交渉成立

物的担保と人的担保、保証人と連帯保証人、抵当権と根抵当権、難しい言葉なぁと思いつつもどっかで聞いたことがあるという方が多いのではないかと思います。この機会に聞いたことのある言葉から知っている言葉に変えてみませんか?
前回は、

借入基礎知識:担保編 ①金融機関はなぜ担保を求めるのか 

という内容でお話しさせて頂きました。

さて、今回はその担保の種類についてお話させて頂きたいと思います。

人的担保と物的担保

担保の種類には大まかにわけて、人的担保と物的担保があります。
人的担保とは、連帯保証人や保証人といわれるものです。
物的担保とは、土地や建物を担保にすることで、抵当権や根抵当権を設置するといわれています。
最近では売掛金などの債権が担保にできるケースも増えています。

人的担保

人的担保とは保証人のことです。

代表者保証

金融機関が保証人を求める場合、株式会社や有限会社の場合には必ず代表者の保証を求めてきます。
それは、法人は資本金の範囲でしか責任を負わない有限責任の団体ですので、仮に返済できなかった場合には資本金を超える分に関しては、借金が消滅してしまうからです。
その一方で、個人に関しては無限責任ですので、自己破産するまでは返済を要求することができます。

代表者が事業に対してどれだけ覚悟をしているかを見る意味と保全の両面から、金融機関は中小企業のほとんどに代表者保証をつけることを求めてきます。
よほどの優良企業かつ実績がある場合を除いて代表者保証がないケースを見たことがありません。

また、代表者がブラックリスト(過去に自己破産やカードの事故等)に載っているケースだと借入は難しくなります。

保証人と連帯保証人の違い

どちらも借り主が返済不能になった場合に代わりに返済する義務を負う物ですが、通常の保証人が借り主に代わって返済する義務を負うのに対して、連帯保証人は、借り主と同等の返済義務を有するとされています。

具体的には、以下のような違いが保証人と連帯保証人の間には違いがあります。(わかりやすいように以下法律用語は極力使いません。わかりやすさを優先しますので、厳密な意味で違うケースもありますがご了承ください。)

返済拒否の権利(催告の抗弁)(検索の抗弁)

簡単にいうと、保証人であれば、借り主の代わりに返済して下さいと言われても、まずは借り主に請求して下さいとか、差し押さえや強制執行しても回収不能な分だけを自分のところに請求して下さい等いうことができますが、連帯保証人の場合には言う権利がありません。
一度でも返済不履行を借り主がした場合には、金融機関は誰に請求しても良いということになっています。
これは不動産等でも同じで、家賃の支払いが遅れた場合に、借り主に請求せずに連帯保証人にいきなり請求することもできます。

共同責任という考え方

1,000万円の返済ができなくなった借入があったとしましょう。
保証人の場合には、保証人が4人いた場合に、250万円ずつ返済の義務をおいます。
一方連帯保証人の場合には、仮に4人いたとしても金融機関から1人が1,000万円請求された場合には、拒否できません。
(もちろん他の連帯保証人が1部を返していれば、その分は返す必要がありません。)
連帯保証人の誰に請求をするかは金融機関の一存になる上に、連帯保証人側には拒否する権利はないということになります。

物的担保

不動産、建物、在庫資産、株式、売掛債権などのことを言います。
日本では不動産担保の価値が高いので、不動産を持っている方は不動産を担保に求められることが多くあります。
その不動産担保にも種類があります。

抵当権と根抵当権

抵当権とは、1つの借入と紐づいている担保のことを言います。
根抵当権とは、1つ1つの借入ではなく、簡単に言えば1つの金融機関と紐づいています。

例えば、1億の担保として価値を持つ不動産を持っていたとします。
抵当権の場合には、1億の借入に対して、その不動産を担保に入れます。
仮に1億が返済が進んで3,000万円になっても、原則的には別の借入をこの不動産を担保にすることはできません。(改めて担保設定等出来る場合には別ですが…)
余談ですが、このように1億の担保に対し、5,000万円しか借りていない場合の、余っている5,000万円のことを担保余力と呼びます。

一方根抵当権とは、3,000万円の借入と7,000万円の借入の合計1億円に、不動産を担保に出来ます。
仮に返済が進んで合計金額4,000万円に借入になった場合には、追加で6,000万円借りることができます。(厳密には6,000万円の担保余力が出来ただけで、借りれるかどうかは金融機関の審査次第です。)

抵当権と根抵当権のメリットとデメリット

抵当権のメリットは、借入ごとの設定のため、借入が返済できれば抵当を外すことができることです。
つまり、追加借入の必要がない場合には、返済を終えたら不動産の担保設定を外せる抵当権のほうが良いわけです。

一方、デメリットとしては、借入ごとに担保設定をしなければいけないので、追加融資が欲しい場合には、また不動産登記料等の費用を払ってその都度手続きをしなければいけません。
常時借入の必要のある企業には、手間とお金の両面からデメリットになります。

それとは逆に、

根抵当権は、借入ごとに担保設定手続きをしなくても解除するまでは金融機関の担保になっているわけですので、追加融資をお願いする場合に煩雑な手続きや審査が不要となるのがメリットです。

一方で、担保余力が発生してもいざというときのためになどの名目で、金融機関側が根抵当権を外してくれないことも多々あり、普通の抵当権と違い、借入を返済したら抵当権も終了ではなく、金融機関側の同意が必要なのがデメリットといえるでしょう。

編集後記

また長くなってきてしまいましたので、次回に持ち越し致します。
特に保証人と連帯保証人の違い、抵当権と根抵当権の違いがよくわからないまま経営されているかたも多いと思いますので、きちんと理解した上で使い分けることをお勧めします。
金融用語を知り、金融機関の考え方が理解できると、金融機関と上手につきあうことができると思います。

交渉成立

最後に

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