【VOL114】中小企業向け人事評価制度の具体的な作り方

読了時間目安:約 12分57秒

前回の内容で中小企業にも社員教育のために人事評価制度が必要ですというお話を書かせていただきました。
今回は、その内容をご理解いただいた上で、具体的に何をどうやって作ったら良いのかについてご説明させていただきます。

なぜ中小企業に人事評価制度が必要か、事業全体のミッション・ビジョン・理念・戦略・戦術が具体化されていない場合には、まず前回と前々回の内容をお読みください。

【VOL112】バランススコアカードとは、財務以外の数字も業績評価に取り入れる方法

【VOL113】中小企業の人材教育に人事評価制度が必要な理由



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今回は『中小企業向け人事評価制度の具体的な作り方』です。(編集前のメルマガは2016年7月6日(水)に配信されています)

人事評価制度に必要な3つのツール

前段にも書きましたが、経営方針書なりを作り社内でミッションやビジョン、理念などが明確になっていることが大前提となります。

会社や事業の目的や目標が明確になっていないのに、社員スタッフにそれを求めても効果は半減です。

そして大切なのは、目的や目標が文章として明確になっていることです。

それがあることを前提に必要なツールをまとめています。

グレード(グループ)別職能表

まずグレードを決めます。

例えば、5段階で、

「グレードⅠ」は、新人
「グレードⅡ」は、見習い
「グレードⅢ」は、一人前
「グレードⅣ」は、管理職
「グレードⅤ」は、事業責任者

などのようにです。

そして、職務内容ごとに、

何ができたら何グレードなのかを明確にすることで、「グレードⅠ」の人は何ができたら「グレードⅡ」になれるのかが明確になります。

逆にいえば、何が出来ないから「グレードⅠ」なのかがわかります。

弊社の導入事例

参考までに、あるWEBマーケティングの会社での事例を簡易化してお伝えすると、

【グレードⅠ】WEB用語がわかり、基本ツール(SNSなど)を指示されたとおりに運用することが出来る
【グレードⅡ】担当者が設計したWEB戦略の意図を理解し、的確にツール運用が出来る
【グレードⅢ】担当を持つことができ、お客様の意図を汲み取ったWEB戦略を設計し運用することが出来る
【グレードⅣ】部下の進捗管理ができ、3ヶ月以上結果の出ていないお客様のWEB戦略を見直し、部下を指導教育しながら3ヶ月以内に改善することができる
【グレードⅤ】事業やチームに対する利益責任を持ち、事業を黒字化出来るもの

などというようにしています。

実際には、ここまで抽象的ではなく、HTMLやCSSが理解できる、HTMLやCSSが書ける、改善できるなど、細かい技能レベルのことまで定めてあります。

そして、年間粗利目標もグレードⅠは500万、グレードⅡは1,000万、グレードⅢは1,500万・・・というように具体的に決めております。

なので、HTMLが読めないからグレードⅡにはなれないのか・・・や、粗利益額が1,500万いかないからグレードⅢになれないのか・・・など今の自分の立ち位置がわかり、なにを頑張ればグレードがあがり評価されるのかが明確になるので、社員・スタッフも目標を作るのが明確になります。

評価シート

前回の【VOL113】中小企業の人材教育に人事評価制度が必要な理由でもお伝えしましたが、評価シート(評価項目)は、「業績」「技能」「マインド」「行動」の4つにし、それぞれ毎月面談の中で目標や自己評価と実績を確認していきます。

前回も説明しましたが、今回はより詳しく書いておきます。

業績

売上高よりは粗利益額を使うケースが一般的です。
また、何人もが1つの仕事に関わる場合には、お客様から実際にいただく売上高から仕入代や外注費を引いた会社の粗利益額を業務内容に応じてパーセンテージを決めて配分します。

先ほどの例のWEBマーケティングの会社であれば、メイン担当者が売上高の80%、サブ担当者が20%と決めています。
プログラマーチームが動かなければいけない場合には、社内見積りを出してもらい社内と外部の業者のどちらに頼むのかをメイン担当者が決め、その実際の額を自分の売上高から引きます。

WEB制作会社であれば、お客様と打ち合わせをし設計する人が50%、デザイナー25%、コーディング25%などと決めています。

※あくまで例であり、企業秘密の部分もあるので実際のパーセンテージや職務内容とは違います。

グレードが上に上がれば上がるほど、他の評価基準より、この業績数字が重視されるようにするのが一般的です。

上に行けば行くほど結果が求められるようになるということです。

技能

先ほどのグレード別職能表で決めた基準をもとにグレードに応じて自己評価と上司評価で5段階評価をします。

「◯◯ができる」という文言にすると「できる」とはなんなのか曖昧な部分があるので、自分ではできると思っているのか、上司はできると思っているのか、お互いの評価基準をすり合わせていきます。

自分の中ではできると思っていたのに、上司はできると思っていなかったというケースや、自分はまだまだだと思っていたが、上司はできるという評価をしるケースなど、様々なケースがあります。

まだできていないという評価を受けた場合に、あと何をしたらできるという評価になるのか面談で確認することもできるので、何が足りないか明確になりますし、上司のほうはそれを明確に説明できなければいけないので、適当なことはできなくなります。

部下だけでなく、上司自身の成長にもつながります。

マインド

利他の心を持っている、とか、挨拶をしっかりしている、とか、業績には直接関係ないかもしれませんが、実は見えにくいが重要な部分の考え方の部分の評価となります。

これも自己評価と上司評価をすることで、やっているつもりという結果がなくなりますし、上司も見ていなかったという言い訳ができなくなります。

グレードがあがるとマインドの評価比重が下がるのが一般的ですが、重要ではなくなるのではなく、できていて当たり前、だから管理職や事業責任者になっているという考えに基づいていますので、評価されないからマインドの部分はやらないなどという人は論外です。

行動

業績と行動は、技能とマインドと違い、相対的に誰が見ても納得のいく評価基準となるように作られています。

例えば、会議への参加回数や、技術研修への参加回数、はたまた残業を減らしたい方針の会社であれば定時に帰った日の日数など、明確に数字で表せるもので、かつ、会社の方針に合わせて作ります。

昇給昇格基準

絶対評価にして、評価項目を何点以上とったらグレードが1つあがるとか、何点以上とったらお給料がいくらあがるなどの基準です。

相対評価にして上位10%はA評価〜下位10%はE評価などにし、A評価はいくら昇給〜E評価はいくら減給などと決めるのもありです。
A評価を2回連続でとったら昇格、E評価を2回連続でとったら降格などというルールを採用しているケースが多いようです。

弊社は、相対評価を推奨しています。
絶対評価が悪いということではありませんが、やはり競争意識による成長を促進したいということと、絶対評価だと本人たちのせいではなく、外部環境により点数が著しく良くなる年と悪くなる年がでてきます。

例えば経営者の戦略があたって業績が良くなったり、戦略が外れて業績が悪くなったり、絶対評価だと全員昇級や全員昇格、はたまたその逆なども出てくる可能性がありますが、相対評価であれば同じ外部環境での競争になるからです。

絶対評価だと、業績とは関係なく全員が高得点を取り、全員昇給しなければいけないケースがありますが、相対評価であれば高得点の中での争いになるので、全員昇給して人件費が高騰するなどの経営リスクを避けることができるというメリットもあります。

いずれにしても、ルールを明確にしておくことが人事評価制度導入のキモとなります。

定規

わかりやすさが大事

どうしたら昇給するのか、どうしたら会社から評価されるのかを明確にしておくことが大切です。

わかりやすく明確にしておくことで、なぜ自分が評価されないのかが少なくとも理解はできるようになります。

そして、何を頑張れば良いのかも明らかになります。

会社の方針が不明確、不透明で何を頑張ったら良いかわからない状態から、何を頑張れば良いのかを明確にするだけで会社の状況は一気に変わるではずです。

それでも頑張らない社員スタッフも当然いると思いますが、いずれ変わっていきます。

後だしジャンケンは絶対にしない

めまぐるしく外部環境が変わりますので、昨日まで重要だと思っていたことが今日からは重要でなくなることはたくさんあります。

明日からの評価基準を変えることは構いませんが、昨日までの評価基準を変えてはいけません。

なぜなら、評価基準はこうと決めたのは経営者と社員の約束だからです。

約束を守れない人のために頑張ろうと思う人はよっぽどの変わり者を除いていません。

結局頑張ってもルールが変更されるなら頑張らなくていいやと考えるのが普通です。

朝言ったことが夜変わっても構いません。
でも、朝から夜にかけて、経営者が朝いったことを一生懸命実行しようとした人や実行した人はキチンと評価することが大切です。

前回もご紹介しましたが、評価基準が現場の実態と離れている、外部環境の変化により評価基準がズレてきているなどということを防ぐために、半年に一回見直し会議を入れるのが一般的となっています。

参考:【VOL113】中小企業の人材教育に人事評価制度が必要な理由

評価制度のサイクル

編集後記

本当は実際の導入事例を図で入れたかったのですが、お客様の許可が降りなかったため出来ませんでした。
図や写真があればもっとわかりやすかったと思いますので反省です。

許可がとれるものがあれば随時載せていきます。

また、前回と前々回のメルマガの内容から、ミッション・ビジョン・理念・戦略・戦術の作り方についても参考になるものがあれば書いて欲しいというご要望をいただきましたので、次回はそのあたりについてご説明致します。

BSCの導入はもちろん、人事評価制度の導入にも、大前提として会社の方針(ミッション〜戦術)が必須となります。

社員・スタッフがいる会社で会社の方針が明確になっていないとしたら、まずは会社の方針を明文化することからはじめてみましょう。

会社の方針はずっと同じでなければいけないものではありませんので、難しく考えずまずは作ってみることをお勧めします!


最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。
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※免責事項

◯わかりやすくするために厳密な法律用語とは若干違うところがあります。

◯内容に関しては万全を期しておりますが、内容を保証するものではありません。
これらに起因して発生するいかなる損失についても補償しかねますので、自己責任での運用をお願い致します。

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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