未来への光

損益計算書は1期(多くは1年)が終わるとゼロから再スタートです。
一方、貸借対照表は毎期の業績を永久的に引き継いでいきます。つまり貸借対照表は会社の歴史を詰め込んだものであり、どういう貸借対照表を作るかを決めることは会社の未来像の一部を決めることです。

今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。

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今回は『貸借対照表は会社の歴史であり未来像である:BS経営の入り口』です。(編集前のメルマガは2015年4月22日(水)に配信されています)

未来への光

貸借対照表と損益計算書の定義

一般的に、

貸借対照表は、
「一定時点における 企業の財政状態を明らかにするために作成される計算書」

損益計算書は、
「一定期間における経営成績を明らかにするために作成される計算書」

などと定義されています。

損益計算書は短期視点、貸借対照表は長期視点

通常、会計期間は1年間の会社が多いので、1年毎に決算をすると思いますが、決算が終わると、損益計算書の数字(例えば売上高や仕入、給料など)は翌年にはゼロから再スタートします。

一方、貸借対照表の数字(現金預金や売掛金など)は、翌年になっても前年の残高が繰り越します。

つまり、誤解を恐れずに大雑把な表現をすると、損益計算書は短期の業績を、貸借対照表は長期の業績を表すといえます。

貸借対照表こそ会社の歴史であり未来像です

例えば金融機関に融資をお願いする時でも、提出する決算書は2年(期)分〜3年(期)分程度です。

それ以前の業績がどうなっているのかは、貸借対照表から読み取ることになるわけですね。(そこまで数字を読める銀行員や金融機関の人間がどのくらいいるかは疑問がありますが…)

もう少し突っ込んでお話すると、損益計算書は1年の集大成ですので、1年頑張れば前年以前がどんなに悪くても、良い損益計算書にすることはできます。

しかし、貸借対照表は過去からの積み重ねですので、1年頑張っても簡単に良い数字に変えることはできません。

ですので、金融機関も審査の基準として、債務超過(負債が資産よりも多い状態)かどうかや借入金依存度など貸借対照表の数字を重視してみるのです。

つまり、貸借対照表は過去からの積み重ねた会社の歴史であり、未来の貸借対照表は会社の未来像なのです。

貸借対照表と損益計算書の関係性

もちろん貸借対照表の数字のうち、資本の部(返済不要のお金)の一部は損益計算書の最終損益の積み重ねで出来ておりますので、貸借対照表と損益計算書は密接な関係があります。

前回ご説明した自己資本比率のうち分子(資本)の部分(計算式=資本÷総資産)は、この損益計算書の最終利益の積み重ねと資本金などの出資でしか改善しません。
(前回の内容はこちら→【VOL50】貸借対照表で見るべき大事な数字:自己資本比率とは?

つまり、損益計算書の利益というのが大事なのはいうまでもないことです。
しかし、ただ利益だけをあげていれば良い貸借対照表ができるかというと、良い貸借対照表を作る為にはそれ以外のことも重要になってきます。

利益を出す以外の貸借対照表の改善方法

一例ですが、自己資本比率を例にすれば、分子(資本)を増やせば率は高くなり良くなりますが、一方同じ分子(資本)の額でも、分母(総資産)を圧縮できれば、自己資本比率は高くなります。

売掛金を早く回収する、工場や機械などへの投資額を極力抑えるなどです。

売掛金がいつまでも回収できない会社と売掛金が早く回収できる会社とどっちが安定した会社かは言うまでもありません。

また、工場や機械に3,000万投資して、自己資本額(過去の利益の積み重ね)が500万の会社と、工場や機械に1,500万投資して、自己資本額を500万稼げる会社とどちらが優良企業かは言うまでもないかと思います。

過去の利益の積み重ねは1年でどうにかするのは非常に難しいですし、過去の工場や機械に投資した金額を今年1年は少なくしようということはできません。

ですので、貸借対照表を改善するには、長期的な視点が必要となります。

今までの歴史を受け、どういう未来を作っていくかが、貸借対照表には現れてきます。

次回は、良い貸借対照表とはどういうものか、具体的に見られる数字を元にご紹介させて頂きます。

最後に

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