地方自治体の制度融資の上手な活用法とメリット・デメリット

読了時間目安:約 6分46秒

都道府県や市区町村が提供する制度融資というものが存在します。
中小企業向けに長期かつ固定、低金利の融資条件が設定されており、更に一定の条件を満たすと、利子の一部の補助(利子補給金)なども存在します。
中小企業には欠かせない融資制度です。

地方自治体の融資制度とは

各都道府県や市区町村といった地方自治体が金融機関に資金を預託し、その預託金をもとに金融機関が中小企業に低利融資を行うものを言います。
また、信用保証協会の保証が条件となります。

通常の信用保証協会の保証付融資に近いですが、地方自治体が融資条件を設定し、金利の一部を金融機関に、保証料の一部を保証協会に、企業の代わりに負担することで、金融機関及び信用保証協会も融資審査や条件を緩和しています。

各自治体が地域の実情に応じて融資条件や融資制度を設計しているので、都道府県や市区町村によって制度が異なります。

制度融資のメリット

金利が低い

中小企業の支援を目的とする融資であり、地方自治体が金融機関と協議をし融資制度を決めるため、一般の融資に比べると金利が低い水準となります。

また、金利は固定金利のケースが多く、制度によっては利子補給金という形で金融機関への利子や信用保証協会への保証料の一部を地方自治体が負担してくれる場合もあります。

この場合、金利や保証料は一度支払、地方自治体から企業へ利子補給金等の名目でお金が借入期間に応じて分割で入金されるケースが多いようです。(地方自治体毎により多少の制度の違いはあるようです。)

返済期間が長い

一般の融資に比べると借入期間が長く設定されている制度が多く、中小企業の資金繰り負担を軽減する効果があります。
また、据置期間(返済不要期間)が設定されているものも多く、返済を開始するまで猶予がある借入制度も多く用意されています。

地方自治体ごとの制度融資の探し方

便利な地方自治体の制度融資ではありますが、地方自治体毎によって制度が違うというのがデメリットです。
例えば東京では良い制度があるにも関わらず、群馬や埼玉では同じ制度がないというのも多々あります。

自分の所属する地方自治体がどんな制度融資を用意しているかはインターネットを使って探すか自治体の窓口でパンフレット等をもらうかがお勧めです。

金融機関の担当者に聞いたり、顧問税理士さんに聞いたりする方法もありますが、その地域に強い方やその地域のお客様が多い方でないと全てを把握出来ていない可能性もあるので、自分で探してみることと併用する必要があります。

インターネットでは、「都道府県名」または「市区町村名」にスペースを入れて「制度融資」と検索すればほとんどの地域で制度融資が一覧で出てきます。

資金調達ナビの活用

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「資金調達ナビ」を活用する方法もあります。

「融資制度」、「助成金・補助金」、「出資・投資」などの資金調達の方法や、「創業・開業・ベンチャー」、「経営安定・セーフティネット」、「研究開発・新規事業・経営革新」などの資金調達の目的、そして「都道府県」などのカテゴリーから、資金調達の方法を検索することができます。

経営革新計画の認定により有利になる制度

地方自治体毎に中小企業新事業活動促進法に基づく「経営革新計画」の認定を受けていると、有利になる制度が用意されています。

経営革新計画とは、中小企業が「新たな事業活動」について「実現性がある数値目標」を中期的な経営計画に盛り込んだものを言います。

これを国や都道府県に認定されると、計画達成のために信用保証、政府系金融機関の融資、税制、助成金などで優遇措置を受けることができます。

制度融資のデメリット

メリットの多い制度融資ですがデメリットもあります。

実務上最大のデメリットは、借換の際に地方自治体から援助を受けた利子や保証金について返却しなければいけないことです。

制度融資で5年借り、3年経過時点で有利な融資制度があって借り換えた場合には、3年間にわたって地方自治体から入金された金額も返金する必要が出てきますので、その辺まで加味して借換をするか否かを検討する必要が出てきます。(借換をせずに5年間で完済した場合には返済不要)

国会議事堂

編集後記

各融資制度を難しい順に並べると、
金融機関独自のプロパー融資>保証協会の保証付き融資>日本政策金融公庫の普通融資=制度融資>緊急保証制度融資>日本政策金融公庫のセーフティーネット
となります。

つまり今回ご説明した制度融資は緊急の場合を除いた融資の中ではもっとも借りやすいものとなっています。

ぜひとも活用してほしい融資制度である一方、地域差があるので、知っているか知っていないかによって、利用できるできないの差が出やすい融資でもあるので、自社の所属する地方自治体の動向には注意を払い、ぜひとも利用してもらいたいものです。

プロパー、保証協会、日本政策金融公庫、制度融資、セーフティネットなどの融資制度を知って、金融機関と上手な付き合いをしていきましょう。

借入基礎知識:借入の種類編 ①プロパー融資と保証協会付き融資

緊急保証制度(セーフティネット)融資とは?制度と対象

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付とは?

などを参考にして頂けたら幸いです。

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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