金融機関の融資審査のポイント【損益計算書編】

読了時間目安:約 6分45秒

金融機関の融資の際に非常に重要なのが貸借対照表と損益計算書になります。
他にも様々な書類を見ますが、業績を客観的に審査して融資をする上で、貸借対照表と損益計算書が全ての基準となります。
今回は、損益計算書の融資審査時のポイントをまとめてみます。

企業が黒字か赤字か

金融機関が真っ先に見るのはその企業が黒字か赤字かという点です。

金融機関が1番気にするのは、企業が貸したお金を返してくれるかです。

当たり前の話ですが、赤字の企業より黒字の企業のほうがお金を返してくれる可能性は高いはずですので、まずはここが確認されます。
(赤字だと絶対借りられないという意味ではありません。)

業績の推移

通常は3年程度になりますが、業績がどう推移してきたかを見られます。
恐らく通常の経営者の感覚と「減収増益」と「増収減益」に違いがあるのではないでしょうか?

増収増益

3年連続増収増益であれば評価は非常に高くなります。

減収増益

これも金融機関からは非常に評価が高くなる要因です。
売上はコントロールしづらい外部要因によって大きく変動しますが、経費は自社でコントロールできると多くの金融機関が考えているからです。

つまり、売上が減ったにも関わらず、経費削減で利益が増えたということは、経営者の経営努力の成果だと考えられ評価されるわけです。

増収減益

これは金融機関からの評価は前述の2つに比べ良くありません。
外部環境に依存する売上高が伸びているのに利益が減っているからです。

増えている経費の中身によりますが、交際費等の冗費だと厳しい評価になりがちです。

また、広告宣伝費などのお客様獲得費用についてですが、経営者側からすると将来にわたってのお客様を獲得する経費のはずが、金融機関の担当者からは、前年対比で減益するほどのお客様獲得費用を使わなければ、(増収後の)売上高をあげられないのかと思われることも多々あるので、注意が必要です。

経営者の感覚だと増収減益でもお客様の数が増えての結果であれば、喜ばしいことですが金融機関の見方は違うということです。

減収減益

利益が出ているのであれば、融資を受けられる可能性はありますが、上記3つと比較すると厳しい評価となります。

現在の借入金÷(税引き後利益+減価償却費)=返済可能年数

税引き後利益+減価償却費=理論上の返済可能額と言われています。

実際には減価償却費だけでなく、損益計算書上では経費になっていますが、実際にはお金の支払がない、貸倒引当金や固定資産除却損や、実際にはお金の入金がある固定資産売却損なども税引き後利益に足して計算することもあります。

各金融機関によって返済可能年数の何年まで貸すかは違ってきますが、目安としては運転資金は10年までと言われています。

つまり、現在1億円の融資を受けていて、年間の返済可能額(税引き後利益+減価償却費)が1千万円だとすると、返済可能年数は理論上、1億円÷1千万円=10年となりますので、これ以上の借入は難しいということになります。

逆に現在の借入金が8千万円であれば、あと2千万円までは借りられる可能性が高いということです。

役員報酬+減価償却費+税引き後利益=実際の収益力

減価償却費と税引き後利益にに関しては、理論上の返済可能額になると書いたので、説明不要かと思います。

役員報酬については、同族経営しているような会社で、会社の利益に応じて経営者(又はその家族)の一存で役員報酬を増減できるような会社の場合には、それを含めて実態の利益を見ます。

例えば、昨年の利益が1,000万円、今年が1,500万円だとしても、社長の給料が、昨年は2,000万円、今年は1,000万円だとすれば、昨年は1,000万円+2,000万円=3,000万円、今年は1,500万円+1,000万円=2,500万円として計算し直し、昨年より今年のほうが実態利益は減っていると評価されます。

この理由は、同族会社において役員報酬は形式的なことが多く、実際の生活費は変わらず、多く役員報酬を計上できる年は節税も兼ねたくさんもらう代わりに、会社の資金繰りが困った場合には自己資産で補填できるように貯めておく傾向があるからです。

つまり、会社に利益として残すか、社長個人に役員報酬として残すかの差しかないことが、同族経営の中小企業には多いためです。

また、別の視点ですが、「役員報酬・減価償却費・税引き後利益」がいかに経営の上でも大事かを以前のメルマガでかきましたので、ご興味ある方はご覧頂けたらと思います。
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儲け

編集後記

金融機関が損益計算書の提出を求めるのは、簡単に言えば「儲かっているのか」、「何年で返済できるのか」ということだけです。

その上で貸借対照表と合わせて見て、表面上の利益と実態の利益にはどの程度違いがあるのかとか、ここ数年の傾向や勢いの確認などをします。

次回は、貸借対照表について書きます。

損益計算書についてはこちらも参考にして頂けると理解が深まるかもしれません。
金融機関(銀行)が見る損益計算書のポイント

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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