手形

会社は借入金や負債がどんなに多くても潰れないが、支払手形によって潰れるという言葉を聞いたことはあるでしょうか?

近年に事業を開始した法人は当座預金を持っていることは少ないと思いますが、昔から事業をしている法人は金融機関に当座預金を開設させてもらって、慣習として支払手形で支払をしている企業もたくさんあると思います。

なんとなく今までの慣習で振り出してしまっている支払手形かもしれませんが、そこには会社が潰れる最大のリスクが詰まっています。

今回は、支払手形を発行していない企業には関係ありませんが、支払手形を発行していて、支払手形が危険という認識のない方にぜひ読んでもらいたいないようとなっています。

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今回は『財務体質を強くしたければ支払手形をなくすことから始めましょう!』です。(編集前のメルマガは2016年3月16日(水)に配信されています)

支払手形とは?

支払手形は当座預金がなければ発行できません。

金融機関の審査をとおり、「当座勘定取引契約」を締結した企業に当座預金の口座が開設され、通常であれば小切手帳と手形帳が発行されます。

小切手はともかく、手形は今現在お金が当座預金に無くても発行することができ、手形の期日までに入金しておけば何の問題もありません。

紙1枚でお金の変わりを果たし、支払を延期することができるので、もの凄い信用力があります。

余談ですが、当座の開設に金融機関の審査があるため、決して金融機関がこの会社は安全だとお墨付きを与えたわけではないにも関わらず、金融機関がお墨付きを与えた信用力のある会社と見られがちです。

紙1枚で信用力があるということは、決済できなかった場合のリスクが高いことを示します。
リスクが高いからこそ、紙1枚で約束した支払という約束を果たそうと必死になるわけで、逆説的にだから信用力が高くなるともいえます。

支払手形と小切手の違い

支払手形は前述したとおり、支払手形発行時にお金がなくとも決済期日までに当座預金にお金があれば決済ができます。

が、小切手は発行時にお金がなくとも発行できる点は変わりありませんが、もらった側は先日付小切手だったとしても、いつでも金融機関に持ち込み現金に変えることができるため、発行日に口座に決済できるお金がない、または、相手が決済しようとしたタイミングで口座にお金がないと、即不渡りとなってしまいます。

資金に余力がない企業にとって小切手は非常に怖いものですね。

今回の話題には関係ありませんが、金融機関が見る際の支払手形について
金融機関の融資審査のポイント【支払手形の内訳書編】

支払手形が決済できないとどうなるのか?

不渡りとなります。
6ヶ月以内に2度不渡りを出すと銀行取引停止になるという話を聞いたことはあるでしょうか?

2度の不渡りを出すと、当座預金は使えなくなり、普通預金は引き出しができなくなります。

しかも、不渡りを出した金融機関だけでなく、他の金融機関にも通知が行き、取引のある金融機関全てがそうなります。

また、借入がある場合には、借入の一括返済を迫られます。

とはいえ、一括返済はできないでしょうが、入金したお金は引き出せませんので、自動的に支払手形の決済分や、借入の返済へとまわって行きます。

つまり、銀行取引停止になると、実質上ほぼ倒産すると考えていいでしょう。

いや、現金取引のみで生き残る!という選択肢もあるかもしれませんが、世間一般では一度でも手形の不渡りを出すと、「あ、あそこは倒産する」と見られ、仕入先も得意先も離れていく、または前金でないと取引してくれなくなります。

前金で取引できるくらいであれば、手形を不渡りなどにはしないでしょうから、生き残れる可能性は非常に低いと言っていいでしょう。

借入を返せなくなったら?

リスケジュールという手段がありますし、1度や2度返済に遅れがあっても一発で取引停止にはなりません。

リスケジュールをした場合には、新規借入は難しくなりますし、金融機関からの評価は下がりますが、仕入先や得意先に知られることはありませんので、手形のように一発退場ということはありません。

これが、借入が多くても潰れないが、手形によって会社が潰れると言われる所以なのです。

手形を急激になくそうとしても失敗する

手形は危険だからなくそう!と考えるかたも多いかと思いますが、急になくそうとすると失敗します。

例えば月300万円の仕入があって、翌月末に4ヶ月手形を振り出していたとすると、その会社は

買掛金300万円(300万円×1ヶ月)
支払手形1,200万円(300万円×4ヶ月)
となります。

当然、支払手形をもらった会社は金融機関で割り引いて現金にしたり、裏書きして支払代金にあてたりしているでしょうから、5ヶ月後に現金払いにさせてくれというわけにはいかないでしょう。

つまり、支払手形をなくそうとしている1,200万円分の現金をどうにかしなければ、支払手形を辞めた途端に資金がショートしてしまうこととなります。

手形

編集後記

今回は支払手形の危険性についてまとめてみました。
では、実際に支払手形をどうやってなくしていったらいいのか?については次回のメルマガでご案内させていただきます。

どういう方法があるのかイメージしておいていただけると、より理解が深まるのではないかと思います。

事業計画作成ツール

参考までに


最後に

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