【VOL91】金融機関(銀行)からの借入は長期でするべきか?短期でするべきか?

読了時間目安:約 9分

金融機関(銀行)からの借入には、長期借入金と短期借入金があります。
もし仮にどちらでも好きな方を選んでくださいと言われたら、毎月決まった金額を返済する長期借入金と毎月の返済が不要な短期借入金、どちらを選ぶのが良いと思いますか?



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今回は『金融機関(銀行)からの借入は長期でするべきか?短期でするべきか?』です。(編集前のメルマガは2016年1月27日(水)に配信されています)

短期借入金と長期借入金の違い

短期と長期の違いは1年以内に返済期日が来るか来ないかに主な違いがありますが、通常の短期借入金と長期借入金には、月々の資金繰りに影響を与える別の違いがあります。

※但し半年に一度返済の借入金など特殊なケースもあります。

月々の返済がない短期借入金

一般的に短期借入金は1年以内の期日に一括して返済するケースが多くなります。
また、これは決まりではなく慣習ですが、手形借入に代表されるように、実際に返済せずとも期日の違う手形と取り替えることで、期限を伸ばすケースが多いようです。

手形の差し替えによるジャンプとは

2015年2月に、2016年1月末日の手形で1,000万円を借りたとします。
2016年1月末に1,000万円返済して2016年1月末の手形を返してもらうのでははなく、2017年1月末期日の手形を渡すことで、2016年1月末の手形を返してもらうことをいいます。

つまり、実際には手形を差し替えただけで、1,000万円は借りたままとなります。
これを別名手形のジャンプによる借り換えといいます。

ジャンプによる借り換えも含め、約定による借り換えもありますが、短期借入金は期日に借り換えができることが多いのが現実です。

月々の返済がある長期借入金

同じく1,000万円を借りたら、借入期間に応じて返済していくのが一般的な長期借入金となります。

仮に借入期間が5年であれば、5年×12ヶ月=60ヶ月ですから、1,000万円÷60ヶ月=16万円ずつ月々返済しなければいけないこととなります。

つまり、毎月16万円ずつ返済するお金をどこかから作っていかなければなりません。

土地などの固定資産を売却したり、売掛金の回収期日を早くしたりとお金を作る方法はありますが、最終的には事業なので、利益を稼ぎ、そこから返済したお金を埋め合わせなければなりません。

仮に法人税等の実効税率(地方税も含めた実際の税率)が40%だとすると、16万円返済するためには、16万円÷(100%−40%)=約27万円の利益が毎月必要となります。

それでも借入期間は長いほうが良い!

上記の例だけを見ていると短期借入金のほうがいいようにも見えてきますが、実は短期借入金にはものすごいリスクが潜んでいます。

それは、金融機関が借り換えに応じず、1年後に1,000万円返してほしいというリスクです。

または、禁止はされていますので露骨には言ってはきませんが、担保を増やしてほしいという要望や金融商品の購入の勧めなど、断りづらい状況になります。

借入基礎知識:担保編 ①金融機関はなぜ担保を求めるのか

借入基礎知識:担保編 ②人的担保と物的担保 特徴と違い 

借入基礎知識:担保編 ③不動産の評価方法と担保になりにくい不動産

つまり、金融機関に事業の存続のカギを握られてしまった状態といえます。
この状態だけは避けなければなりません。

手形の期日を含めた返済の約束は、慣習では1年繰り延べることが多いとはいえ、約束自体は1年後に返済することになっているわけですから、返してといわれたら返すほかありません。

逆に長期借入金は、例えば上の事例であれば、月に約16万円を60ヶ月にわけて返す約束になっているので、その間にどんなに業績が悪くなろうが、金融機関の期限を損ねようが、急にまとめて返してくれと言われることはないわけです。

なので、借入は長期であればあるほどいいのです。

財務体質を見るのに最も優れた指標である、資金会計理論でも、短期借入金より長期借入金を安定した資金と見ているのは以上のような理由があるからです。

【VOL83】資金会計理論を活用して事業の本当の財務体質をみましょう

【VOL87】4つの資金の性質をつかんで財務体質改善をする方法

短期借入金を慌てて長期借入金に借り換えようとしないこと

長期借入金のほうが、短期借入金より資金的に安定していることがわかっていただけたと思いますが、決して慌てて短期借入金を長期借入金に借り換えようとしないことです。

理由はいくつかありますが、
金融機関との交渉レベルで、金融機関が短期借入金の返済を迫ったら、その会社が潰れてしまうとわかっている場合、なかなか返済を迫るのは難しいため、借り換えに応じざるを得なくなる場合があります。(実務では結構このケースが多かったですが、これもあくまで慣習ですので、潰れる場合にも返済を迫られるケースはあると思いますので、ご注意を)

しかし、長期借入金であれば、月々の返済額が少ないため、その月の返済をお願いしても潰れるケースは少ないため、返済が滞れば借り換えができるどころか、事故扱いされて、新規はもちろん、折り返しの融資もうけることができなくなります。

そのため、短期借入金を長期借入金に借り換える場合には、借り換えた時の月々の返済額を考えて、その分の利益を稼げるかをしっかりとシミュレーションしてください。

長期借入金の月々の返済額を少なくする唯一の方法

返済期間を長くすることです。
先の事例では、5年だったので、月約16万円でしたが、10年であれば月約8万円となります。

結果、稼がなければいけない利益は、約27万円の増加から、約13万円と減少します。

返済期間を長くするためには金融機関からの自社の格付けをあげることです。

金融機関(銀行)の融資審査の最大のポイント、信用格付けを徹底解剖

信用格付け対策が重要!信用格付けの企業へのメリットとデメリット

格付けを研究しながら、自社の評価点をあげ、短期借入金を返済して長期借入金として月々返済していっても利益で返せる額と期間になった時点で、短期借入金を一掃することが財務体質を良くする方法といえます。

二者択一

編集後記

ある一定規模以上の企業になると金融機関との付き合いは必須となります。
にも関わらず、金融機関のことをよく知らず、言われるがまま、いいようにされているケースも少なくありません。
金融機関は事業を大きくするためのパートナーです。
相手のことをよく知り、上手に付き合っていきましょう。

参考までに、このサイトの金融機関や銀行の記事を集めたページを紹介しておきます。

金融機関や銀行に関する記事一覧

また「金融機関対策や金融機関からの資金調達」などお悩みの生の声を聞かせていただくためにも無料相談を準備中です。(たくさんはできないので月に3社程度になりそうですが…)


最後に

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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