【VOL63】投資活動と財務活動によるキャッシュフローで損益とお金の増減は大きく変わる

読了時間目安:約 11分27秒

繰り返しになってしまいますが、キャッシュフロー計算書は、損益計算書の利益と現金預金の増減の違いを表すための表です。

詳しくはこちら
【VOL58】キャッシュフロー計算書でわかる、絶対に知っておきたい儲かっているのに資金がなくなる3つの理由!

今回はその中でも損益計算書の利益と現金預金の増減の大きな違いとなる投資活動と財務活動によるキャッシュフローについて解説させていただきます。

「利益は出ているのにお金がない」はもちろんのこと、「赤字なのになぜかお金がある」のどちらの原因も投資活動または財務活動が原因のことが多くあります。

前回の営業活動によるキャッシュフローと合わせてキャッシュフロー計算書を道具として使いこなせれば、「利益は出ているのにお金がない」も「赤字なのになぜかお金がある」のどちらも原因が解明できるだけでなく、対策までできることでしょう。

前回の営業活動によるキャッシュフローについて
【VOL62】経営者ならこれだけは知っておきたい!営業活動によるキャッシュフローの基礎



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今回は『投資活動と財務活動によるキャッシュフローで損益とお金の増減は大きく変わる』です。(編集前のメルマガは2015年7月15日(水)に配信されています)

投資活動によるキャッシュフローとは?

土地や建物などの不動産の購入や、掛け捨てではなく積立式の保険の積立部分など、お金は出ていっているものの、売却したり、解約したりでお金が将来入金される可能性があり、お金を支払った時の経費に損益計算書上ならないものがこの項目に入ってきます。

逆に、土地や建物の売却による収入や保険の解約による収入金額もここに入ってくることとなります。

例えば10年前に1億で買った土地が、今期2億で売れたとしたら、損益計算書上は1億の利益が計上されますが、お金は2億円増えますので、このズレを調整するのが投資活動によるキャッシュフローの役割となります。

資料を分析する

投資活動によるキャッシュフローにはどんな項目があるのか?

ここから多少退屈かもしれませんが、投資活動によるキャッシュフローの各項目のご紹介と説明を1つずつしていきます。

土地や建物はもちろん、営業権や商標権など、将来にわたって価値があると会計上認められるものが資産として決算書に計上され「投資」とみなされるため、その項目は多岐にわたりますので、代表的なもののみを列挙致します。

有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出

土地や建物、機械、車両、備品などの有形固定資産の購入やソフトウェアや営業権などの無形固定資産の購入にかかる支出をここに表示します。

有形固定資産や無形固定資産を購入していれば、損益計算書では経費にはならないにも関わらず、お金は出ていくので、キャッシュフロー計算書上は減算することとなります。

有形固定資産及び無形固定資産の売却による収入

購入時とは逆で、損益計算書上での処理がどうであろうと売却した金額のお金は入金するわけですから、キャッシュフロー計算書では加算することとなります。

この時に損益計算書で認識した売却益や売却損は、営業活動によるキャッシュフローのその他調整で取り消す処理をすることとなります。(詳しくは後日解説致します。)

投資有価証券の取得による支出

これも上記と同様で、有価証券を買った際には経費にならず、損益計算書上は売却時に買った金額より高く売っていれば売却益を、低く売っていれば売却損を計上します。

そのため購入時は損益計算書では経費にならないのにお金は減ることとなりますから、キャッシュフロー計算書上では減算処理をすることとなります。

投資有価証券の売却による収入

有形固定資産や無形固定資産で説明したのと同じで、損益計算書で認識した売却益や売却損は、営業活動によるキャッシュフローのその他調整で取り消す処理をすることとなります。(詳しくは後日解説致します。)

その上で、実際の売却金額が増えたお金なわけですから、キャッシュフロー計算書では加算することとなります。

その他の項目

保険積立金や開発費、開業費に代表されるような、貸借対照表の固定資産の部に計上される科目や繰延資産の部に計上されるような科目が、投資活動によるキャッシュフローで加減算されることとなります。

上記の理屈と同様に損益計算書で経費や利益になっているか?お金の増減は経費や利益に計上した金額と同じか?と考えてみるとその仕組みがわかるのではないかと思います。

財務活動によるキャッシュフローとは?

お金の貸し借りや資本金の増減、株主への配当などに関するお金の増減を表す項目です。

損益には一切影響しない科目が多いので、投資活動によるキャッシュフローや営業活動によるキャッシュフローよりわかりやすいのではないかと思います。

財務活動によるキャッシュフローにはどんな項目があるのか?

ここから多少退屈かもしれませんが、今までと同様に財務活動によるキャッシュフローの各項目のご紹介と説明を1つずつしていきます。

短期借入金の増減

短期借入金を借りた時はお金が増えますが、損益計算書で利益を計上するわけではありません。

お金を金融機関から借りただけで収入に計上していては借りた金額の法人税を払わなければいけなくなるからです。
そもそも借りたお金は返さなければいけないので、自社の利益ではありません。
逆にお金を返しても会社の経費にはなりません。

なので、借りても返しても損益計算書には影響しないので、借りた時はキャッシュフロー計算書で加算を、返した時はキャッシュフロー計算書で減算をすることとなります。

長期借入金の増加

上記と同様の理由で損益計算書には何の影響も与えないので、借りた時はキャッシュフロー計算書上では加算することとなります。

長期借入金の返済

同じ理由で返済時はキャッシュフロー計算書上では減算となります。

長期借入金については、長期借入金の増減という形でまとめて表示するより、別々に表示するのが一般的です。

その理由は「税引き後利益+減価償却費」や「営業活動によるキャッシュフロー」、「フリーキャッシュフロー」など、それぞれのキャッシュフローで長期借入金の返済ができているのかを確認することが経営上重要だからです。

借入金は将来の利益で返済するという原則からすると、現在返済している借入金分を返せるだけの利益は出ているかを比較したいので、増減という形にしてしまうと見にくくなってしまうからです。

貸付金の増減

借入金のところで、借りた時に収入にならず、返した時に経費にはならないとご説明しました。

ですので、当然お金を貸す時もお金はでていきますが、経費にはならず、返してもらった時にはお金が入ってきますが、収入にはなりません。

なので、キャッシュフロー計算書上は貸した時に減算をし、返ってきた時に加算をします。

割引手形の増減

割引手形は手形を担保にお金を借りる行為ですので、財務活動の一部としてみられます。

借入金の増減と同様に、割引手形が増えた(=借入をした)時にお金が増えるのでキャッシュフロー計算書上は加算を、割引手形が減った時には減算をすることとなります。

覚える必要はないですし、読んで混乱するようなら忘れてしまって構いませんが、ちょっと細かい話をすいると、割引手形が減ったときは実際にはお金が減りはしません。(担保に入れていた手形が決済されるため)

キャッシュフロー計算書上は、営業活動として担保に入れていた受取手形が減るので、お金が増えたこととして加算し、財務活動で割引手形が減ったこととして減算することとなり、差し引きでは増減ゼロということになります。

資本金の増減

資本活動は損益として認識されないので、資本金又は資本準備金、利益準備金その他資本項目が増えた時は、実際にはお金が増えるので、加算します。逆の場合は減算することとなります。

配当金の支払

配当金は確定した利益を株主に還元する行為ですので、利益処分とよばれ損益計算書では収入にも経費にもなりません。

ただ、配当を支払うということはお金が出ていくことになるので、キャッシュフロー計算書上では減算することとなります。

編集後記

いかがだったでしょうか?

財務活動は損益計算書ではプラスにもマイナスにもならないので、お金が入っていったか出ていったかだけを考えれば良いので簡単だったのではないでしょうか?

逆に投資活動は売却損が出ているのにお金が増えていることもあるので、混乱したのではないでしょうか?

はっきりいって経営者がこんな細かいところまで覚えれる必要はありません。

経営者が抑えなければならないのは、なぜ会社のお金が増えているのか、または減っているのかです。

それが利益(又は損失)が原因なのか、本業の取引条件によるもの(営業活動)なのか、資産の売買によるもの(投資活動)なのか、お金の貸し借り(財務活動)なのかをしっかり把握し、会社の資金繰りを改善するために有効な手を打つことです。

そのために少し細かいところまでご説明しましたが、今一度自社のキャッシュフロー計算書を見て財務戦略や改善のお役に立てるための参考になれば幸いです。


最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。
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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida

経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。
また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。
なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。
詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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