就業規則の必要性とそのモデル、就業規則は無用な労働トラブルを防ぐ第一歩

読了時間目安:約 8分23秒

さまざまな場面で、基準とされる就業規則。
たとえば、従業員の給料を計算するときにも、ハローワークで人を雇うときにも、実はこの就業規則や賃金規定が絡んでいます。
今回は、そんな就業規則の経営者が最低限知っておかなくてはいけない基礎についてのお話です。
10人未満だから関係ないと思っている方は、ぜひ一度読んでみてください。

就業規則はいったいなぜ作らなくてはいけないのか

就業規則を作らなくてはいけないのは、なぜでしょうか?

それは、労働基準法第89条で作成が義務付けられているからです。
第89条では、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を必ず作成しなければならない。
また、10人未満であっても、就業規則を作成することが望まれる。ということが書かれています。

正規社員が10名の場合も、正規社員が7名でパートタイムの社員が3名の場合も、正規社員がおらず、アルバイトのみで10名の場合でも、就業規則は作らなければなりません。
家族経営で、社長や役員は家族で、その他はすべてアルバイトだから就業規則はいらないと誤解されている方もいらしゃいますが、そのアルバイトが10名いる場合には、その会社も就業規則は必要なのです。

また、会社を便宜上つかっていますが、正しくは事業場と表現されているように、法人化されていなくても10名の働く人がいれば、そこには、就業規則が必要になるのです。

就業規則はすべての労働者に適用されなければいけません

就業規則はそこで働く労働者に区別なく適用されなければいけません。
だからといって、すべての労働者を同じ条件で雇い入れることは、実際には困難です。
そういった場合には、別途その働き方によって違う就業規則を作る必要があります。

例えば、正規社員とパートタイム社員が同じ場所で働いていたとしても、その2つの異なった働き方の人は同じ労働条件ではありません。
そのために、就業規則の中にそのことを、明記しておかなくてはいけません。



こういった場合に、注意すべきは、

①別の就業規則の適用を受ける人は(たとえば、パートタイム社員)一般の就業規則の適用を除外すること。

②適用を除外した人(ここでは、パートタイム社員)に適用される就業規則は別に定めることとすること。

という2点を明記しておく必要があります。

就業規則の規定例のモデル

第●条 
1この就業規則は、〇〇会社に勤務する者の労働条件、服務規律その他の就業に関することを定めるものである。
2前項の規定に関わらず、パートタイム社員にはこの規則は適用しない。
3パートタイム社員に適用する就業規則は、別に定めるものとする。

必ず記載しなければならないこと

就業規則には、必ず記載することが義務付けられている項目があります。それは、3つあります。

①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて交代に就業させる場合においては、(シフト制)その交代の時刻。

②賃金の決定、計算、および支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項。

③退職に関する事項(解雇の事由を含む)。

これら3つの点については、必ずルールを決めてその内容を就業規則にのせなくてはいけません。

その他に記載しなければならないこと

必ず記載しなければならないことの他に、もし、社内でルールをつくったり、取り決めをしたりした場合にはそのことを就業規則に記載しなければならない事柄があります。

わかりにくいですよね。

今からお話する事柄は、もし社内でルール化されていなければ、就業規則に記載されていなくても、法律違反にはなりません。
しかし、社内でルール化しているのに、就業規則に記載されていないと、違反とみなされます。

①退職手当のルールがある場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払の方法や退職手当の支払い時期に関すること。

②臨時の賃金や最低賃金のルールがある場合には、この取り決めについて。

③食費、作業用品その他の負担をさせるルールがある場合には、これについて記載。

④安全や衛生に関するルールがある場合。⑤職業訓練に関してのルールがある場合。

⑤災害補償や業務外の病気やケガの扶助に関するルールがある場合。

⑥表彰や制裁の定めがある場合には、その種類や程度に関して。

⑦①~⑥以外にも労働者すべてに適用されるルールがある場合

就業規則は誰がつくるのか

就業規則は、事業主(経営者)がつくるものです。

しかし、経営者側が勝手に労働条件などを変更し、労働者側が不利益をこうむらないように、就業規則を作成したり、変更したりする場合には、労働者の代表から意見を聞かなければなりません。

ここで、言う労働者の代表とは、事業所ごとにみて、

労働者の過半数で組織する労働組合がある場合

その労働組合が代表として意見を言います。

労働組合がない場合や、あってもその労働組合に事業所の半数以上の人が加盟していない場合

代表する個人を労働者が選出しなくてはいけません。

就業規則は届け出なくてはいけません

常時10人以上の労働者を使用する事業場で就業規則を作成したり、変更したりした場合には、労働者の意見を記入して、その人(労働組合の場合もあり)の署名または記名押印のある意見書(書面)と一緒に、労働基準監督署に届け出なければいけません。

この場合は、事業所ごとに(たとえば、本店と支店、営業所などがあれば別々に)それぞれの、所在地を管轄とする労働基準監督署へ届出をします。

経営する側としては、就業規則を作ることは手間のかかることのようにも思えます。
しかし、実際は、この就業規則がいざというときに会社を守ってくれることもあります。
自分たちの会社にあった就業規則があることは、働く側にとっても経営する側にとっても、良いことだといえます。

書類を眺める人

編集後記

うちは中小企業だから、10人未満の事業所だから、就業規則は必要ないと考えるのは早計です。
労働者を1人でも雇う以上、労働基準法の適用を受けます。

その労働基準法を下回らない範囲で自分たちのルールを作るのが就業規則や賃金規定です。

無用な労働トラブルを防ぐ為にも専門家、一般的には社会保険労務士に相談して、就業規則の作成を検討することをお勧めします。

更に労働基準法には毎年改訂がありますので、一回作ったから安心ということではなく、毎年または数年に一回は見直しが必要です(本当は毎年…)

そういうことを提案してくれる社会保険労務士は安心できるかもしれません。
(報酬形態も作成してウン十万円ではなく、定期的にやるので月額にしてくれるなど)

ちょっと余談でしたが、感情が入ってくる人の問題だからこそ、軽視せずに事前の準備をしておきましょう。


最後に

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