【VOL102】パレートの法則とABC分析による売上の細分化

読了時間目安:約 14分32秒

パレートの法則とABC分析という言葉は聞いたことはあるでしょうか?
8:2の法則とか、2:6:2の法則などともよばれ、上位20%の人に富の80%が集まるとか、働きアリや蜂のうち、2割はほとんど働いていないなどといわれている話も、このパレートの法則に当てはまる事例として紹介されています。

ABC分析は、パレートの法則と同義で使われることもありますが、ここではその偏りを上位からAランク、Bランク、Cランクとつけ管理する手法で、管理会計で使われるABC分析として説明させていただきます。



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【VOL1】起業したら真っ先に見るべき会計の3つの数字

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今回は『パレートの法則とABC分析による売上の細分化』です。(編集前のメルマガは2016年4月13日(水)に配信されています)

損益計算書の矛盾

損益計算書をイメージしてみてください。

売上高     ×××円
 仕入高    ×××円
 外注費    ×××円
売上総利益   ×××円
  給料手当  ×××円
  法定福利費 ×××円
  福利厚生費 ×××円
  地代家賃  ×××円
  広告宣伝費 ×××円
  水道光熱費 ×××円
  交際費   ×××円
  会議費   ×××円
 販管費計   ×××円
営業利益    ×××円
(※以下省略)

経費はとても分解されているのにも関わらず、売上高はたったの1行です。

本来であれば経営は利益を出すために行われているわけですから、面積で表せば売上高が一番面積が広くなるはずです。
(売上高から経費を引いて残ったものが利益なのですから当たり前ですが・・・)

にも関わらず、損益計算書ではたった1行。

経費削減病の原因の1つは損益計算書

結果としてどういうことがおきるかというと、経営のわかっていない人が損益計算書を見ると、どうしてもその大半を占める経費の分析をしたくなり、結果として経費削減をしたくなるという傾向があります。

しかし、企業や事業が成長する為にもっとも必要なのは、お客様を増やし、そのために経費をかけても良いから、まずは売上高を伸ばすことです。
もちろん、ムダな経費を削ることを否定はしませんが、ムダな経費を削ろうとして必要な経費を削ってしまっているケースも多々見受けられます。

この原因の1つに損益計算書が経費の分析と細分化はそれなりにできている(完璧ではないが・・・)のに、売上の分析が何一つできていないことがあげられます。

簡単に考えただけでも、得意先別の売上高、商品・サービス別の売上高、担当者別の売上高など、様々な切り口で売上高を細分化できるはずです。

参考:
【VOL89】3種類の販売計画を使って事業を成長させましょう!

財務会計、税務会計、管理会計の違いを覚えましょう

ザックリで構いませんが、3種類の管理会計には考え方の違いがあります。
中小企業の場合には、税務署へ税金計算のために出すことがメインになりがちですので、税務会計がメインの会計になっている傾向があります。

財務会計の特徴

会社法に載っとった財務諸表を出すことを目的とし、株主などの利害関係者に見せることを目的に作成されます。
一般に会社四季報はもちろん、上場企業のホームページなどで発表されている財務諸表はすべて、この基準に準じています。

多くの中小企業の場合には、「株主=経営者またはその親族」というケースが多いため、税務を基準にした決算書を作成しても、損をする関係者がいないという前提のもと税務会計が採用されるケースが一般的です。

その理由は財務会計で作った財務諸表は会社法には準じているものの、税法には準じていない箇所があるため、その部分を調整しなければいけないという手間がかかるということがあります。

そして、一番大きな理由は、税法に準じる為に税理士にお願いする必要があるように、会社法に準じる為にはそのための専門家や監査をする人が必要となりコストがかさむからです。

税務会計の特徴

税法に極力合わせて作った決算書で、会計と税金計算の違いがほとんどないため、別表4とよばれるその違いを調整する箇所での調整項目がほとんどありません。(とはいえ、会計と税法は完全に一致はしませんので、多少はあります。)

大雑把な言い方をすれば、税金がいくらかかるかがわかれば良いので、税金の計算に関係ない項目については、会計上何の勘定科目に入っていても構わないのです。

今は中小企業はほとんどなくなってしまいましたが、数年前まで中小企業も交際費の10%は経費として認められていませんでした。(正確には400万または600万までの交際費の10%、400万または600万を超えた分は全額経費には認められないなど。。)

別表15というのを見てもらえればわかるのですが、会議費や旅費交通費で処理していても、実質交際費であれば調整できるようになっています。

つまり税金計算に困らない範囲で、好きに勘定科目をわけてよ!というのが税務会計です。

実際には、交際費が旅費交通費や会議費に入っていたり、印紙代や固定資産税などが租税公課や法人税等にバラバラに入っていたりしたら税金の計算がしにくいので、税金の計算がしやすいように会計を整えていくのが、税務会計となります。

そして、多くの中小企業が、税金の計算ありきで、経営の役に立てるための会計を作っていないため、この税務会計が使われています。

当然、税理士も税務会計がベースでないと本業の税務の仕事がやりにくいため、税務会計をベースとしています。

管理会計の特徴

わかりやすいのは部門別会計や店舗別会計です。

中小企業でも部門会計や店舗会計を導入している企業は多いのではないでしょうか?

会社法や税法とは別に、経営をする上で必要だから作っている会計の基準を管理会計といいます。

ものすごく細分化すれば、旅費交通費を、従業員の通勤費は「通勤費」、出張旅費を「旅費」、普段の営業交通費を「交通費」に分解するのも管理会計の1つといえます。

特に中小企業は税務会計さえ満たしていれば問題ありませんので、管理会計を取り入れやすい環境にあるといえます。

昨年は旅費交通費で全額処理していたものを、今年は変えたとしても、税務署は税金の計算上なんの問題もないので何もいってきませんし、金融機関へも管理しやすくするために変えたといえば、所定の手続き(決算報告書の個別注記に記載など)をとらなくても実務上は問題ありません。

会計を経営に活かすためには、この管理会計をどの程度導入するかがポイントとなります。(必ずしも会計でなくともエクセルで重要数値を把握するだけでも大きく違います。)

ABC分析もこの管理会計の一環です。

パレートの法則とは?

最初にも書きましたが、8:2の法則とか、2:6:2の法則などとも呼ばれ、重要なことの8割を2割の原因が占める、またはその逆のことをいいます。
2:6:2の法則などは、1つの巣における働きアリや働き蜂の割合を指すこともあり、会社の組織を語る時にも使われます。

上位2割の働きアリは人一倍働き、中盤6割は普通で、下位2割はサボっているそうです。
面白いことに、生物学的に全員が全開の力で働いていることは、何か起こったときに余力がなく危険というリスク管理のためなのか、巣から下位2割のサボっているアリを取り除くと、残りの8割の中からサボる2割が新たにでてくるそうです。

ちょっと話が横道にそれましたが、企業の売上にもそれが当てはまることが多々あるということです。

例えば、主力商品やサービスの2割が、全体の売上の8割を占めていたり、主力取引先の2割が売上の8割を占めていたりです。

これを上からAランク、Bランク、CランクとふることをABC分析といいます。

まずは得意先、商品・サービスのABC分析を

業績が好調な会社は必要ありませんが、まずは得意先別または商品・サービス別のABC分析をしてみましょう。

業種によってどっちが適しているかはこちらの記事を参考に。
【VOL89】3種類の販売計画を使って事業を成長させましょう!

その上で、更に分析すると面白いことが見えてくると思います。

自社の営業マンや担当者がどこのお客様に何時間行っているかを調べてみると、実は会社として重点的に売上を伸ばしたいお客様のところには行っていなかったり、Aランクでとても大切なお客様なのにも関わらず訪問頻度が低かったりなど、様々なことがみえてくると思います。

また、訪問した先で何を話しているのかを分析すれば、同様に重点商品やサービスの説明をしていないケースもあります。

以上は得意先別に分析した場合のケースですが、商品・サービス別に分析してみても、主力で売りたい商品やサービスにコストをかけていないケースなども多々あります。

ABC分析を活用して戦略と戦術を立てよう

ここまで分析すれば、損益計算書だけ見てわからなかったことが見えてきます。

損益計算書を見て、ただ売上をあげようといっても現実味がなかったものが、誰に何が現在売れていてが見えてくることによって、次の打つべき手が見えてきます。(平均販売単価と販売数量などもわかると更に良いです)

ここから先は正解はありませんが、統計的に一番簡単なのは、既存のお得意様にまだ買っていただいていない自社の既存の商品を買ってもらうことが、もっとも簡単です。

自社の事例で恐縮ですが、私の場合WEBのみを頼まれているお客様に、財務のコンサルや、人事評価制度の導入をご提案したり、人事評価制度のみ作っているお客様にWEBの提案をしたりしています。
もちろん、それがその会社や事業にとって「良い」という判断を私自身ができたときの話ですが、WEBに困っているお客様を想定して、他社より自社のどこが優れているか考え、どうしたらそれが伝わり価値を感じてもらえるかを、まだ見ぬ新規のお客様のために仮説を立てPDCAサイクルを考えていくより、容易です。

もちろん、事業である以上、新規のお客様を増やしていかなければ、成長はありませんので、新規のお客様をどうやって増やしていったら良いかは考えていかなければいけないと思いますが、まずはABC分析をした上で、既存のお客様に進めることで成功体験を積んでみてはいかかでしょうか?

ABC分析

編集後記

私も現在やっていることの8割は全体の売上の2割にも満たない成果しか出ていません。
将来への投資と思って割り切っている部分もありますが、企業や事業の経営というのはもしかしたらそういうものなのかもしれません。

しかし、1つの商品やサービス、取引先に依存することは以前【VOL92】得意先別の売上構成比は◯%以下が安全です。という記事にも書きましたが、非常に危険だと思っています。

お客様や商品・サービスを増やすことはもちろん、集客の方法も増やしていきたいと思っているのが、2016年です。

その1つの商品・サービスが管理会計の導入で、経営に役立つ数値をお客様に提供していきたいと思っています。
ABC分析は、想像している以上にやってみると効果があるのでお勧めです。

また、中小企業は良い商品を持っているにも関わらず、広い意味で売り方を知らないケースが多いので、ぜひマーケティングを勉強してほしいと個人的には思っています。

個人的には、ダン・ケネディの「ダン・ケネディが教える小さな会社のためのマーケティング入門」は手頃な値段で体系的にまとまっているのでお勧めです。

これからの時代、商品やサービスの流れはますます加速し、流行っていたものが廃れていきます。
また、5年後、10年後がどうなっているかも読みにくくなっています。

しかし、マーケティングを覚え、お客様に喜んでいただきながら買っていただくことを狙ってできるようになれば、時代の流れが多少急でも生き残れるはずです。
なぜなら、人の購入までのプロセス、考え方、感情などの行動の原理原則は変わらないはずだからです。

私自身も、マーケティングをはじめとした営業、販売、集客などの広い意味での営業活動と、会計だけでなく数値で経営を見る能力を学ぶ必要性を年々感じておりますので、日々勉強していきます。


最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。
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◯内容に関しては万全を期しておりますが、内容を保証するものではありません。
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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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