【VOL116】BSCを参考にしたKPI設置による経営改善の事例

読了時間目安:約 12分49秒

BSC(バランススコアカード)やKPI、そしてその前提となる経営計画書(経営方針書)について書いてきましたが、今回はその導入事例についてご紹介します。

※説明を簡略化するために細かい部分を簡略化しています。また便宜上、実際の導入事例とは業種も変えています。

まずはこちらから読んでいただけると理解しやすいと思います。

【VOL112】バランススコアカードとは、財務以外の数字も業績評価に取り入れる方法

【VOL115】BSCや人事評価制度の導入前に絶対に必要な経営計画書(経営方針書)



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今回は『BSCを参考にしたKPI設置による経営改善の事例』です。(編集前のメルマガは2016年7月20日(水)に配信されています)

導入会社の詳細

家庭教師事業。
集客フローは、テレアポ→訪問→成約です。(実際にはテレアポに対しての規制が厳しくなっていたので、ウェブ・DM・ビラ・置きチラシなどへ移行していましたが、説明の便宜上テレアポ一本とします。)

成約になったお客様にはプランによっての月謝をもらい、家庭教師には1時間あたりで報酬を支払うスタイルです。

基本の人員構成は、アポインター、営業、総務・経理、家庭教師、教務です。

この会社のキーポイントはアポインターと営業マンの営業効率をいかにあげるかが1番重要でした。

基本的に総務・経理は1人で完結しており規模に適した間接部門だったので問題なかったからです。
また、家庭教師は生徒さんがいた場合に報酬が発生するので、金銭的なロスはないというのも1つの要因です。

一方、家庭教師の授業レベルをあげるのは次の課題でしたので、教務を中心に教え方を指導し、商品サービスの品質を向上する必要がありました。

ミッション

「教育機会の均等化」

学校や先生のレベル、更には家庭の裕福さによって子どもたちの教育機会に不公平がある現実を変えるというのをミッションに掲げていました。

ビジョン

「志望校合格率100%」

有名大学への合格者◯名のような目標を掲げている同業が多い中、家庭教師だけでなく教務課が一体となり、生徒の志望校を決めるところまで相談に乗り、学力ではなく、少なくとも現時点でやりたいことをやれる学校を生徒が志望校に掲げることを目指していました。

なので、A大学のほうがB大学より学力が高いから、本当は法学部に行きたいんだけどA大学の法学部は難しいから、A大学の別学部にしようみたいなことは一切なしを志の1つとして掲げていました。(両親の要望との兼ね合いで難しい場合もあったようですが・・・)

「生徒の立場に立ち一緒に考える」

上記の学力ではなく、やりたいことをできる学校というのと同様で、現時点で興味を持っていることができる学校への合格を目指していました。
なので、必ずしも大学ではなく専門学校というのもありだったようです。

もし自分が生徒だったら、もし生徒が自分の子どもだったらという思いで考え仕事をするのを会社の志としていました。

KPI導入の視点

目指すところは明確になっていたので、KPGの設定は「志望校合格100%」にしました。
それに向かって達成しなければいけないKPIの設定をどうするか?
この部分をBSCの観点を入れながら導入していきました。
あくまでBSCの観点なので、BSCの考え方と違う部分もありますのでご容赦ください。フレームワークの1つとして活用しています。
各視点毎に一部ですがご紹介致します。

財務の視点

・売上目標の達成(1人でも多くの生徒様に利用していただくという目標を表すのは売上なため)
・経常利益率◯%以上(利益が出なければ事業継続が困難なため)
・労働分配率◯%以下(家庭教師は変動費として扱っていたため、前述したポイントとなる営業・教務・アポインターの効率が現れるのは労働分配率だったため)

顧客の視点

・志望校合格率100%
・年間途中解約率◯%以下(解約数/お客様数)
・進学2年後と4年後のアンケート実施により、進学校に後悔していないかの調査、満足度100%

業務プロセスの視点

・1時間当たりコール数◯件以上
・アポイント率◯%以上(アポイント数/コール数)
・成約率◯%以上(成約数/アポイント数)
・教務課の生徒との3ヶ月毎面談率(面談数/担当件数)

人材の視点

・アポインターのロールプレイングによるテスト制度の導入と合格者数
・営業のロールプレイングによるテストと研修制度の導入と合格者数
・教務課による家庭教師の研修回数と家庭教師に実施するテストの平均点数
・教務課を対象とした受験事情の研修(講師は教務課内の持ち回り)と習熟度テストの実施

中小企業の経営改善のためのポイント

相談を受ける中小企業の多くが何かしらの問題点を抱えていて、業績にも悩んでいる企業が多くあります。

共通することは、
・目標がない(ビジョン・ミッション・戦略がない)
・目標はあっても作っただけで満足し、実行されていない
・目標の進捗をチェックする仕組みがない
・継続する仕組みがない
のいずれかです。

逆にいえば、これさえできていれば、多少やり方にロスやムダがあったとしても儲かっている会社が多いのも事実です。
他社(ライバル)が出来ていないからこそ、差がつく要因になっています。

つまり、正しいKPIを設置し、PDCAサイクルを正しく回せれば会社が成長するのは間違いないわけです。
細かい戦術の部分は専門家もたくさんいるのでお願いすれば解決します。

問題は、無計画による無策な経営がされていることです。

外部の人間を活用する

コンサルタントでも社外取締役でも構いません。
外部の人間が入ることで、やらなければいけない環境をつくることができます。

自分自身にもの凄く厳しくできる経営者であれば、外部の人間は必要ありませんが、人間そこまで強くできていないものです。

特に経営者は自分を縛るものが少ないですから、何か理由をつけていつの間にかPDCAサイクルを回すために決めたチェック会議や改善会議をしなくなってしまいます。

しかし、これが外部の人間の目があり、悪く言えばお尻を叩かれれば、やらざるをえません。

ある有名コンサルタントは他社の進捗管理などをする仕事をしているのに、自分自身の仕事には甘くなってしまうからという理由で、自分自身には別のコンサルタントをお願いしているそうです。

笑っちゃうような話しではありますが、確かにそれが本質なんだろうなと妙に納得した覚えがあります。

他人との約束は守れますが、ダイエットをはじめとした自分自身との約束はなかなか守れないものです。

経営でも同様で、お客様との期日は守れても自社内の期日は守れないことが多いのではないでしょうか?
お客様優先なのは当たり前ですが、同じ仕事量が対お客様にあったとしたら期日は守れているはずです。
なので、自社の期日が守れないのは言い訳です。

それを改善するためには、口うるさく指摘してくれる他人の目というのが必要です。

KPIの設置の技術

これは技術の話なので、PDCAを継続して実施することに比べたら重要度は落ちますが、正しいKPIを設置することができるかできないかで事業の成長スピードは格段に変わってきます。

勉強に例えるとわかりやすいですが、間違った勉強法で勉強しても効果はなかなか現れません。
勉強でも独学であればPDCAサイクルを回すことで、時間がかかりますが、正しい勉強法へと自らを導くことは可能です。

しかし、塾や予備校、家庭教師をお願いすれば、正しい勉強法で、先生という他人の目がありながらPDCAサイクルを回せることとなりますので、勉強効率が良いのは間違いありません。

経営も同様でKPIが間違っていたらいくら頑張っても効果がありません。
効果がないという結果を見て、改善を重ねることで正しいKPIを設置できるかもしれませんが、時間がかかります。

例えば契約書を作るのに弁護士にお願いすれば正しいものがすぐにできるのに対して、自分で作ったら時間がかかるし正しいものができるかも怪しいものです。
これは経理などでも同様です。

弁護士や税理士の領域になると理解していただけることが多いのですが、これは営業、採用、教育も同様で自社の専門分野意外は素人なのですから、専門家に頼んだ方が間違いありません。
そういう意味でKPIの導入も短期間で結果がほしいのであれば、専門家にお願いすることをお勧めします。

(専門家でも個々の企業の事情があるので、トライ&エラーを繰り返しながら正解を見つけることにはなると思いますが、独学でやるより圧倒的に早く的確なのは間違いありません。)

PDCAサイクル

編集後記

PDCAサイクルを継続して回せていない中小企業が本当に多くあります。
そういう企業に限ってブームなどで一時的な企業を除いて赤字です。

KPIの設置ももちろん重要ですが、継続してやることのほうがもっと大事です。

継続して出来ている企業が少ないからこそ、継続できる企業になれれば、他社との差別化になります。

なので弊社では短期の取引はしておらず、一度契約したら一生のお付き合いができるような経営者、会社とお付き合いするようにしております。

儲かっていない中小企業の多くが、当たり前のことを当たり前にできていないだけだということをもっともっと伝えていきたいと思っています。

経営計画書(経営某新書)の作成→BSCを参考にしたKPIの設置→人事評価制度の作成→毎月の振り返り及び改善会議→四半期毎(又は半年毎)のKPIの見直し→年間振り返り

このサイクルを繰り返していれば会社は必ずよくなるという信念で仕事をしています。
現実にお手伝いさせていただいているお客様はすべて黒字かつ毎年成長しています。

経営がよくなれば、お客様への還元がもっとでき、スタッフの給料や休みも増え、仕入先や外注先へも安定して仕事をお願いでき、更には地域社会への貢献もできるなど、幸せになる人、喜んでいただける人、笑顔になれる人が増えていきます。

逆に経営が悪くなれば不幸になる人が増えてしまいます。

日本の企業のうち中小企業の割合は99.7%とも言われています。
中小企業の経営が良くなれば本当に多くの人のお役に立てると思いますので、サイトでの情報発信はもちろん、一件でも多くのお客様のお手伝いができるように頑張っていきます。


最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。
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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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