金融機関の融資審査のポイント【仮払金の内訳書編】

読了時間目安:約 7分27秒

貸付金と同様にその内容を重点的にチェックされる勘定の1つです。
仮払金を筆頭に「仮」のつく仮勘定は仮(一時的)なもののはずですが、長期的に仮勘定で処理されているお金があると問題がありますので、キチンと整理しておきましょう。

融資審査で問題とならない仮払金の内容

従業員の出張費や消耗品の購入等の立替払い的な要素のある仮払金は問題ありません。

二期分の決算書を比較して同額が計上されていたとしても、差額補充法的な経費精算をしている会社も多くあるので、特段問題になることはないでしょう。
(経費精算の差額補充法とは、最初に従業員に5万円仮払し、その月の使用額を精算表等で明示してもらい、その金額を補充する方法です。例えばその月の使用金額が4万8千円だとすると、残額が2千円となります。差額である4万8千円を仮払いし、常に月に一回など一定の時期に定額の5万円の状態にしておく方法を差額補充法といいます。)

経営者または役員に対する仮払金であっても同様の内容であれば特段融資審査の際に不利になるようなことはありません。

融資審査で問題となる仮払金の内容

基本的には、仮払金とは一時的な出金内容のはずですが、そこから外れるものは融資審査においては内容を確認される対象になります。

基本である一時的な出金以外の多くは融資審査において問題のある可能性が高いです。今回は代表的な例をあげさせて頂きます。

塩漬け状態の仮払金

前期の決算書や前々期の決算書と比較して、相手先、金額が変わらずに同額が内訳書に載っていると内容を確認されます。

内容にもよりますが、仮払金が長期的に残っている合理的な理由はあまりないと思います(上記のような差額補充法的な経費精算をしているものは除く)

長期的な出金であれば長期貸付金になるものが多いでしょうし、返してもらえる見込みがないのであれば、仮払金ではなく、適正な経費科目にするべきだからです。

役員に対する実質貸付金

貸付金にすると利息を会社に払わなければいけません。
金融機関の融資審査のポイント【貸付金の内訳書編】

そのため、貸付金という勘定科目を使わずに仮払金にしているケースがありますが、勘定科目は仮払金でも内容が貸付金であれば、貸付金と同様の視点で融資審査されます。

むしろ、その経営姿勢が問題視される場合もありますので、注意しましょう。また、実質が重要視されますので、税金の計算上の問題もあります。

実質不明金の処理としての仮払金

中小企業ではよくあることの1つですが、現金管理がしっかりしておらず、金融機関の通帳から引き出した現金から領収書などのある使った経費を引いてみたら、実際の手元残高より多かったというケースなどです。

つまり、帳簿上の現金残高が、実際の手元残高より多い状態で、実際はお金がないのに、何に使ったのかが不明なため、帳簿上にだけ架空の現金があるかのような状況になっているケースとなります。

このままでは現金が多額にあることになってしまいますので、仮払金として処理をし、現金残高を手元残高と一致させる処理をしているケースが多々あります。

この場合、金融機関は現金管理のできていない会社、仮払金で処理した分は本当は経費になるはずなのに、管理ができていないから経費になっていないお金とみなし、損益計算書の利益から仮払金が増えた分だけマイナスとみなします。

利益は少なく見られる上に、管理が不十分な会社と二重のマイナスがされるということですね。

この他にも表に出せないお金を経営者に対する仮払金として出金するケースもありますが、これも問題となります。

表に出せないお金がある時点で金融機関の融資審査では不利になります。

また、こういうお金を経営者に対する仮払金で処理する傾向があるため、経営者に対する仮払金は特に念入りにチェックされる傾向にあります。

実質役員への報酬(給料)としての仮払金

二期連続赤字になると金融機関の融資は大きく不利となります。
うっかりやってしまいそうな借入がNGになる8つの行為。

それを知ってか知らずか、役員報酬を減額して利益を確保するケースがあります。

役員報酬が1,000万円、利益が▲500万円の会社であれば、役員報酬を300万円にすれば、利益が200万円でることになるからです。

実質的には、役員報酬+減価償却費+利益の合計額の増減で見るので、上記の例では、どちらも+500万円で評価自体は大きく変わらないのですが、やはり見た目が黒字か赤字かで印象は大きく違います。

また、二期連続赤字は敬遠されがちということから考えても役員報酬を減額して黒字にすることは一定の効果はあります。

しかし、役員の生活レベルを下げる等の削減が出来ての役員報酬減額なら良いのですが、形だけ役員報酬を下げたは良いが、生活費が足らず実際に役員に支払っている金額が変わらない場合があります。

この場合、貸付金か仮払金で処理されることとなりますが、その分は当然に利益からマイナスされることとなります。

仮払金をチェックする上司

編集後記

仮払金も貸付金と同様に金融機関から注目されやすい勘定科目の1つです。

その理由は、役員報酬の減額や不明金の処理などといった利益調整に使われやすい科目だからということがあります。

金融機関から評価の高い決算書を作りたい場合には極力、貸付金や仮払金はもちろん、立替金や仮受金などの仮勘定を決算日にはなくしておきましょう。

ごちゃごちゃした決算書より見た目のきれいな決算書のほうが金融機関からの評価は高くなります。

しかし、既に貸付金や仮払金のある企業はなかなか一朝一夕できれいな決算書にはできません。

長期的な戦略が必要となってきますので、専門家の方と相談してきれいな、そして金融機関や税務署をはじめ見る人から評価が高くなる決算書を作って行きましょう。

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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