金融機関(銀行)の融資審査の最大のポイント、信用格付けを徹底解剖

読了時間目安:約 3分36秒

金融機関(銀行)の融資基準は、保証人等の人的や不動産等の物的なものに代表される「担保基準」、市場の規模や成長性、はたまた社長の性格や社風などに代表される数値化することの難しい「定性基準」、決算書の数字で分析する数字を中心とした「定量基準」の3つの基準を複合的に審査します。

今回はその中でも数字を絶対的な指標として使っている定量基準について解説致します。
ちなみにこの定量基準と定性基準を合わせたものが信用格付けと言われます。

金融機関の「担保基準」「定性基準」「定量基準」についてはこちらから。
金融機関(銀行)の融資審査、3つの基準を徹底解剖

信用格付けとは?

企業の信用ランクをを定性基準と定量基準を用いてランキングしたものです。

現在多くの金融機関がこの信用格付けを用いて企業への融資の可否や金利の決定の参考にしています。

また、金融検査マニュアルの債務者区分に連動させられます。
債権者区分をどれだけ細分化しているかは金融機関によって違いますが、8〜11段階くらいにわけて管理されています。

下記、貸付正常先のみで約6段階程度あり、他は1〜2段階です。
貸付正常先以外は、新規の借入が原則不可能であり、貸付正常先の中でいかに高い格付けを得られるかがポイントになります。

それ以外の格付け企業に関しては、金融機関との交渉はリスケや再生の問題へと移行していきます。

貸付正常先

基本的にはこの枠の中に入らなければ借入を受けることはできません。
経営が順調で返済に関して大きな問題がない会社が分類されます。

要注意先

経常利益が2期連続赤字や、債務償還年数が10年超など、返済に関して疑問がある企業が分類されます。

要管理先

リスケジュールをしている、金利の減免をしている、3ヶ月以上返済遅延がある等、返済に関して重大な問題が発生している企業が分類されます。

破綻懸念先

経営難の会社であり、経営破綻には陥っていないものの経営破綻の可能性が高い企業が分類されます。
債務超過状態が続き、かつ、解消の目処が立たない企業。
(参考:債務超過とは?

実質破綻先

一応企業は存続しているものの、多額の不良債権の発生、返済能力に対して過大な借入金がある等、返済に致命的に問題がある企業、または、近い将来破綻する可能性が高い企業が分類されます。

破綻先

法的に破綻している企業、破産や会社更生法または民事再生法の適用を受けた企業、民事整理中の企業などが分類されます。

格付けの判断項目

格付けは定量要因と定性要因から判断されます。
具体的にはこちら→金融機関(銀行)の融資審査、3つの基準を徹底解剖

定量要因とは?

直近2期分または3期分の決算書の数字で判断されます。
具体的な内容は後述します。

定性要因とは?

数字では表すことができない、または、主観の入りやすい項目で、例えば市場の成長性や社長の資質などが判断基準となり格付けが決まります。

格付けにおける定量要因と定性要因の重要度

金融機関によって違いますが、定量要因が8割〜6割、定性要因が2割〜4割といわれております。

規模の大きい金融機関(都銀等)のほうが定量要因を重用視し、地域密着型(地銀等)のほうが定性要因の重要度が高くなります。(といっても最大4割程度)

経営者が知っておくべき金融機関の種類と選び方 ①都市銀行と地方銀行編

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結局どうやって金融機関を選んだら良いのか? 都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合、政府系金融機関

信用格付けの定量要因における4つのポイント

信用格付けには4つのポイントがあります。
各ポイントの特徴を下記にまとめました。

1つ1つの用語の意味を知りたい場合はこちらを参考にして下さい。
金融機関(銀行)の融資審査、3つの基準を徹底解剖

安全性基準

・自己資本比率「自己資本÷総資産」
・ギアリング比率「有利子負債(短期・長期借入金社債等)÷自己資本」
・固定長期適合率「固定資産÷(固定負債+自己資本)」
・流動比率「流動資産÷流動負債」

などで計算される企業がいかに安全かという基準です。
自己資本の金額が多く入っていることからわかるように、返済不要の自己資本でお金を調達している企業ほど評価が高くなります。

自己資本は貸借対照表の項目ですので、長期的な積み重ねが必要です。
そのため安全性基準の項目を短期間で改善するのはなかなか難しいものがあります。
【VOL51】貸借対照表は会社の歴史であり未来像である:BS経営の入り口

収益性基準

・売上高経常利益率「経常利益÷売上高」
・総資本経常利益率「経常利益÷総資産 」
・収益フロー   「何期連続黒字であるか」

などで計算される企業の収益力を表す指標です。
経常利益が基本になっていることからわかるように、経常利益をいかに効率よくあげられるかがポイントとなります。

成長性

・経常利益増加率「(当期経常利益ー前期経常利益)÷前期経常利益」
・自己資本額
・売上高

企業の成長性及び規模を判定する指標です。
中小企業では、自己資本額や売上高は大企業と同じ基準で比べられるため高得点をとるのは非常に難しくなります。

返済能力

・債務償還年数「有利子負債(短期・長期借入金、社債等)÷償却前営業利益」
・インタレスト・カバレッジ・レシオ(営業利益+受取利息・配当金)÷支払利息・割引料」
・キャッシュフロー額「営業利益+減価償却費」

主に営業利益が基準に判定され、企業の返済能力が重視されます。
金融機関にとっては返済してもらえるかどうかが一番の関心ごとですので、返済能力の配点がもっとも高くなっています。

信用格付けで高得点を取るための対策法

基本的には、自己資本額と営業利益または経常利益の改善がポイントとなります。

しかし、自己資本額は貸借対照表項目であり一朝一夕で改善するのは難しいものです。
【VOL51】貸借対照表は会社の歴史であり未来像である:BS経営の入り口

また、信用格付けは金融機関の最大の関心毎である返済能力を測る指標の配点が高くなる傾向があります。

そのため営業利益を改善する方法をとることが格付けで高得点をとる秘訣となります。(営業利益を増やせば経常利益も自然と増えるはずです。)

もう1つは、額で配点されるものに関しては、大企業に対抗するのは難しいですが、率であれば大企業にも勝てる可能性があります。

率で配点が決まるものを重点的に改善していくのがポイントとなります。

具体的な方法に関しては別記事にてご紹介致します。

金融機関のルール

編集後記

金融機関の審査基準である信用格付けについてお話させて頂きました。

担保主義から脱却をはかる金融機関の傾向としては信用格付けを重視する方針に転換しつつあります。
(まだまだ担保主義から脱却は出来ていませんが…)

一方で、金融機関に決算書を性格に読み取れない人が多いのも事実です。

信用格付けは表面で数字を分析したあとに、不良債権や繰延資産などの実態のない資産などを省き、実態に近づける作業をするのですが、これが正確にできる金融機関は少ないです。

そのため、表面上の決算書は信用格付けのルールに基づいて、好評価を受けられるように作っていく必要があります。

信用格付けのルールを知らずに何も悪いことをしていないにも関わらず、中途半端な金融機関の実態調査であらぬ疑いを持たれ融資を受けることが出来なった企業も知っています。

適切な決算書作りが経営には必須となります。

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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