【VOL85】資金会計理論で未来の事業の財務体質をシミュレーションする!

読了時間目安:約 12分44秒

資金会計理論を使って、具体的に自社の事業の未来の財務体質をシミュレーションする方法をお伝えします。
使いこなすことが出来るようになれば、強い財務体質を作るために、今何をしていくかが明確になります。
事業を継続させるためには、利益も大切ですが、何より強い財務体質をつくることが重要です。

参考記事:

【VOL83】資金会計理論を活用して事業の本当の財務体質をみましょう

【VOL84】資金会計理論を例題で紐解く



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【VOL1】起業したら真っ先に見るべき会計の3つの数字

からお読み頂くことをお勧めします。

今回は『資金会計理論で未来の事業の財務体質をシミュレーションする!』です。(編集前のメルマガは2015年12月16日(水)に配信されています)

前回の例題を覚えていますか?

初期資金(資本金)300万円
商品を買う1個1万円×100個=100万円→支払い30日後
商品を売る1個1.5万円×100個=150万円→入金60日後

という事業があります。

前回の【VOL84】資金会計理論を例題で紐解くでは、上記の例題で、3ヶ月目の貸借対照表、損益計算書、資金会計理論を作ってみました。

そして、今回は、前回の予告通り、

4ヶ月目に借入を2,000万円して、機械に2,000万円投資するとしましょう。
そうすると、機械によって合理化され、売上が2倍になるとします。
借入の返済期間を5年、機械の減価償却を5年(定額法)とした時、6ヶ月目の手元資金はどうなるでしょうか?

という例題をやってみたいと思います。

財務諸表をシミュレーションしてみましょう

まず、大前提をまとめると、

1ヶ月目〜3ヶ月目
初期資金(資本金)300万円
商品を買う1個1万円×100個=100万円→支払い30日後
商品を売る1個1.5万円×100個=150万円→入金60日後

4ヶ月目〜6ヶ月目
商品を買う1個1万円×200個=200万円→支払い30日後
商品を売る1個1.5万円×200個=300万円→入金60日後
借入2,000万円
借入の返済 約33万円/月(2,000万円÷5年÷12ヶ月)
減価償却費 約33万円/月(2,000万円÷5年÷12ヶ月)

※なぜ機械を導入すると売上の個数が増えるのかとか、機械の減価償却費は定額法ではなく、定率法ではないかとか、矛盾点はありますが、あくまでも例題のため簡便的にしていることにご理解いただけたら幸いです。

6ヶ月目の損益計算書

6ヶ月後の各帳票を作って行きましょう。

売上高   1,350万円(150万円×3ヶ月+300万円×3ヶ月=1,350万円)
仕入高    900万円(100万円×3ヶ月+200万円×3ヶ月= 900万円)
減価償却費   99万円(33万円×3ヶ月=99万円)
利益額    351万円

6ヶ月目の貸借対照表

現金預金   251万円
売掛金    600万円
機械    1,901万円
資産の部  2,752万円

買掛金    200万円
長期借入金 1,901万円
負債の部  2,101万円

資本金    300万円
利益剰余金  351万円
資本の部 651万円

6ヶ月目の資金会計理論

損益資金の部

売上高   1,350万円(+)
仕入高    900万円(ー)
減価償却費   99万円(ー)
損益資金の部+351万円

固定資金の部

資本金    300万円(+)
機械    1,901万円(ー)
長期借入金 1,901万円(+)
固定資金の部 +300万円

売上仕入資金の部

売掛金 600万円(ー)
買掛金 200万円(+)
売上仕入資金の部 ▲400万円

流動資金の部

なし

トータル計

損益資金の部 +351万円
固定資金の部 +300万円
売上仕入資金  ▲400万円
流動資金の部   0万円
手元現金預金  251万円

資金会計理論で見る財務体質

資金会計理論では、上にいけばいくほど、財務体質が安定しているという証拠になります。
流動資金である預り金や、仮受金で手元にお金があるより、商売での利益である損益資金があったほうが安定しているからです。

資金会計理論でシミュレーションする

いよいよ本題ですが、この資金会計理論を使ってどうシミュレーションするのか?というお話です。

借入金をゼロにするには?

例えば、借入金をゼロにしたい場合、どうしたら良いでしょうか?

固定資金の部で(+)になっていた1,901万円がなくなるわけですから、今のままでは、手元現金預金は251万円ー1,901万円ですから、▲1,650万円になってしまいます…

これを損益資金で1,650万円増やそうとすると…現在月あたりの損益資金の増加は67万円です(売上高300万円ー仕入高200万円ー減価償却費33万円=67万円)

1,650万円÷67万円=24.6ヶ月

つまり、約2年1ヶ月で借金をゼロにできる計算となります。(説明をわかりやすくするため税金は割愛して考えています)

更にいえば、固定資金の部で(ー)となっていた機械1、901万円は年々減価償却されることで(ー)の額が少なくなりますので、手元現金預金も増えることとなります。

減価償却された分だけ機械の(ー)は少なくなるわけですから、33万円×25ヶ月=825万円。

25ヶ月後には損益資金で借入金をすべて返済でき、かつ、825万円が手元資金として手元に残ることとなります。

これを実際に資金会計理論であらわすと?6ヶ月目+25ヶ月ですから、31ヶ月目の資金会計理論となります。

31ヶ月目の資金会計理論

損益資金の部

売上高    8,850万円(+)
仕入高    5,900万円(ー)
減価償却費   924万円(ー)
損益資金の部+2,026万円

※本来は売上高や仕入高は繰り越さず当期のものだけになり、利益を利益剰余金として繰り越したものだけを表示しますが、わかりやすいように6ヶ月目+25ヶ月の累計の売上高〜利益までを表示しています。

固定資金の部

資本金    300万円(+)
機械    1,076万円(ー)
長期借入金   0万円(+)
固定資金の部 ▲776万円

※本当の長期借入金は5年返済なので、この時点の残高は1,076万円になりますが、今回のシミュレーションの目的は借入金をゼロにすることですから、ゼロにしています。

売上仕入資金の部

売掛金 600万円(ー)
買掛金 200万円(+)
売上仕入資金の部 ▲400万円

※取引条件と取引規模(売上高)がかわらなければ売上仕入資金は変わりません。売掛金は月商の2ヶ月分、買掛金は月仕入の1ヶ月分が残ります。

流動資金の部

なし

トータル計

損益資金の部 +2,026万円
固定資金の部   ▲776万円
売上仕入資金   ▲400万円
流動資金の部    0万円
手元現金預金   825万円

となります。

借入期間が1年の場合のシミュレーション

先の例題は借入金の返済期間5年でしたが、仮に返済期間が1年でしか貸せないといわれたときにこの申し出を受けるべきか受けないべきかを、資金会計理論を使ってシミュレーションしてみましょう。
他の条件は同じです。
12ヶ月目をシミュレーションしてみます。

借入期間1年の場合の12ヶ月目の資金会計理論

損益資金の部

売上高   3,150万円(+)
仕入高   2,100万円(ー)
減価償却費  297万円(ー)
損益資金の部+753万円

固定資金の部

資本金    300万円(+)
機械    1,703万円(ー)(2,000万円ー33万円×9ヶ月)
長期借入金  497万円(+)(2,000万円ー167万円×9ヶ月)
固定資金の部 ▲907万円

※返済期間1年ということは、約167万円/月の返済となります(2,000万円÷12ヶ月=167万円)

売上仕入資金の部

売掛金 600万円(ー)
買掛金 200万円(+)
売上仕入資金の部 ▲400万円

流動資金の部

なし

トータル計

損益資金の部 +753万円
固定資金の部  ▲907万円
売上仕入資金  ▲400万円
流動資金の部   0万円
手元現金預金  ▲554万円

となります。

資金会計理論を使うことで未来がイメージできる

上記のように、何年後に無借金経営にできるのかも実際に計算することもできますし、返済期間が何年なら機械の投資のためにお金を借りていいのかも資金会計理論を使うことで説明することができます。

文章だけで説明すると難しく感じると思いますが、一度理解できれば、もの凄く活用できる帳票です。

もし資金会計理論をマスターしたいという方がいれば、下記の本をお勧めします。

売上が伸びることは良いことばかりではない?

資金会計理論を使って、最初の例題で(2,000万円の機械を2,000万円の借入を5年間でした場合)もう1つシミュレーションしてみましょう。

最初の例題では、売上が倍になる前提でしたが、機械を導入することで、売上が4倍になるとしたらどうなるでしょうか?

6ヶ月目と12ヶ月目をシミュレーションしてみてください。

電光掲示板ー行き先を決める

編集後記

資金会計理論もMQ会計も文章だけで説明するとわかりづらい部分も多々あると思います。

しかし、通常の決算書は試算表は過去を振り返るためだけの資料ですが、この2つの指標をうまく使いこなすことができれば、未来をシミュレーションすることができるようになります。

せっかく作っている財務帳票を事業の未来を作るために使うためにも、この2つの指標の考え方、見方をマスターしてほしいと思っております。


最後に

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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