【VOL145】記帳代行などの経理業務やバックオフィス業務を外注するメリット

読了時間目安:約 19分45秒

中小企業の経営が大変な理由の1つに選択と集中ができないという問題があります。
大雑把な例で恐縮ですが、例えば、大企業であれば、営業部、製造部、商品開発部、経理部、総務部など部署分けをし、社員1人あたりが複数の業務を横断的にするということはなかなかありません。

しかし、中小企業の場合には、部署分けは難しく、ほとんどの社員がマルチプレイヤーになり、商品の作成、商品を配送、請求書を作成、入金確認などの全部ではないにしても複数業務に携わらなければなりません。

経理・総務・労務・法務などのいわゆるバックオフィス業務を自分たちでやる必要があるのでしょうか?



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【VOL1】起業したら真っ先に見るべき会計の3つの数字

からお読み頂くことをお勧めします。

今回は『記帳代行などの経理業務やバックオフィス業務を外注するメリット』です。(編集前のメルマガは2017年4月26日(水)に配信されています)

バックオフィス業務は標準化を目指す

マーケティングについて書いた【VOL122】中小企業の経営に最低限必要なマーケティングの基礎の中で、最低限必要なマーケティングのフレームワークをご紹介しました。

「なぜお客様(Customer)はライバル企業の商品(competitor)ではなく、御社の商品(company)を買ってくれるのですか?」という質問に答えられますか?
とご説明させていただきました。

そのためにどう差別化するか、どうポジションニングをするかが大事ですとも書き、事例をいくつかあげました。
詳しくは上記の記事とその関連する記事を読んで頂けたら幸いです。

しかし、直接お客様に見える部分でもなく、かつ、売上に貢献もしないバックオフィス業務について差別化や独自性を出す必要があるでしょうか?

もちろん、採用などの観点から評価制度や福利厚生を差別化、独自化したいというのは戦略としてあるとは思います。

ただ、請求書の発行の仕方や、経理の仕訳の方法や、備品管理の仕方、在庫管理の仕方など、戦略上必要ないものまで独自の方法をとる必要はありません。

にも関わらず、中小企業の多くがノウハウがないために、自分たちで試行錯誤し、独自の方法を採用しているがために効率が悪く、お金を稼がない間接部門(バックオフィス業務)にコストがかかっているケースが多々あります。

そして、それを改善しようとしても、「うちの業種は特別だから」「うちの会社は特別だから」という言葉で片付けてしまっています。

バックオフィス業務は間接部門であり、コスト部門とも呼ばれます。
(直接部門は直接売上や粗利を稼ぐ営業や製造部門などを指します。)

ヒト、モノ、カネ、情報などの経営リソースが少ない中小企業だからこそ、バックオフィス業務は可能な限り、最小人数、最小工数、最小コストで効率化していかなければいけません。

中小企業がバックオフィス業務にかけているコストがいくらなのか、正確な統計も理想値も知らないですが、経理に関していえば粗利益額の3%以下が理想と言われています。

例えば、10人の会社が目安と言われている年間粗利1,000万円/1人を稼いでいるとすれば、年間粗利総額は1億になります。
年間粗利1億の3%は300万円となりますから、経理1人を月25万円で雇ってしまえば、社会保険料や税理士の顧問報酬、会計ソフトの利用料金などを含めていくと簡単にオーバーしてしまいます。

10人以下の中小企業の場合、バックオフィス業務をするのに1人の正社員を雇うのですらコスト高となってしまうことがわかります。

経営者自らバックオフィス業務をするのは?

起業したての頃や人を雇ってバックオフィス業務(法務・経理・総務・労務など)をやってもらうほどの余裕がない場合、経営者が自らバックオフィス業務をしているケースがあります。

しかし、ドラッカーの言葉の引用ですが、企業の目的は「顧客の創造」です。

別の言い方をすれば、投資をしてお客様が必要と思う商品やサービスを開発をし、お客様に認知してもらい、投資した金額以上の利益を回収し、社会に貢献すること、それが経営の理想ではないでしょうか?

顧客の創造につながらないバックオフィス業務に経営者が時間を費やしていては、いつまでも事業が成長しません。

人を雇う、士業を含めた外部業者に依頼するなどお金を払って投資をし、自らの時間を買い、その時間を売上や粗利益額を増やすための時間に費やすことこそが、事業成長のためには必要です。

ですので、まずは経営者自身がバックオフィス業務を離れ他人に任せることこそが、企業成長のための第一歩といえます。

スタッフを雇うより業者に任せるメリット

内製化したほうが良いと思われるかもしれませんが、外部業者に任せたほうが良い理由はいくつもあります。

コストが安い

スタッフを雇うとなると、給料はもちろんのこと、管理コスト、教育コスト、その人のPCの購入や社会保険、福利厚生などが発生します。
しかし、外部業者であれば、業務委託料はかかりますが、管理コストや教育コスト、その人の使用するPCなどのコストは外部業者が負担します。
もちろん、その負担すべきコストは業務委託料に含まれているのですが、実際に計算してみると、月額で20万円の給料だけを雇う場合のコストと少なめに考えても20万円以上かかる外部業者はありません。

そのため、外部業者にお願いしてしまったほうが、自社で人を抱えるよりコストを抑えることができます。

守秘義務が守られる

経理や労務という部分は非常に会社の繊細な部分で、スタッフに公開したくないと思われている方も多いのではないでしょうか?
そのため、経営者自らや奥様をはじめとした親族が経理や総務といった部分を行うことが多いのが中小企業の実態です。

しかし、経営者自らがバックオフィス業務をやることに関しては、前述したとおり事業の成長を遅らせます。

また、奥様(又は夫、以下便宜上奥様で統一)が経理や労務をする場合に問題になるのは、家計と事業経営ではお金の使い方が全く違うという問題です。
家計は入ってくる収入が限られていますので、いかに支出を抑えるかという観点が大事ですが、事業経営は投資して回収するというのが本質ですので、支出を切り詰めるのではなく、支出した分以上に稼ぐというのが大事になります。

にも関わらず、交際費が自由に使えない、欲しい設備を買うために奥様を説得しなければいけないなど、事業に必要な投資にも関わらず経営者の自由にならないという問題が発生します。

更には、経費が奥様に筒抜けになってしまうので困るという声も聞こえます笑

余程、経営や事業というものがわかる親族でなければ

スタッフに任せる場合にも、会社の内情が丸わかりになってしまい、あらぬ誤解を招くという問題が発生します。
また、そのスタッフから他のスタッフに漏れてしまうという問題が発生するケースがあります。
特に在職中は問題なかったが、退職時または退職後に経理だったスタッフが他のスタッフに話してしまうというケースが多くあります。

外部業者にお願いすれば、その心配がほぼゼロになります。
仮に外部業者の自社担当の人間が退職したとしても誰にも漏れません。
あってはいけないことですが、仮に退職後に誰かに話したとしても、自社のスタッフに話すことはほぼ皆無ですので、他のスタッフに話されるリスクとどこの誰かもわからない人間に話されるリスクでは比べ物になりません。

経理などの管理部門が偉いという誤解を防げる

普通のスタッフからすれば経理や労務といった仕事は専門外ですし、特にお金のことを管理しているので、経理や総務に気を使ってしまうという問題が発生します。

特に給料計算や賞与計算をしていれば、そのスタッフはその会社の誰がどのくらいの給与や賞与をもらっていて、会社からのスタッフの評価がどうなっているのかを知る機会になります。

意識はしなくとも、スタッフによって接する態度が変化するのは想像に難しくありません。

経理はあくまでも経理業務をしているだけであり、経費が許可されるか否かの判断をするのは経営者や役職者であるにも関わらず、一歩間違えると、まるで経費の決済ができる人間であるかのようなってしまいます。

経理に聞いて経費が決済されるような状況がもしあるのであれば、それは危険な兆候です。

外部業者であれば、その心配は皆無になります。
他の外注業者と同様に、その仕事をお願いしている業者さんという認識以上になることはありません。

教育コストがかからない

バックオフィス業務をできる人材を育てるのには、それなりに時間がかかります。
直接粗利益額を稼ぐ営業部門などであれば、ベテラン営業が新人営業を育て、定期的に営業の新人が入ってきて、育てられた数年目の営業がまた新人営業を育てという良い循環が生まれます。

しかし、バックオフィス業務にかけられるコストは限られていますので、なかなか1人以上の人材を雇うことはできない企業が多いのが現実です。

そうすると、その人材が辞めた場合には、またイチから教育する必要があります。

しかし外部業者にお願いをしていれば、その教育コストは外部業者が持ちますし、それを本業にしている業者は定期的に人を採用し、定期的にバックオフィス業務をできる人材育成に取り組んでいます。

確かに担当が変わることにより、多少のコミュニケーションコストは発生するかもしれませんが、イチから育てたり、できる人を引き抜いたりするコストから考えれば微々たるものとなります。

業務フローの圧倒的効率化

自社のバックオフィス業務がはじめてのスタッフ、何社かの経理畑を渡り歩いてきたスタッフと比較して、それを本業としてやっていて、何十社、何百社という会社や事業のバックオフィスを見てきた外部業者の人間のほうが、様々な事例を知っており、業務フローの構築はもちろん、改善が圧倒的に効率的なのはいうまでもありません。

試行錯誤して管理部門やバックオフィス業務を構築することもコストの無駄ですし、そこまでやって作られた業務フローが非効率なものであったら目も当てられません。
しかし、そういう中小企業が多いのが現実です。

プロのことはプロに任せるのが一番です。

外部業者の選び方

業種に詳しいかどうかは大きなポイントではありません。
バックオフィス業務も業種によって多少は変わりますが、大きく変わることはありませんし、業界構造を知らなければできないバックオフィス業務はほぼ皆無です。

税理士や社労士、弁護士を個々に頼むという方法もお勧めはしません。
なぜならコストが割高になるという点が1つと、横の知識のつながりがない方が多いからです。

ちょっと極端な例ですが、税理士に人を雇う相談をすれば雇用促進税制という税金が安くなるという税金に関する提案は出てくると思いますが、人を雇うことで受けられる助成金があったとしても、それは社労士の業務範囲なので気づいてもらえないことが多々あります。

これは専門分野が違うので致し方ないことではありますが、本来バックオフィス業務をする人は、社長がそういったことに気を使ったり勉強したりする時間を削減でき、この人に任せておけば大丈夫と思ってもらうことが必要となります。

法人であれば、ほぼ必ず税理士をお願いしていると思いますので、横の知識のつながりのある方であればその方にバックオフィス業務も頼むのが一番でしょうが、なかなかいらっしゃらないことと、税理士には横の知識ではなく、税の専門家ですので、横に広く浅い知識を持っている先生より、深く専門的なことを知っている先生を選ぶほうが本来のお願いの仕方です。

失敗しない税理士の「選び方」と「選ぶときの5つのポイント」

一方で、士業ではないバックオフィス業務の代行会社は、税務申告(税理士)や社会保険手続きの代行(社労士)など、士業の資格がないとできない業務ができないため、提携している士業の先生や提携していないまでも紹介できる士業の先生を多く知っている業者がいます。

そういう業者であれば、1つの士業の専門分野を深くは知らなくとも、広く浅い知識をもっているはずですので、その事業でおきている状況を見て、どの相談は自社で解決できる問題なのか、紹介するのであれば、誰を(もしくは誰と誰を)紹介したら良いかを的確に判断できるので、前述の人を雇う場合には、税金が安くなる可能性と助成金を受けられる可能性を伝えてくれて、税理士と社労士を紹介する、もしくは顧問がいるのであれば顧問の両先生に相談してみてくださいというアドバイスができることとなります。

選ぶべきポイントとしては、広く多岐にわたる知識と経験があるかどうかという箇所です。
見極めるポイントとしては、税理士や社労士、保険会社など、経営に関わる必要な専門家を紹介してもらうことってできますか?(または、自社でその事業部をもっていますか?)と質問すればわかります。

選んではいけない外部業者

税務申告や税務相談などは税理士の独占業務、社会保険手続きや就業規則・賃金規定の作成などは社労士の独占業務です。
これは国で決められた絶対のルールです。
税理士事務所や社労士事務所を運営していないにも関わらず、上記のこともできますという業者には注意が必要です。

また、月額○千円からの記帳代行などとWEBなどで広告を出している業者も注意が必要です。
○仕訳までがその金額で、通常の事業をやっていれば超えてしまうような仕訳数が設定されていて、結果的には高くなるケースが多いです。
高くならないケースであっても、安かろう悪かろうという言葉があるように、人件費の安い国に丸投げしていたり、知識がない人間が機械的に入力していたりと、先ほど申し上げた広く浅い横につながる知識を持っているとは言い難いクオリティになるケースが少なくありません。

もちろん、ただ間違いなく入力してもらえれば良いということであれば問題ありませんが、業者によっては間違いだらけのままという劣悪な業者もあるので注意してください。
入力者とチェック者が存在すればコストは高くなるというのは当たり前の話ですね。

すべての格安業者がそうであるということではありません。もちろん企業努力を重ねて格安価格を設定できている企業もあります。
ただ、見つけるのはなかなか難しいと思います。

backoffice

編集後記

経営者の右腕、左腕という言葉があります。
これは私の考えですが、右腕は粗利益額を稼ぐ部門やお客様を想像するために、経営者と役割分担をし、経営者が信頼をして任せられる人材のことをいいます。

一方、左腕は、右利きの人の場合、文字を書くとき紙を抑える役割を担います。
経営でいえば、経営者と右腕が紙が動いてしまう心配をしなくていいように支えられる人材だと思います。
つまり、バックオフィス業務を安心して任せられ、財務戦略や法務や労務、税務といったリスク対策を考えることができる人材です。

中小企業の場合、右腕を見つけるのも難しいですが、叩き上げを育てたり引き抜いたりで、まだ見つけることができます。
特に本業の部分ですから、美容業なら◯◯というお店で働きたいという人や、製造業なら◯◯という製品を作りたいという人が採用の応募にくる可能性は高くなります。

しかし、左腕の場合、経理をやりたい、総務をやりたいという人もいなくはないですが、特に製造業である中小企業を選ぶ必要はなく、業種を問わず大手で安定している企業を探すという人が多い傾向があり、そういう人材を見つけることが難しくなります。

そのため、それを専門にやっている業者に頼む方がメリットが大きいと思います。

ぜひ早く経営者が売上や粗利益額を稼がないバックオフィス業務から解放され、事業成長のために時間を作るためにも、信頼できるバックオフィス業務の業者を探しましょう。

経理だけじゃなくて電話番も兼ねているからという理由で経理や総務を雇う方もいますが、電話番もしてくれる業者か電話オペレーターを別に外注する方が効率的です。

最後になりましたが、私たちもバックオフィス業務の代行をはじめました。
大々的に宣伝や告知はしていませんが、選択肢の1つとして検討していただけたら幸いです。
お問い合わせ先はこちら

世の中には多くの業者が存在しますが、求めていることと、求めていないことがマッチするかしないかは、また別の話です。
ぜひこの記事を読んでくださった方は、私たちでなくても構わないので、ぜひバックオフィス業務のアウトソーシングを検討して頂き、自分たちのニーズに合う業者を見つけていただけたらと思います。



私は、中小企業、個人事業の事業の成長のためにはバックオフィス業務の負担を減らし、本業に集中できる環境を作ることこそ第一歩だと考えています。
そして、その空いた時間をぜひマーケティングに費やして欲しいと思っています。
作業に時間をとられるのではなく、ぜひ戦略に時間を使える経営者の方が1人でも増えたら嬉しいです。

但し、作業はアウトソーシングしても良いですが、財務戦略を考えるためにも財務の勉強を経営者はする必要がありますので、誤解のないようにお願いします。


最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。
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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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