金融機関の融資審査のポイント【特別利益・特別損失編】

読了時間目安:約 7分19秒

特別利益、特別損失とは、本業とは関係のない部分で出た利益や損失のことで、例えば、不動産販売業以外の土地の売却益や売却損などのことをいいます。

他には貸倒損失や投資有価証券売却損益、保険解約損益など様々な科目がありますが、共通するのは本業以外の損益だということです。

では、この本業とは関係ない損益を金融機関はいったいどのように評価しているのでしょうか?

金融機関の評価は、赤字よりは黒字のほうが良い

まず絶対的な話として、最終損益は赤字よりは黒字のほうが良いということです。

格付けの基準として、二期連続赤字の企業は正常な貸出先から外す金融機関もあるくらいです。

参考記事:

うっかりやってしまいそうな借入がNGになる8つの行為。

金融機関(銀行)の融資審査の最大のポイント、信用格付けを徹底解剖

信用格付け対策が重要!信用格付けの企業へのメリットとデメリット

金融機関が赤字でも仕方ないと思うのは、特別損失での赤字で、かつ、一期のみです。

特別利益でも何でも、赤字より黒字のほうが、金融機関からの評価は良くなります。

特別利益と特別損失は資金繰りへ影響するか?

赤字よりは黒字が良いというのが大前提ですが、その中にも資金繰りに影響がでる特別利益(又は損失)なのか、資金繰りに影響が出ないのかによって金融機関の評価は変わってきます。

但し、コンピュータに数字を入れて判断できるものではなく、一件一件判断が必要な事項なので、金融機関の担当者のレベルによっては、そこまで読み取れない場合もあります。

資金繰りに影響がでる特別利益、特別損失とは、何か?

資金繰りにプラスの影響を与える特別損益

例えば土地の売却損益です。

土地の売却の場合、買ったときの土地の価格と売ったときの土地の価格の差が土地売却益(又は売却損)として損益計算書に表示されますが、お金は増えるのか減るのかといえば、損益に関係なく売却金額だけお金は増えることとなります。

他には、保険の解約益(又は損)なども解約により返戻金として入ってくる分、お金は増えるので、資金繰りにプラスの影響を与える特別利益といえます。。

特別損失で、資金繰りに影響を与えないもの

貸倒損失などは、損益計算書では損失に計上されますが、元々回収できていないお金を損失にするだけなので、お金には影響がありません。

投資有価証券評価損なども資金繰りに影響を与えない損失です。

特別利益で、資金繰りに影響を与えないもの

役員借入金の債務免除益などが代表的な例です。

経営者または役員が貸付金の回収を放棄することで債務免除益が計上されることとなります。

赤字を回避するために役員借入金の債務免除益を計上するケースが少なくありませんが、お金の返済義務がなくなるだけで、実際にはお金は増えないので、資金繰りへの影響はほとんどないと見られがちです。

同様の特別利益に投資有価証券評価益などがあります。

特別損失で、資金繰りにも影響があるもの

役員退職金などが代表的な例となります。

損失にも計上されますし、お金の支払もあり、資金繰りに影響がでる科目となります。

他には損害賠償金の支払などがあります。

金融機関からの評価されるのはどの特別利益と特別損失?

当然ですが、特別損失であり、資金繰りもマイナスになるものが、一番評価も低く、金融機関としてはその後の資金繰りをどうする計画で、借入金の返済減資はどうやって作っていくのかを気にします。

次に、特別利益なのにも関わらず、資金が増えないものに関しての評価が低くなります。
特に経常利益は赤字で、債務免除益などで利益を出し、最終損益を黒字にしている企業に関しては、赤字よりはマシかもしれませんが、実質赤字企業の烙印を押されることとなります。

特別損失ではありますが、資金繰りに影響を与えない項目に関しては、損失ではあるものの資金繰りに影響を与えないため、返済能力の測定上は減価償却費のように除外(プラス)されるケースも多くあり、返済能力の評価ではマイナスにならないことが少なくありません。
但し、資金繰りに影響を与えない特別損失といえども、二期連続赤字になると危険です。
うっかりやってしまいそうな借入がNGになる8つの行為。

最後が特別損失だろうが、特別利益だろうが資金繰りにプラスの影響を与える項目です。
金融機関が一番気にするのは貸したお金が返済されるかです。

返済をするのは損益計算書上の利益ではなく、現金預金です。
いくら利益が出ていても、現金預金がなければ返済はしてもらえません。
そのため資金繰りにプラスの影響を与えるものに関してはプラスの評価となります。
但し、資金繰りに影響を与えない特別損失と同様に、資金繰りにプラスの影響をあげるといえども、特別損失を計上して、二期連続赤字になると危険です。
うっかりやってしまいそうな借入がNGになる8つの行為。

企業の返済能力を分析する銀行マン

編集後記

本業に関係ない特別利益と特別損失について書きました。

大前提は、赤字よりは黒字であるということですが、次に大事なのは資金繰りにプラスの影響なのかマイナスの影響なのかということになります。

但し、この部分に関しては金融機関の担当者のレベルにもよりますので、必ずしもとは言えませんが、この論理を知っていることで、逆にプラスの影響を与えている特別損失(土地売却損や保険解約損など)の場合には、資金がプラスになっていることをアピールすることで、金融機関の評価を変えることができる可能性もあるといえます。

知っているか知らないかで、金融機関から借入ができるか大きな影響があることもありますので、金融機関が何を重視しているのかをしっておきましょう。

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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