信用保証協会の責任共有制度とは?信用保証協会の基礎。

読了時間目安:約 7分52秒

責任共有制度という言葉は、あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、信用保証協会の仕組みを理解する為には欠かせない仕組みです。

中小企業は、信用保証協会の保証付きの融資と上手に付き合っていけるかが非常に大事になります。

そんな信用保証協会の基礎である責任共有制度についてまとめてみました。

責任共有制度とは?

信用保証協会融資は、企業が返済不能になった場合に信用保証協会が代位弁済することを保証することで、金融機関のリスクを軽減し、中小零細企業への融資を促進することを目的に作られているため、昔は信用保証協会が100%貸倒時のリスクを負担していました。

(但し、企業は返済不能になり信用保証協会が代位弁済したとしても、返済義務がなくなるわけではありません。代位弁済が行われた際には、金融機関ではなく、信用保証協会に返済の義務が生じます。)

しかし、金融機関のリスクが0%だったため、金融機関の審査が甘くなったり、代位弁済による信用保証協会の財政が悪化したり、などの問題が発生したため、金融機関にも融資審査をキチンとしてもらうことを目的に、責任共有制度の導入が平成19年10月以降の貸し出しから導入されました。

この結果、原則として貸倒リスクを信用保証協会が80%、金融機関が20%負担することととなったのです。

参考までに以前書いた記事の紹介です。信用保証協会の理解が深まると思います。

借入基礎知識:借入の種類編 ①プロパー融資と保証協会付き融資 

借入基礎知識:借入の種類編 ②信用保証協会とは何者か?

責任共有制度の例外

上記の例外として以下の制度があげられます。

下記は例外として信用保証協会が貸し倒れリスクを100%負担します。

その理由としては、金融機関に貸し倒れリスクを20%負担させることにより、貸付が円滑に行われくなってしまうと困ってしまう事案なので、信用保証協会が100%リスクを負担してでも貸し出しを行うことを目的としています。

そのくらい、貸し倒れリスクを20%負担するというのは金融機関にとってはきびしいものだということです。

(1)経営安定関連保証(セーフティネット保証)1号~6号
(2)災害関係保証
(3)創業関連保証(支援創業関連保証及び再挑戦支援保証を含む)、創業等関連保証
(4)特別小口保険に係る保証
(5)事業再生保証
(6)小口零細企業保証
(7)求償権消滅保証
(8)中堅企業特別保証
(9)東日本大震災復興緊急保証
(10)経営力強化保証制度
(11)事業再生計画実施関連保証制度

それぞれの細かい解説は割愛しますが、特に(1)の経営安定関連保証1号〜6号は通常の経営の中でも大きく関連します。

例えば、「直近3ヶ月の売上高が前年同月の3ヶ月に比べて3%下がったら」などの条件で借りられるセーフティネットとか緊急融資制度とかは、この経営安定関連保証5号制度となります。

利用頻度が高いのは上記の中でも、この5号認定制度です。
あとは、災害が起きた時や創業時など限られた状況に限定されますので、どういうものがあるかをざっと見ておく程度で構わないと思います。

経営者が知っておくべき実務上の責任共有制度が経営に及ぼす影響

ここまでは、知識だけで、直接経営の役に立つ話ではありませんでしたが、責任共有制度の中で1つだけ知っているだけで役に立つ知識があります。

借り換えの際の注意点

それは借り換えの際に、同じ保証協会付き借入でも、責任共有制度が適用された借入を責任共有制度が適用されていない借入に借り換えることはできないということです。(逆は可能です)

借り換えというのは、

例えば、A銀行から500万円借りていて、残りの返済期間2年(24ヶ月)とB信用金庫からの借入500万円、残りの返済期間5年(60ヶ月)の合計1,000万円の借入のある企業があったとします。

この借入を一本化するためにC銀行が1,000万円を5年間(60ヶ月)で貸しくれると言っています。
(※一本化とはA銀行とB信用金庫にお金を返し、C銀行から新たに借りることを言います)

現状1ヶ月の返済額は、500万円÷24ヶ月(A銀行)と500万円÷60ヶ月(B信用金庫)ですから、約30万円です。

それがC銀行に一本化することで、1,000万円÷60ヶ月=約17万円の返済になります。

つまり、1ヶ月あたりの返済額が13万円少なくなり資金繰りは楽になります。

しかし、A銀行かB信用金庫からの借入が責任共有制度を利用した借入で、C銀行からの借入が保証協会付きの借入制度ではあるものの、責任共有制度の例外である緊急保証制度を利用したものだったとすると、借り換えができないということになります。

これは金融機関が意図的に、20%の貸し倒れリスクを回避する為に、責任共有制度があるものから、無いものへの借り換えをさせないために、そうなっております。

自社が借りている融資制度を把握しておきましょう

こう書いてみると、C銀行からの借入制度が責任保証制度のものなら問題ないんでしょ?という声が聞こえてきそうです。

しかし、現実に資金繰りに困ったり、業績が悪化したりした場合に借りやすいのは、責任保証制度の対象外になる借入制度であることが多くあります。

なぜなら、金融機関が貸し倒れリスクを負担しないので、金融機関としては貸しやすいからです。

借り換えは簡単に月々の返済額を減らすことができ、当座の資金繰りを改善する方法です。

しかし、誰もこの借入とこの借入を一本化してみたら?とは言ってくれません。

また、いざ借り換えをしようとしても、その借入がどの制度を利用しているか、金融機関や保証協会に確認をしていたら、対応はどんどん遅れていってしまいます。

そのためにも、自社でどの借入制度を利用して借入をしているのかを把握し、年に1回程度は借り換えをしたら資金繰りがどう改善されるかをシミュレーションしてみると良いと思います。

責任保証制度だけでなく、都道府県や市町村の制度融資の種類や、どの金融機関に、またはどの借入に、何の担保を差し入れているのかなども、把握しておくと金融機関と上手に付き合っていけると思います。

上手な付き合い

編集後記

業績が好調な時は、気にしない金融機関との付き合い方ですが、業績が遅くなってから業績が良かった時にどう付き合っていたかが影響してきます。

困った時に慌てないためにも、しっかりと金融機関のことを知っておくと良いと思います。

リーマンショック、東日本大震災の時はもとより、狂牛病やO157、急激な円高や円安など、企業の業績を左右される時はたくさんありますし、過去にもたくさん見てきました。

そんな際に、金融機関からの借入の条件や制度、担保はキチンと把握し、金融機関に業績を定期的に報告している企業のほうが、対応が上手にできていました。

企業の経営には波があるからこそ、いざという時の備えをしておくべきだと思います。

※免責事項
◯わかりやすくするために厳密な法律用語とは若干違うところがあります。

◯内容に関しては万全を期しておりますが、内容を保証するものではありません。
これらに起因して発生するいかなる損失についても補償しかねますので、自己責任での運用をお願い致します。

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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