安定資金とは、損益資金+固定資金+売上仕入資金の合計です。
流動資金を除いた金額、つまり一時的に預かっているお金や、一時的に立て替えているお金などを入れないで考えたお金を安定資金と言います。

そして次に、その安全資金がどこの資金で増えているのかが大事になります。

損益資金>固定資金>売上仕入資金の順に資金が安定していることになるため、その順に資金があるほうが財務体質が良いといえます。

例を出すと

①損益資金+1,000万円 固定資金▲500万円、売上仕入資金▲300万円=安定資金+200万円
②損益資金▲800万円 固定資金+200万円、売上仕入資金+800万円=安定資金+200万円

であれば、損益資金が1,000万円ある①のほうが財務体質が良いといえるということです。

損益資金の性質と増やし方

損益資金は文字通り過去の損益の積み重ねです。

なので、損益資金を増やす為には利益を稼ぐことが大切です。

では、どうやって利益を稼いだら良いのか?

これは戦略MQ会計を使ってじっくり分析することをお勧めします。

【VOL80】戦略MQ会計で儲かる経営の地図を手に入れよう!

【VOL81】戦略MQ会計の活用方法を事例で紹介

【VOL82】戦略MQ会計を応用して未来の利益計画を作ろう

固定資金の性質と増やし方

固定資金は、主に設備投資(建物、機械、備品、土地など)が資金の使途、つまりお金が減る要因で、長期借入金と資本金がお金の調達、つまりお金が増える要因になっています。

この中で、月日が経っても変わらないのは、資本金のみです。

設備投資は減価償却をするたびに減ります。(土地と在庫は除きます)

長期借入金は返済期間が決まっているので、毎月決まった金額が減りますね。

減価償却費>長期借入金の返済であれば、固定資金は増えますが、減価償却費<長期借入金の返済であれば、固定資金はどんどん減っていってしまいます。

それをどう補うかが大切となりますが、理想は減った分を損益資金で補うこととなります。

つまり固定資金が減った分、損益資金を増やすことになるので、財務体質が良くなります。

理想は長期借入金で借りたお金を設備投資に投資し、利益を稼ぎ、長期借入金を返済していくことです。

これを良い循環にできれば事業はうまく行きます。

これができない場合には、資本金を増やす、在庫を減らす、設備を売却するなどして、固定資金がマイナスになった分のお金を補填する必要があります。

売上仕入資金の性質と増やし方

これは売上債権(受取手形、売掛金)の回収サイトと、仕入債務(支払手形、買掛金)の支払サイト、そして原価率、売上規模に大きく影響されます。

例えば、50万円仕入れて100万円で売るとします。
粗利益率は50%ですね。

この場合、回収が1ヶ月後、支払が1ヶ月後であれば、売掛金100万円/買掛金50万円で売上仕入資金は▲50万円となります。

では回収が2ヶ月後、支払が1ヶ月後であれば、売掛金200万円/買掛金50万円で売上仕入資金は▲150万円となります。

取引規模が2倍になれば、売掛金400万円/買掛金100万円で売上仕入資金は▲300万円とマイナスが拡大します。

逆に回収が1ヶ月後、支払が3ヶ月後であれば、売掛金100万円/買掛金150万円で売上仕入資金は+50万円です

取引規模が2倍になっても、売掛金200万円/買掛金300万円で売上仕入資金+100万円とプラス額が拡大します。

まずは自身の業種が売上が2倍になったときに、売上仕入資金はプラスになるのか、マイナスになるのかを把握しましょう。

プラスになるのであれば、売上と利益の拡大を目指せば良いだけです。
マイナスになるのであれば、そのマイナスが拡大する分を借入できるのかを金融機関に確認すると同時に返済分を毎月利益として稼げるかをシミュレーションしてみることが大事です。
返済期間を延ばして毎月の返済額を減らせないか金融機関と交渉することも大切ですね。

売上仕入資金そのものを改善する方法は、回収サイトを短くし、支払サイトを長くするにつきます。
売ったら売りっぱなしではなく、回収してはじめて現金預金になりますし、早く回収すれば早く回収しただけ、財務体質はよくなります。

とはいえ、相手がいることなので難しいとは思います。
いつもより早くお金を欲しいと交渉しても、いつもよりゆっくり払わせてくれと交渉しても、この会社資金繰りが危ないのではと思われるのがオチです。

まずはこれから新規の取引ができたときだけ、考えていきましょう。

また、原価率も売上仕入資金に影響しますが、以下の理由から気にする必要はありません。

売上100万円、仕入50万円、原価率50%、回収および支払ともに1ヶ月だとすると、売掛金100万円/買掛金50万円で売上仕入資金▲50万円です。

売上100万円、仕入70万円、原価率70%、回収および支払ともに同じく1ヶ月だとすると、売掛金100万円/買掛金70万円で売上仕入資金▲30万円になります。

一見すると、原価率70%のほうが財務体質は良いような気がしますが、原価率50%のときは損益資金は+50万円(売上100万円ー仕入50万円)、原価率70%のときは損益資金は+30万円です。

結果、原価率70%のときも原価率50%のときも、安定資金は0万円となります。
原価率50%:損益資金+50万円+売上仕入資金▲50万円=0万円
原価率70%:損益資金+30万円+売上仕入資金▲30万円=0万円

つまり、損益資金の多い原価率50%のほうが財務体質は良いこととなります。

損益資金を増やす上では、原価率は低いほうが理想的です。

変化と改善

編集後記

いかがだったでしょうか?
戦略MQ会計あたりから、なかなか文章だけで説明するのが難しくなってきました。

現在、動画や図で説明することを検討中です。
財務体質の改善はとても大切なことですので、もっと理解していただけるような方法を考えていきます。
一度ではなかなかわからないと思いますので、【VOL83】資金会計理論を活用して事業の本当の財務体質をみましょうから繰り返し読んでいただくことをお勧めします。

ちなみに設備投資も借入もない事業の方は、資金会計理論はそこまで重要ではありませんので、売上をいかに増やし、利益をいかに出すかだけを考え、資金繰りにだけ気をつければ大丈夫ですので、売上と資金繰りの関係を重点的に理解することをお勧めします。


最後に

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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