在庫の山

在庫リスクや在庫は資産ではなく死産などと呼ばれ、在庫の危険性が言われています。
一方で在庫を少なくすることで一定のリスクを排除することができますが、逆に販売機会の損失(機会損失)や大量仕入ができなくなるための購入単価の上昇など別のリスクやデメリットがでてくることとなります。
在庫を抱えるリスクやメリット、デメリットをまとめてみます。

今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。

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今回は『経営上の在庫リスクと在庫のメリット・デメリット』です。(編集前のメルマガは2016年8月17日(水)に配信されています)

在庫を持つことのメリット

在庫をおくことのメリットについて、まずご紹介します。
製造業なのか、店舗ビジネスなのか、ネットビジネスなのか、など業態によってそれぞれ違う部分もあると思いますが、今回は一般的な在庫を持つメリットについてです。

販売の機会損失を防げる

最近のネットを使った転売ビジネスでは、売れてから仕入れるという方法が取られているケースが多いようですので、在庫がないから販売機会がなくなるとは必ずしもいえなくなってきていますが、小売店などを筆頭に在庫がないと販売機会がなくなるケースはまだまだ少なくありません。

スーバーでナスを買いたいと思った際に在庫があれば店頭で買いますが、在庫がなく明後日に取り寄せますといったら別のスーバーで買うのが一般的ではないでしょうか?
恐らく、電化製品でも書籍でも店頭で買う場合には同じだと思います。

ネットの転売であっても、売れてから仕入をするという方法だと、仕入先が見つからないことによる販売機会の損失が在庫を持たないことにより発生します。
また、売値より高い仕入値でしか仕入られず損をするか、販売しないかの2択を迫られることとなります。
在庫を持っていれば、仕入値を見てから販売価格を決められるので、そのリスクを防ぐことができます。

納期を短くすることができる

販売機会の損失と近い部分もありますが、製造業などでイメージしやすいので書いてみます。
当然製品在庫を持っていれば、即納品できるので納期は短くなります。
仕掛品(作りかけ)の在庫を持っていても、1から作るよりは早く作ることができます。
材料在庫だけでも持っていれば、注文をして納品されるまでの工程を短縮することができます。

納期が長くなればなるほど、納期が短い別の会社に頼もうと思われる可能性が高くなります。

Amazonや楽天で買い物をする際に、品切れ状態になっていたら、別のところから買おうと思うのと同じ感覚です。

仕入コストを抑えることができる

大量に買えば買うほど安くなるというのは、商売では当たり前の話です。
ですので、在庫を抱える覚悟で大量に買えば、限度はあるにしても安くなるので仕入コストを削減することができます。

代替品を用意できる

トラブルが発生した際の交換や返品の対応が在庫があればスムーズにできます。
在庫を持たないと、トラブルやクレームが発生しているにも関わらず、注文から始めなければいけないため時間がかかりトラブル対応が迅速にできず、場合によっては悪化してしまうというリスクがあります。

在庫を持つことのデメリット

次は逆に在庫を持つことのデメリットの部分についてご説明します。

在庫が資産ではなく死産となる

在庫がいつまでも同じ値段で売れるのであれば問題ないのですが、商品サイクルの速い昨今では死産となるリスクがあります。

飲食店で考えるとわかりやすいかもしれませんが、食材を大量に仕入れて在庫にしておけば、品切れによる販売リスクは削減できますが、残ってしまえば廃棄しなければいけないというリスクが発生します。

家電であれば、モデルチェンジにより値引きをしなければ売れなくなってしまうリスクもあります。
製造業でも技術の進歩により、在庫として抱えていた材料を使用しなくなるケースもありますし、下請け事業であれば家電と同様にモデルチェンジにより、製品在庫が売れなくなるりすくもあります。

衣料品であれば流行り廃りの影響で在庫が死産となってしまう可能性があります。
大量処分セールなどが行われる背景には、上記が理由の1つです。

また、長くおいておくと商品や製品が劣化するリスクもあります。
劣化した商品や製品は正規の値段で販売することが難しいため、値引きの対象か廃棄の対象となってしまいます。

在庫の管理コストが発生する

倉庫の維持費、賃料、水道光熱費などや、商品や製品にかける保険料などの費用がかかるのはもちろんのこと、管理するために人を置かなくてはならなくなり、人件費もかかります。

また、在庫を管理するために管理システムを導入したり、期末または月末には実地の棚卸しをしなければいけなかったりと、利益をうまない管理費用がかかります。

現金出納帳やお小遣い帳、家計簿などをつけたことがある方ならわかるかもしれませんが、入出金をキチンとつけたとしても残高が実際の現金と一致することはなかなかありません。

在庫管理システムを入れ、販売、完成、廃棄などの項目をキチンと入れる作業にもコストが発生しますが、実際の棚卸しと合わなかった場合に合わない原因の追求など、在庫が多くなればなるほどコストがかかります。

キャッシュフローの悪化

売れない在庫が多ければ多いほどキャッシュフローは悪化していきます。
購入するにはお金が必要ですが、売れなければ利益はもちろん仕入代金の回収できませんので、資金繰りは難しくなります。
大量在庫を持つためにはお金が必要ということになります。

在庫は経費にならない

在庫を購入するためにはお金を支払わなければなりません。
しかし、この購入したお金が経費になるのは、原則として売れたときか廃棄したときになります。

例えば10万円の商品を10個仕入れて、15万円で5個を販売した場合、

売上 75万円(15万円×5個)
原価 50万円(10万円×5個)
利益 25万円

※原価は、仕入10万円×10個から売れていない5個分の50万円を差し引いた金額となります。

となります。

しかし、お金は

入金 75万円(15万円×5個)
支出 100万円(10万円×10個)
収支 ▲25万円

となってしまいます。

更には利益がでれば税金もかかりますので、更に出費は増えます。
売れないことが確定して廃棄できれば経費にできますが、いつか売れるかもと思って在庫を持ち続けるということは、50万円分のお金が寝続けている上に、その寝ている在庫がいつまでたっても経費にならないので、税金も払っていることとなります。

適正在庫とは?

適正在庫はその企業の置かれている環境によって変わってくるので、在庫がいくらなら適正という正解はありません。
企業毎に様々な要素を加味して適正在庫を考えていくことが重要です。

例えば、大量仕入をすることによる割引率と、管理コスト、損得を加味するとどうなのか?であったり、品切れ状態になった場合の機会損失はどのくらいあるのか?ということも調べたりしなければいけません。
自動車のように購入決定から納品までが時間のあるような商品であれば販売の機会損失はほとんどないでしょう。(メーカーではなく販売店の場合)
一方で家電であれば販売の機会損失は品切れであれば起こります。

また、商品の劣化スピードも当然違います。
食材であれば早いですし、家電であれば食材より長持ちします。

そのように業態や自社の体制によって適正在庫の数値というのは変わってきます。

在庫の山

編集後記

在庫のメリット、デメリットについてまとめてみました。
適正在庫については、上記に記載したようにそれぞれではありますが、1つ財務会計的なアプローチとしては、商品(在庫)回転率という指標があります。

次回は、商品(在庫)回転率の指標を使って在庫についてご説明していこうと思います。

在庫のデメリットのところで管理コストがかかるというご説明をしましたが、昨今では在庫管理から発送までを請け負ってくれる倉庫業も増えているようです。
そういう業者にお願いすることで在庫リスクを減らしながら経営することも可能にできるのではないでしょうか?
自社に合う業者を探してみるのも1つの経営方法でしょう。

例えばですが、物流倉庫一括.jpならレンタル倉庫を一括お問い合わせ
というサイトでは無料でレンタル倉庫を探すことができます。



本当は在庫を持たないビジネスモデルを選ぶことが一番良いのですが、在庫を持たなければいけない事業の場合にはリスクを極力少なくできるようにすることが大切です。

在庫を持つことにはメリットもデメリットもありますので、メリットもデメリットも知った上で、自社の経営スタイルに合う方法をとりましょう。

とはいえ、何を指標にしたら良いのか目安は知りたいと思いますので、次回は財務会計的の面からみた指標についてご紹介します。

最後に

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