【VOL69】上場企業の財務分析:くら寿司の業績

読了時間目安:約 7分57秒

今回は前々回のかっぱ寿司の財務分析、前回のスシローの財務分析に引き続き、今回はくら寿司の財務分析を【VOL66】企業の経営状態がわかる4つの見るべき財務上の数字に基づいてしていきます。

行き当たりばったりで始まった企画でスシローに関しては減価償却費がわからなかったり、数年前の決算書しか資料として見つけられなかったりと、資料不足準備不足の感もありますが、あくまで単年の財務分析で会社の善し悪しがわかるわけがないと割り切り、あくまで財務分析の実践編としての位置づけとして見ていただければと思います。

そんな3回目はくら寿司です。

参考:
【VOL67】上場企業の財務分析:かっぱ寿司

【VOL68】上場企業の財務分析:スシロー

金融機関が融資の際に、2期もしくは3期分の決算書の提出を求める理由もこの単年では企業の本当の力はわからないというところに理由があります。

ご興味ある方は、以前に書いた記事を参考にしてみてください。
【VOL31】試算表の正しい見方。試算表は比較してみましょう!



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今回は『上場企業の財務分析:くら寿司の業績』です。(編集前のメルマガは2015年8月26日(水)に配信されています)

くら寿司のIR情報

まずはくら寿司のIR情報を見て、財務分析に必要な数字を集めてみます。

いつものように「企業名 IR」で調べると簡単に出てきます。

今回は株式会社くらコーポレーションの平成26年10月期の有価証券報告書に基づいて財務分析をしてみましょう。

くら寿司の重要指標

平成24年9月期(連結決算の数値)
売上高・・・・・約969億
粗利益額・・・・約526億
営業利益・・・・約48億
経常利益・・・・約52億
当期純利益・・・約30億

減価償却費・・・約33億

総資産・・・・・約381億
純資産・・・・・約224億

有利子負債・・・約46億(リース負債を含む)

くら寿司の総資本経常利益率は?

経常利益(約52億)÷総資産(約381億)=約15.2%

理想は10%です。
スシローの26.9%には達していませんが、効率の良い経営をしていることがわかります。
(ただし、くら寿司は一定の条件の関連会社を全部含む連結決算とスシローは関連会社を含まない単独決算ですので、単純比較はできません。)

かっぱ寿司と同様に土地と建物が総資産の大きな割合を占めていますが、経常利益額が約52億(かっぱ寿司は約8億、総資産は351億)と高いため、同じくらいの資産をもつかっぱ寿司と比較しても利益効率が良い経営ができていることがわかります。

くら寿司の償還年数は?

本来は税引き後利益で計算したいのですが、かっぱ寿司とスシローは諸事情があり経常利益額で計算しましたので、くら寿司も経常利益で計算しようと思います。
有利子負債は、短期借入金、長期借入金、1年以内返済長期借入金、リース債務をいれています。

有利子負債(約46億)÷(経常利益(約52億)+減価償却費(33億))=約0.5年

10年を超えたら危険と言われていますが、今期の利益と減価償却費で全て返済できてしまうので、非常に優秀な数字といえます。
仮に本来の税引き後利益で考えても、税引き後利益約30億+減価償却費33億=63億ですから、46億÷63億=約0.7年ですからやはり1年未満です。

有利子負債が46億というのが非常に低く、借入金に依存していない体質ですので、非常に安定している企業といえます。
(有利子負債の額は、かっぱ寿司約177億、スシロー約66億です。)
売上規模、総資産の規模、どちらから考えても、この3社の中ではかっぱ寿司が抜きん出て借入金が多いことがわかります。

くら寿司の自己資本比率

純資産(約224億)÷総資産(約381億)=58.8%

3社の中では唯一50%を超えていて非常に優秀といえます。

この自己資本の充実が借入金の依存度を下げ、そう資産を少なくすることにもつながり、財務的にも安定した、そして効率的に利益を稼げる会社になっているといえます。

くら寿司の損益分岐点比率

100%ー(経常利益(約52億)÷粗利益額(約526億))=90.1%

売上高が9.9%減少したら赤字に転落してしまう数字です。

理想は80%ですから安心はできない数字といえます。

但し中小企業と違い、投資家や債権者保護の観点から、将来の負債、例えば退職給付引当金等もすべて会計基準に合わせて計上していますので、同じ視点では考えられませんが…

ちなみに粗利益率は粗利益額(約526億)÷売上高(約969億)=約54.2%です。
かっぱ寿司56.1%、スシロー約50.7%、元気寿司約59.1%などと比較してみると悪くなく真ん中くらいの数字といえます。

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編集後記

損益分岐点比率のみスシローに負けていますが、他の項目に関してはすべてくら寿司がよく、効率的な経営(総資本経常利益率)をしながら、財務的にも安定している(自己資本比率)といえ、更には借入依存度が低い会社といえます。

結果、短期的にライバルとの競争に負け赤字に転落することがあっても、すぐに潰れるようなことはなく、巻き返しをする時間があることとなります。

単純に、この年に利益が出ているので分析結果が良くなっている部分もありますが、自己資本額の厚さや借入金依存度は会社の長期的な経営の結果ですから、単年の数字が良いから改善されるものではありません。

そういう意味でも、くら寿司は安定した企業といえます。

財務分析の実践として参考になったとしたら幸いです。

他にくら寿司を財務分析した記事がありましたので、参考に載せておきます。
【財務諸表が読める・わかる】 あの回転寿司チェーンの財務諸表からこんなことがわかる

回転寿司業界について書かれた記事です。
回転ずし業界 下剋上へ 「くら寿司」「元気寿司」新たな2強候補


最後に

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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