【VOL132】資金繰り改善の方法:テクニック編Part3〜ファクタリング

読了時間目安:約 18分38秒

資金繰り改善の方法の第5回目は、より具体的な方法をということで、ファクタリングについてご紹介します。
一定の条件がないと利用できない資金繰りの改善方法ですので、すべての人が該当するわけではありませんが、該当する人にとっては劇的に資金繰りを改善できる方法です。

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今回は『資金繰り改善の方法:テクニック編Part3〜ファクタリング』です。(編集前のメルマガは2016年11月16日(水)に配信されています)

ファクタリングとは?

何度かご紹介していますが、売掛金を担保にお金を借りる制度のことです。
形式は何通りかあるので、後ほど解説しますが、基本的な考え方は、自社が持つ売掛金をファクタリング会社に担保または譲渡し、手数料を引かれた金額が入金される制度です。

担保に入れて借りるというのが形式的には近いのですが、取引先が直接ファクタリング会社に入金するケースもあるので、実態は売掛金を額面から手数料を引かれて譲る形式ともいえます。

金融機関で行う手形の割引に取引形態は似ているといえます。
手形割引をする金融機関の選び方:3つのポイント

三者間ファクタリング

関係してくるのは、自社、取引先、ファクタリング会社です。
自社の売掛金を元にファクタリング会社から資金調達をします。

二者間と違うのは、売掛金の入金日になると、取引先から自社へ入金するのではなく、取引先からファクタリング会社へ直接入金される点です。

メリットとしては、二者間取引より手数料が安かったり、取引先の信用力が高ければ自社の信用力が金融機関の融資ほど問題にされないことです。

最大のデメリットは、ファクタリング会社が取引先に入金先の変更などの通知をするので、取引先にファクタリングを使用したことがわかってしまう点です。

結果、取引先から自社が資金繰りに困っているという印象を受けることとなってしまい、最悪の場合取引停止などのリスクがあります。

このリスクがあることで、ファクタリング取引というものがあまり一般化されてこなかった背景があります。

二者間ファクタリング

ファクタリングといえば通常は上記の三者間ファクタリングが主流です。
しかし、三者間ファクタリングでは、取引先に自社がファクタリングを行っていることがわかってしまいます。
そのため、資金繰りが悪化しているのではないかという印象を与えてしまい、信用の問題からファクタリングが使いづらい理由となっていました。

そこで取引先(売掛先)を除いた、自社とファクタリングができる二者間ファクタリングが生まれました。

二者間ファクタリングでも自社の売掛金を担保にお金を借りる、または、手数料を引かれて譲渡するイメージとかわりませんが、三者間と違うのは、売掛先の取引先からファクタリング会社に入金されるのではなく、一度自社に入金してから、自社からファクタリング会社へお金を支払う点です。

この結果、取引先からすると通常の流れで自社へ入金しただけですから、ファクタリングがあったかなかったかを知ることはありません。
ファクタリング会社から通知されることも原則ありません。

取引先が倒産してしまったら?

手形の割引などでは、手形の発行先である取引先が倒産または支払不能になってしまった場合には、自社が手形を決済する必要がありました。

つまり、額面100万円の手形を割引して、調達した場合には、取引先が手形を決済できてしまえば、自社は金融機関にお金を払う必要はないのですが、仮に取引先が払えない場合には、100万円で手形を買い戻さなければならないということです。

もちろん、取引先に対して100万円を請求することはできますが、普通は回収することは難しいのが実際です。

手形を割り引いていなくても、取引先が倒産または支払不能になってしまえば、100万円の手形からの入金がなくなってしまうわけですから、普通といえば普通なのですが、先に100万円を割り引いて例えば90万円もらっていて使ってしまったあとに、取引先が倒産または支払不能になったから100万円返してと言われるのは中小企業には厳しいのが現実です。

では、ファクタリングはどうなのでしょうか?

結論から言うと2通りのタイプがあり、割引手形と同様に請求されるタイプのファクタリングと、割引手形とは違って請求されないタイプのファクタリングがあります。

これを償還請求権といい、ファクタリング会社が買い戻し(=償還)を請求する権利があるかないかによります。

償還請求権あり(ウィズリコース)

取引先が倒産または支払い不能に陥ってしまった場合には、自社は売掛金を買い戻す(=償還)する義務があります。
つまり、割引手形と同じ扱いになるということです。
ファクタリングは売掛金を担保にした借入または売掛金の譲渡という表現をしていましたが、償還請求権あり(ウィズリコース)のファクタリングは、売掛金を担保にした借入形式といえます。

考え方は売掛金を担保にファクタリングした場合には、ファクタリングした金額を返済するのが基本なのですが、返せない場合には売掛金をもらうからねという形式といえます(実務的には、返済することはなく売掛金であることがほとんどです。)

償還請求権なし(ノンリコース)

取引先が倒産または支払不能に陥ってしまった場合には、ファクタリング会社が取引先への請求権を持ち、自社は責任を問われない形態を言います。
ファクタリングは売掛金を担保にした借入または売掛金の譲渡という表現をしていましたが、償還請求権なし(ノンリコース)のファクタリングは、売掛金を担保にした借入ではなく、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらう譲渡形式といえます。

ですので、売掛金を買い取った側が回収義務を負い、売却した側に買取請求(償還)を求められることはありません。

ファクタリングはどう選べば良いのか?

理想は二者間取引の償還請求権なし(ノンリコース)のファクタリングを使うことです。
売掛先への通知がないということは信用リスクもなく、万が一取引先が倒産しても支払義務がないので、リスクは最小となるからです。

次は二者間取引の償還請求権あり(ウィズリコース)です。
後述しますが、ファクタリングは金融機関からの借入とは違って、自社の審査ではなく、売掛先である取引先の審査を重点的に行います。
つまり、自社の信用というよりは取引先の信用力によりファクタリングができると言っても過言ではありません。
その取引先が倒産する、または支払い不能になるリスクというのは小さく、三者間取引で取引先に通知されてしまった時の信用リスクとの兼ね合いで考え、どちらかを選ばなければいけないとすれば、償還請求権ありのほうがリスクは少ないといえます。

金融期間の融資とファクタリングの違い

金融機関の融資とファクタリングの違いはたくさんありますが、メリットとデメリットを中心に解説していきます。

ファクタリングのメリット

・審査が取引先が対象になるので、自社が金融機関から融資を受けられない状態でも資金調達が可能
・審査期間が短く、ファクタリング会社によっては1日で入金されることもある
・信用情報に傷がつかない
・金融機関の融資は毎月するなど短期間に何度もはできないが、ファクタリングは売掛金さえあれば可能
・会計上に負債として現れないので決算書や試算表を見てもファクタリングしていることがわからない。
(金融機関からの融資は借入金として載り、割引手形に関しても注記などの義務があり、見る人が見ればわかってしまう。)
・会計上に現れないので、バランスシートが膨らまず、スリムになる
・売掛金さえあれば、大きな金額でも資金調達が可能
・連続赤字や債務超過など、金融機関からの融資がうけにくい状態でも、口座が凍結されるリスクが無い状態であれば資金調達可能

ファクタリングのデメリット

・金融機関に比べて手数料が高額
・返済が一括
・売掛債権が必要
・取引先や取引先との取引回数が審査の対象になるので、自社で努力ができない
・知名度が低いので、ファクタリングをしているというと怪しいイメージを持たれる

ファクタリング手数料の相場

ファクタリングの手数料は金融機関の利率のように業者ごとに違います。
一般的な相場について解説します。

初期費用

初期費用があるケースからないケースまで様々です。
ある場合には高くて3万円程度です。

手数料

金融機関の借入における金利にあたる部分です。
3者間取引・・・売掛債権の1〜5% 
2者間取引・・・売掛債権の6〜40%程度
取引先の信用力や回収期間、自社の利用回数などにより手数料は変動します。
また、3者間取引、つまり、ファクタリング会社が直接取引先から回収できる取引のほうが、ファクタリング会社にとってリスクが少ないので、手数料は安くなります。

きちんとした金融機関から借りた場合の利率は年利で1%程度〜5%程度だと考えると、売掛金の回収期間30日〜90日程度で40%近くの手数料(金利)を払うのは、かなりの割高といえます。

仮に30日後に回収の売掛金を10%で現金化したとします。
100万円の売掛金が90万円になりますが、30日後には売掛金で返済することになります。
年利で考えると、10%×12ヶ月=年利換算で120%となりますので、いかに割高かがわかるかと思います。

登記費用

登記が必要なファクタリング会社と不要なファクタリング会社があります。
必要な場合に一般的な登記は、①債権譲渡登記、②抹消登記となります。
登記費用と印紙代、登録免許税を含めて10万円前後にプラスして司法書士や行政書士の手数料が必要となります。(ファクタリング会社へ手数料として支払う場合もあり)

その他の手数料

書類として必要な場合は、
債権譲渡契約書の作成費用(作成する司法書士や行政書士の値段によります。)
債権譲渡契約書の印紙代(200円程度)

また、手続きに
登記簿謄本や印鑑証明、納税証明などを求められる場合が一般的ですので、その取得費用がかかります。
全部で2,000円弱です。

ファクタリング時に気をつけるポイント

ではどういった企業や事業者がファクタリングがお勧めなのでしょうか?

すぐにお金が必要

金融機関に申し込むとどうしても1ヶ月以上の期間がかかってしまいます。
慢性的な資金難ではなく、短期的な支払いが不足していて、そこを乗り切ればすぐに大きな入金がある場合などは、ファクタリングですぐに資金調達することがお勧めです。

金融機関からお金が借りられない

自社の信用力がない、または枠が一杯などで金融機関からお金が借りられない場合にもファクタリングは有効です。
自社の審査より取引先の信用力が重視されるからです。

確かに実質金利は高いですが、背に腹は変えられない状況の場合にはファクタリングがお勧めです。

特に取引先が大手で売掛金の回収期間が長い場合には、信用力もあり、また、金額的にも大きくなりますので、ファクタリング会社も取引に応じやすい一面があります。

ファクタリングは海外では手法の1つ

日本ではファクタリングというとなじみがあまりありませんが、海外で日本よりファイナンスが発達している国では、普通にファクタリングという手法を使います。

海外には約束手形がありませんので、日本でいう手形の割引感覚でファクタリングを使っている企業がほとんどです。

ビジネスをしていれば、支払いが先で、入金が後、などということは多々あります。
そういうときに便利なのがファクタリングという手法です。

日本ではまだまだなじみがありませんが、今後少しずつ広がっていくであろう方法です。

最近では、金融機関も売掛債権を担保にお金を貸すケースを少しずつですが増やしてきています。
(医療報酬など、売掛先が国など、まだまだ一部ではありますが・・・)

ファクタリング会社の選び方

金融機関のように有名でない会社が多いので、どこのファクタリング会社を選んだら良いか不安になるかと思います。

お勧めは、株式会社ユービジョンという会社で、いくらの資金調達ができるか無料で診断してくれます。

資金調達のプロ

もう一つは、ビジネクストという会社です。

資金難になりそうであれば、この2社に両方とも申し込んでおくことをお勧めします。

他にもファクタリング会社はありますので、探してみてください。

下記に選ぶ場合のポイントを載せておきます。
上記2社もすべてを満たすわけではありませんが、極力多くを満たす会社を探して申込をすることをお勧めします。

手数料が20%程度

手数料は20%程度を1つの目安です。
15%や25%は許容の範囲内ではありますが、45%などという場合には、他のファクタリング会社にもあたってみて安いところを探してみることをお勧めします。

逆に異常に手数料が安いファクタリング会社も要注意です。
ボランティアではないので、手数料が低いということは他の部分で利益を出しているはずだからです。
相場より安いなと思ったら、手数料以外の部分の料金体系を再度確認して見る必要があります。

二社間取引

取引先に知られて良い場合を除いて、二社間取引のファクタリング会社を選択しましょう。
まだまだ、ファクタリングという手法が一般的ではないので、取引先に知られて良いことはありません。

料金体系が明確

手数料以外にも、事務手数料や契約書作成料などがかかるファクタリング会社もあります。
総額いくらかかるのかが明確になっていることはもちろん、契約書の作成料などは、司法書士や行政書士に頼んだときの相場とどの程度違うのかを調べておく必要があります。

契約書が事前にもらえる

口頭で言った料金やファクタリング方法などが、実際が違うというケースも稀にあります。
キチンと書面でもらえるか、もらった書面と説明が同じかは確認しておきましょう。

まずはファクタリング会社に問い合わせ

いろいろと書いてきましたが、ここまで書いてきたことを頭に入れたら、実際に問い合わせてみるのが一番です。
問い合わせたくらいでお金がかかる業者はありません。

どういうことを聞かれるのか、いくらくらいかかるのか、どのくらい資金調達ができるのか、金融機関とは何が違うのか、などなどやってみて感じることがたくさんあります。

いざ資金繰りに困ってから手探り状態でファクタリングを試すより、今の時点でどんなものか一度やってみると、いざという時の選択肢を増やすことができます。
但し、取引先に通知がいかないように二社間取引ができるファクタリング会社を選ぶことだけは忘れないでください。

ファクタリング

編集後記

ファクタリングという言葉をあまり聞き慣れないかもしれませんが、今後は資金調達の1つの手段として広がっていくでしょう。
金融機関ですら売掛金や在庫を担保にした貸付が少しずつですが、増えています。

売掛金で返済するわけですから、返済方法がない中、無謀な借入をするのとはわけが違います。

もちろん資金繰りに困らずファクタリングとも無縁な経営が一番良いかもしれません。

しかし、事業を経営していたら良いときも悪いときもあります。
金融機関も返済実績という信用が必要なように、ファクタリングも1回目よりも2回目のほうが手数料が安くなります。

一度も借金をしたことがない人が突然お金を貸してくれといったら、この人お金に困っているのかな・・・と思うのと同じ原理です。
借りても遅延なく返済しているという実績があるのとないのでは、いざというときに大きく変わってきます。

資金調達のプロ


最後に

最後までお読みいただきありがとうございます。
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この記事を書いた人

吉田 和矢 Kazuya Yoshida
経営ナビの運営者であり、合同会社Belinkの代表社員。 また、株式会社VARIEの取締役&CFOとYOGAsalonひよこの共同経営者を兼任。 なんだかんだで前職時代を含めると、財務を中心に中小企業のコンサルを丸9年行っており、今年が10年目です。 詳しいプロフィールはこちら→経営ナビの運営者

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