格付け順位

金融機関が企業への融資を決める基準の1つに信用格付けという制度があります。
金融機関(銀行)の融資審査の最大のポイント、信用格付けを徹底解剖

もちろんまだまだ担保が重要な一面は否定できませんが、担保を増やすのは現実的には難しい問題です。

そのため、信用格付け対策こそが、企業の将来を決めると言われるくらいここ数年重要視されています。

その信用格付けが企業にどんな影響を及ぼす影響をまとめてみました。

金融機関による信用格付を向上させる企業のメリット

詳しい格付け対策はここでは割愛しますが、格付けがアップすることによる企業のメリットです。

融資実行

格付けが良ければ良いほど、希望通りの融資を確実に受けることが出来ます。

金利

格付けが良ければ良いほど、低金利で融資を受けることができます。

担保

人的担保及び物的担保ともに格付けが良ければ良いほど、必要がなくなります。
格付けがよければ無担保で融資を受けられるケースもあります。

節税の落とし穴、節税は信用格付けを悪くする

経営者であれば無駄な税金を払いたくないというのが心情かと思いますが、節税をすると当然利益が減るので、信用格付けが下がります。

その理由は、信用格付けで重視されているのは、過去の利益の積み重ねである自己資本額と単年度の利益(を2年〜3年)だからです。

利益が出れば税金が発生しますし、税金を減らすためには節税が必要という悪循環が発生します。

つまり、格付けをあげたければ利益をあげ納税をする必要がありますし、節税をしたければ利益を圧縮することになるので、格付けが下がることになります。

企業のステージによって、税金を払ってでも金融機関の評価をあげるべき時と、1円でも外部への支払を避けるために節税が必要な時があるので、慎重な判断が必要になります。

また、節税によって利益を圧縮した場合、節税しなかった場合の利益なども明確にしておき格付けとは別の問題ですが、キチンと担当者に説明できるかどうかも重要なポイントとなります。

信用格付けが「正常先」ではなくなってしまう6個のNG行為

金融機関の信用格付けにより、企業は「正常先」「要注意先」「要管理先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の6つに分類されます。(金融機関によって一部違います)

詳しくはこちら→金融機関(銀行)の融資審査の最大のポイント、信用格付けを徹底解剖

この中で通常の融資を受けられるのは「正常先」のみで、前項で述べた金利の優遇等も「正常先」の中での信用格付けの点数によって受けることができるだけであり、それ以外の分類先は融資の引き上げや担保の拡充等の施策を金融機関は考えるようになります(一般的に言う貸し渋り等の状態)

正常先かそれ以外かをわける基準には「取引条件基準」と「債務者状況基準」があります。
複合的な判断になるため、1つでも当てはまればすぐに要注意先以下になるということではありませんが、貸出条件に影響してくるので、極力避けられるように常に意識しておくにこしたことはありません。

参考までにこちらにも目を通しておいて頂けると理解が深まるかもしれません。
うっかりやってしまいそうな借入がNGになる8つの行為。

取引条件基準

◯貸出条件緩和(=いわゆる「リスケジュール」)

◯元金または利息の延滞がある

◯貸出条件に問題がある(特殊事情により極端に長期である等)

債務者状況基準

◯決算書が赤字(特に2期連続赤字は危険)

◯繰越欠損がある(それほど重要視はされておらず、直近2〜3期が黒字かどうかによる)

◯債務超過

格付け順位

編集後記

金融機関との付き合いがある企業にとって、いかに信用格付けが重要かということを理解することが大切です。

また今回は割愛しましたが、信用格付けはやり方次第で改善することができます。(いずれまとめます。)

ポイントは自己資本額と経常利益です。

自己資本額は過去の利益の積み重ねですので、なかなか改善するのが難しい一面もありますが、経常利益を改善するのは比較的簡単です。

例えば、役員退職金を販売費及び一般管理費で処理するのか、特別損失で処理するのかによって経常利益の金額は変わってきます。最終利益は変わらないので税金も変わりません。(実際の対策は専門家と協議しながらすることをお勧めします)

信用格付けのランクが企業の未来に大きく影響することを理解し、どうしたら格付けがアップするのかを考えていきましょう。

ポイントは自己資本額と利益になります。(つまり毎年の利益です)

企業の現在のステージや格付けランク、そして目指している未来像によって、節税とのバランスなどが関わってきます。

自社の重要な問題ですので、信用格付けへの理解を深め対策をしていくことをお勧めしています。

毎年しっかりと節税対策と格付け対策をしてくれる税理士や専門家とのお付き合いをお勧めします。

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