【VOL72】中小企業の金融機関からの借入限度額の考え方

読了時間目安:約 7分4秒

うちの会社はあといくら金融機関(銀行)から借入(融資)してもらえるのだろうと考えたことはありませんか?
金融機関の方針やその時の環境や経済の雰囲気によって多少かわってきますが、ここに書く考え方は普遍です。
この金額を超えて借りれることも借りられないこともありますが、それは一時的なことです。
特にこの金額を超えて借りている時には金融機関(銀行)が貸し過ぎているともいえる時ですので、注意しましょう。



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今回は『中小企業の金融機関からの借入限度額の考え方』です。(編集前のメルマガは2015年9月16日(水)に配信されています)

担保主義における借入限度額

日本では直接投資(一般株主が企業の将来性に投資する)が発達していないため、間接投資である金融機関の役割は企業の資金調達にとって欠かせないものとなっています。

そういう背景があるため、日本の金融機関は、その企業の将来性に投資し、企業を成長・発展させることも役割の1つとなっています。

そのため、金融機関は企業価値を見ることが求められています。

しかし、現実はなかなか企業価値を見て投資するような貸付をすることはできず、担保主義である現実があります。

おおげさに言えば、1億円の土地を担保に1億円を貸すようなものが担保主義ですから、金融機関はその企業が返済できなくても、つまり企業価値を見誤ったとしても、土地を売却すれば貸付金は回収できるわけですから、ほぼノーリスクで貸付ができることとなります。

おかしいと思う方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、現実には担保主義はまだまだ残っていて、担保の限度額が実際の貸付限度額であるというケースも多くあります。
(実際には1億円の時価の土地は7,000万円〜8,000万円程度の担保価値が認められ、担保価値以上の借入ができるのが普通です)

企業の返済能力における借入限度額

担保主義だけでは金融機関の役割を果たせないということで金融庁を中心に導入されたのが、金融検査マニュアルです。(中小企業向けの金融検査マニュアル別冊はこちら)

簡単にいえば金融庁が金融機関を検査する際のマニュアルのようなものです。

細かい話は割愛しますが、これにより担保のみではなく企業本来の価値を見ようということで、金融機関による企業の格付けが導入されました(大雑把にの話ですので、細かく知りたい方は調べていただけたらと思います。)

企業の格付けとは、何か知りたい方は以下の記事を参考に。

金融機関(銀行)の融資審査の最大のポイント、信用格付けを徹底解剖

信用格付け対策が重要!信用格付けの企業へのメリットとデメリット

しかし、この格付けでも企業がどのくらい成長するかという本来の企業価値は測ることはできず、現状の企業価値を基準に格付けがされることとなります。

そのため、借入限度額の決め方も成長性などではなく、返済能力を中心に見ることとなり、以下の数字を重要視することとなりました。

「税引き後利益+減価償却費」

これはイコールその事業において理論上の1年間の返済可能額になります。

結果として上記「税引き後利益+減価償却費」の3年分の平均数値の10倍が借入限度額と計算されることが多くなっています。

つまり、10年間で返せる額ということです。(上記10倍した額から既存の借入を引けば、推定の追加融資可能額となります。)

企業規模から考える借入限度額

これはよく知られている数字ですが、年商の半分くらいというのが基準となります。

根拠となる理由で説得力のあるものはないのですが、担保をあてに貸しているケースを除けば概ね現実に即しているといえます。

その他、売上仕入資金の負け越し分、つまり売上が伸びた際に支払が先になってしまうことによる資金不足の分などもいわれることが多いですが、短期借入金や初回の借入の際の限度額になることは多いようですが、それ以降慢性的な運転資金不足の企業にとっては現実にそくさない数字となってしまっています。
(但し、短期借入金や設備投資の場合には資金使途に応じた借入限度額が設定されますので、返済能力や企業規模は限度額とはほぼ関係なくなります。)

限界を目指す

編集後記

つまり、明確な担保でもない限り、「(税引き後利益+減価償却費)の3年分の平均数値×10倍」と「年商売上高の半分」が基準となると思っていただければと思います。(但し、創業当初や新設法人は除きます)

どちらかを超えている場合には借り過ぎている可能性がありますので、注意しましょう。

一時的には、担保がなくても、2つの基準値以上に借りることができるケースもありますが、あくまでもラッキーだと思い、まだまだ借りられるとか、この金額までなら借入できると思わないことをお勧めします。

あといくら借りることができるかは、2つの基準値から既存の借入金額を引いてみるといいと思います。

金融機関と交渉する際には「(税引き後利益+減価償却費)の3年分の平均値×10倍」のほうが根拠としては明確になりますので、この数字まで借りられない場合には、返済能力があることを主張することをお勧めします。


最後に

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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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