労働基準監督署の調査が来ても慌てない、監査の種類と心構え

読了時間目安:約 9分36秒

税務署とともに、苦手だとする方が多いのが労働基準監督署の調査です。
会社の大小にかかわらず、労働基準監督署がくるとなると痛くもない腹を探られるような気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな労働基準監督署が会社にやってくるときの心構えについてご紹介します。

労働基準監督署って一体なに?

労働基準監督署は略して労基とよばれます。
この労基は、厚生労働省の機関のひとつで、全国に321あります。

各都道府県労働局の管轄とされ、そこで働く労働監督官は国家公務員として厳しい採用試験をパスしてきた人たちで、特に、司法警察事務という職務があります。

これは、労働基準監督官は刑事訴訟法に基づいて、特別司法警察員として取り調べや、差し押さえ、逮捕などの強制捜査をする権限をもっています。
その監督官がいるのが、労働基準監督署です。
もちろん、司法警察事務以外にもたくさんの職務があります。
しかし、この特別司法警察員としての権限が恐ろしい存在だと思わせる理由です。

労働基準監督署の仕事の種類は大きく分けて4つ

労働基準監督署の仕事は4つの課に分けられていて、仕事の種類も大きくわけて4つになります。

方面(監督課)

ここに、企業にくる監督官や司法警察事務が入っています。

安全衛生課

ここには、機械などを設置などについての審査や、安全衛生指導などをおこなっています。

労災課

仕事中にケガをしたりした場合の補償をうけもっています。
労働保険の適用や徴収もここが管轄です。

業務課

庶務、経理などの事務をになっています。

この中で、ほとんどの企業と密接に関係があるのは、方面と労災課です。

そのうち最初の方面と呼ばれる課が企業に直接来て調査をする部署です。

方面(監督課)の主な仕事

申告/相談の受付

企業側からの労働条件などにかんする相談や、労働者側からの企業が違反している事実などについて申告(いわゆる、駆け込みです)を受け付けます。

臨検監督(監督指導)

定期的もしくは働く人からの申告などを受けて、会社(工場や事務所をふくむ)に実際に訪問し、立ち入り、機械、設備、帳簿などを調査して労働者の労働条件について確認します。
万が一、法律に違反していることが分かった場合には、是正するように経営者に指導します。もしくは、機械などが危険な状態にある場合などについては、その場で使用停止を命じることができます。

司法警察事務

事業主がなんども指導しても、是正をおこなわない場合などについて、その問題が重大で悪質な場合には取り調べや差し押さえ、逮捕などの強制捜査をおこないます。

立ち入り調査の実態

立ち入り調査のことを正式には「臨検」といいますが、この臨検に来る場合には、2つ種類があります。
あまり、恐れなくても良い場合と、かなり気を引き締めてかかった方が良い場合があります。
前者が「定期監査」といい、後者を「申告監査」と言います。

定期監査とは

定期監査とは、労基が対象となる企業を任意に選んで調査のことで、ほとんどの場合、その地域の会社に2年から4年のスパンで定期的に回ってこられるイメージです。
ただし、このスパンについては、もっと短い場合も長い場合もあります。

しかし、ランダムに臨検する企業を決めても、まわりきれないので、ある程度の目安として挙げられるのが、

①就業規則や36協定を届出していない企業
参考記事
就業規則の必要性とそのモデル、就業規則は無用な労働トラブルを防ぐ第一歩
36協定(労働基準法36条)と残業時間の関係、知らずに違反していませんか?

②特別条項付36協定を届けている企業

③過去数年のうちで指導をうけている企業

また、業界として労働基準法に抵触しやすい構造となっている、小売/サービス業、労働事故の多い建設業などは、他の業種にくらべて、臨検にくる割合が高いといえます。

申告監査とは

後者は、労働者の通報を受けて調査する「申告監督」です。
ほとんどの場合が、辞めたり、辞めさせられたりした元従業員が労基署に申告し、それを確かめるための調査が入るというパターンです。しかし、まれに、現在働いている従業員からのクレームで労基が申告監督に来る場合もあります。ただ、労基についてもその労働者の話に信憑性がないと簡単に調査はしません。その反面、その信憑性が高いとなれば、労基の調査が始まります。590

どうんなふうに調査ははじまるのか

監督官の訪問は、ある日突然事務所や工場に現れることもあれば、事前に連絡があって訪問してくる場合もあります。
また、連絡があって、書類や帳票をもって労働基準監督署に来るように呼び出される場合があります。
事前連絡があったからといって、定期監督だとは限らずまた、その反対も同じです。

もっともラッキーなのは、人事担当者が外出していたり、来客があったりして監督官が訪ねてきたときに不在にしている場合です。
突然やってくるのですから、都合があわなくても仕方ないので、監督官もそれは理解しています。
そのため、不在にしている場合には、ほとんどの場合、お互いのスケジュールを調整するために連絡が欲しいといわれます。

この連絡をするときに、中小企業とくに小規模の事業者であれば、お互いの都合の良い日に資料をもって出向いていくのがよいでしょう。
給与計算の仕方などについて、頭の中を整理する時間もできますし、出向いていくことによって監督官が何度も会社にくるということがなくなります。
これは、経営者にとって、心理的な負担がなくなります。また、従業員に不安感をあたえることが少なくなります。

万が一突然監督官に来られて困ってしまうようなことがある場合には、無理に書類を隠したりすることは得策ではありません。

しかし、税理士事務所に預けているとか、アウトソーシングしている会社に預けている場合には、その通りに話して、資料がそろってから、調査を受けるといっても大丈夫です。
気を付けるべきことは、誰が申告したのかをしつこく聞かないことです。
誰が、言ったかということは、まず教えてくれません。

もし、申告者がいて臨検になったのかという質問に、何も答えられないというようなことを言われたら、申告監査の可能性が高くなります。
しかし、その質問に対して、定期的な調査ですと明確に回答されたなら、定期監査だと思って間違いありません。
定期監査か申告監査かによって、気持ちが幾分かは違ってくるので、聞いてみてもいいと思います。

労働基準監督署の調査があるという場合には、ほとんどの企業が何かひっかかるところがあります。
法律の解釈の相違ということもあります。

従業員の待遇も改善したいとおもっている経営者がほとんどだと思いますが、現実にはなかなか厳しいことが多いです。
労基がある日突然来る前に、法律違反をしていないかもう一度確認しましょう。

参考サイト:
厚生労働省ホームページ:労基の役割

労働基準監督署 調査

編集後記

労働トラブルが近年増えて来ています。

労働トラブルはトラブルになってしまってからでは対策がしにくい問題です。

就業規則、賃金規定を法律に乗っ取って、事前にしっかりと作ることによって、ある程度のトラブルを防止することができます。

参考:

就業規則の必要性とそのモデル、就業規則は無用な労働トラブルを防ぐ第一歩

http://kigyo-jyuku.asia/1353/base-of-pay-agreement/

36協定(労働基準法36条)と残業時間の関係、知らずに違反していませんか?

そして、キチンと法律に乗っ取って運用しているのであれば、監査が来ても慌てることはありません。

税務調査もそうですが、タダで自分の会社又は事業をチェックしてもらうことができる良い機会です。
改善すべき点はしっかりと受け入れ、事業者にも労働者にも相互に良い環境を作るための良い機会にしていきましょう。


最後に

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