金融機関の融資審査のポイント【別表編】

読了時間目安:約 8分

貸借対照表や損益計算書を理解でいる経営者は多くはありませんが、少なからずいらっしゃいます。
また、内訳書も意味さえ誰かに教われば簡単に理解することができます。
しかし、別表を読める方はほとんどいらっしゃいません。
金融機関の担当者ですら、読める方は少ないかもしれません。
そういう意味では重要性は低いかもしれませんが、知っておいて損はありませんので、見ていきましょう。

金融機関のポイント〜別表一(一)

以前に「金融機関の融資審査のポイント【決算書編】別表一のココが見られる!」でも解説したので重複する部分もありますが、改めてまとめます。

会社名と代表取締役名及びその住所の確認

まずはじめての取引の場合、本人かどうかを確認されます。
場合によっては登記簿謄本の提示が必要となります。

会社名と代表取締役が変更されている場合、その理由を確認されることがあります。

税理士変更の有無

税理士が変更されている場合、無理な節税(または脱税)や支払遅延などで、税理士側から顧問の継続を断られていないかの確認をされます。

最近では、税理士を変更することも多くなってきましたが、一昔前はその税理士が定年するまでは同じ税理士と付き合うのが普通とされていた時代もあるので、税理士変更があった場合にはその理由を聞かれることがあります。

税務署の受付印の有無

嘘か本当か、一昔前には、税務署提出用と金融機関提出用で2つの決算書を用意している会社もあったとのことです。
そのため、税務署に提出したものと同じものかを確認する手段の1つとして、税務署の受付印(収受日印)の有無を確認しています。

最近では電子申告も増えてきていますが、その場合にはe-TAXの受信通知が税務署の受付印(収受日印)の変わりとなります。

申告書と実際の納税額が一致しているか?

上記と同様に、金融機関に提出された決算書が税務署に提出されたものと同じかどうかを確かめるために、納税額の確認をされる場合があります。

納税したときの領収書を求められる場合の多くは、この提出された決算書が税務署に提出されたものと同じかどうかの確認と、納税期日までにキチンと納税されているかが見られます。

決算期変更の有無

決算期が変更されている場合はその理由が確認されます。

金融機関のポイント〜別表二

別表二には株主構成が載っていますので、同族会社かどうかの確認をされます。

中小企業のほとんどが同族会社ですので、同族会社が悪いということではなく、企業の実質的な支配者は誰なのかを確認されるということになります。

経営者またはその家族が大株主の場合には、問題ありません。

赤の他人が大株主の場合にはその人との関係性を、どこかの企業が大株主の場合にはその会社との関係性を確認されます。

金融機関のポイント〜別表四

決算書の損益と法人税法上の課税所得の違いを確認されます。

例えば、売掛金の回収ができなくなって貸倒損失を計上したい場合、決算書上は回収不能だと思ったら貸倒損失を経費として計上できますが、法人税法上は一定の要件を満たさないと計上できません。(厳密には決算書上にもルールがありますが、同族会社経営の多い中小企業では特段気にする必要がないことが多いのが現実です。)

その際に決算書上は貸倒損失を経費として計上しますが、法人税法上は経費の取り消し処理をします。

このような調整が別表四でされますので、どんな調整がどんな理由でされているのか、場合によっては説明が必要なこともあります。

金融機関のポイント〜別表五(二)

納税状況の確認に使われます。

法人税、道府県民税、市町村民税、事業税はもちろん、延滞税、所得税、加算税、利子税など、ほとんどの税金の前期からの繰越額と当期の発生額、そして支払状況が別表五(二)には載ってきます。

支払遅延がある場合などは、返済能力があるのかを審査する際のポイントとなりますので、注意が必要です。

金融機関のポイント〜別表七(一)

過去9年間の欠損金(赤字)が表示されていて、欠損金の範囲を限度として、所得金額を相殺することができます。

通常、決算書は過去2期分(多くて3期分)しか提出を求められませんが、別表七(一)の欠損金をみるだけで、過去にどんな赤字がでているか知ることができます。

節税のために大きな赤字を出すこともあるでしょうから、過去に役員退職金などの特別損失で赤字を出している場合には、キチンと把握しておき説明しましょう。

少し横道にそれますが、場合によっては、節税のために赤字を出したことでの一時的な債務超過は問題ないと判断される場合もありますので、別表七(一)を使ってうまく説明できるとプラスポイントとなります。

債務超過とデメリットと金融機関の債務超過に対する評価

金融機関のポイント〜別表十六(二)

過去にどんな資産を購入していて、現在いくら減価償却をしているかを見ることが出来ます。

少し決算書の読める金融機関の担当者だと、真っ先に見るのが、減価償却不足額の有無です。

過去に利益を出すために、減価償却を決められた額(法定限度額)までせずにいると、減価償却不足額として別表十六(二)に載ってくることとなります。

減価償却費は任意償却の科目ですので、一概に粉飾とは言い切れませんが、決算書に過去に減価償却をせずに決算書を調整していた証拠が残っていることになるので、金融機関はそういう企業に融資することを嫌がる傾向があります。

減価償却費はどんな理由があっても満額計上することをお勧めします。

頭を抱える男性

編集後記

貸借対照表、損益計算書をはじめとして、キャッシュフロー計算書や資金繰り表など、経営者が読めるようになったほうが良い指標は多くありますが、さすがに別表(法人税申告書)を読める経営者は多くありません。

また、貸借対照表や損益計算書は読めたほうが経営に活かすことができますが、別表は勉強する時間に対して経営に活きる局面は少ないと思いますので、すべてを理解する必要はありません。

ただ、金融機関がどういう視点で申告書を見ているのかを理解していると、いざ質問されたときに役に立ちます。

とはいえ、見ている(または理解できる)金融機関の担当者も多くはありませんし、融資審査の可否への影響は少ないので余力があれば、頭の片隅に残しておく程度で十分です。

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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