ちょっと待った!

良い値引きと悪い値引きを財務的観点から解説しました。

安易に値引きをしてしまうケースもあると思いますが、値引きをすること、又はしないことによる利益に与える影響をしっかりと理解した上で、値引きの決定をしているでしょうか?

値引きは絶対悪ではなく、赤字になってもして良い値引きもありますので、ぜひご一読ください。

今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。

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今回は「その値引きちょっと待ってください。これだけは覚えておきたい、値引きのルール」です。(編集前のメルマガは2014年07月02日(水)に配信されています)

ちょっと待った!

値引きの基準は何か

値引きの基準は2つあります。

まずは変動費と固定費を思い出して下さい。
忘れてしまった方は復習して下さいね!
(→【VOL4】財務に強い経営者の習慣の1つである費用の色分けの仕方

変動費とは売上高に変動して増えたり減ったりする経費です。
主に仕入高や外注費、外注加工費のことを言います。(業種によります)

例題を基に値引きを計算してみましょう

50円で買ってきたもの(=仕入高)を30円で外注加工してもらい(=外注加工費)、販売している会社があるとします。

この会社の固定費(=人件費や家賃など)は月に400万かかります。

さて、1個いくらで販売すべきでしょうか??

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

価格設定はお客様が感じる価値が適正です

答えはお客様が感じて下さる価値の金額で販売して下さい。

しかし、これでは数字的な答えになりませんね。

「価格=お客様の感じる価値」ですから、これが答えなのですが、会計的に考えるといくらまで値上げして良いかはともかく、いくらで販売すべきかの最低限の金額は計算できます。

価格設定を会計的に数字で考えると・・・

1つ目の値引きの基準は?

値引きの基準は2つあると言いましたが、1つ目は変動費を超える金額かどうかです。

簡単に言いますと、仕入高50円+外注加工費30円=80円を超える金額なら販売すべきです。

変動費を超える金額なら販売すべきということです。

ここを商品1個当たりの人件費や経費を入れた原価や、労働時間という概念を入れてはいけませんよ。

簡単な計算ですが、1個も売れなければ、この会社は固定費400万円かかりますので、▲400万円になります。

つまりお金が400万円なくなるということです。

でも1個81円でも売れれば1円の利益がでるわけです。400万個売れれば損益トントンです。

81円は大袈裟ですが、本来定価が200円だった商品でも半額の100円で売れれば20円の利益がでます。

よく在庫品のバーゲンセールをやっているのは、この考え方が基本です。
バーゲンセールをやってもやらなくても、お店の家賃や従業員のお給料はかかります。
在庫品を捨てるくらいなら、売って利益を出したほうがマシという考え方ですね。

2つ目の値引きの基準は?

但し、バーゲンの場合は捨てたらゼロ円なので、赤字でも売ってしまいます。
つまり、上記の例でいくと、捨てたら1個▲80円ですが、50円でも売れば、▲30円に赤字が小さくなるからですね。

値下げをすると、ブランドが崩れるとか、様々な問題がありますが、固定費の分を稼げるようになるまでは、何が何でも粗利益(売上高-仕入高)を稼ぐことに専念すべきです。

もちろん、最初から安易な値下げや安さだけを重視した値決めは良くありませんが、売れなければ利益はでないわけですから、固定費のほうが多い赤字の会社は、数字的なことだけで判断するのであれば、値引きをしてでも売ったほうが良いということです。

そう、2つ目は自社の粗利益が固定費を上回っているか、つまり自社は利益が出ているかです。

利益が出ていなければムリをしてでも売らなければなりません。
ブランドも大事ですが、赤字では潰れてしまいます。
潰れてまでも守りたいブランドや戦略があるのであれば別ですが、まずは黒字にするために値引きをしてでも粗利益を稼いだほうが良いでしょう。
黒字になったあとに、高い金額の商品やサービスを作りだし、じっくり販売したほうが現実的です。

逆にいえば黒字の会社は、ムリをして値引きをする必要はありません。
(但し、黒字の金額以上に借金の返済があったりして、キャッシュが減っている会社は別です。)
自社の長期構想や事業計画と照らし合わせながら展開していけば良いと思います。

次回は違う観点から値引きについてお話致します。

最後に

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