賃金規定の必要性とモデルの基礎

読了時間目安:約 8分22秒

賃金規定や給与規定は、一般的には会社や事業で決めていると思います。
しかしながら、実際のところ何をどこまで、決めなくてはいけないのか、あいまいなままになっていませんか?
今回は、賃金規定の基礎の基礎をご紹介します。
ご存じの方も復讐も兼ねてお付き合いいただくと、また新しい発見があるかもしれません。

就業規則についてはこちら
就業規則の必要性とそのモデル、就業規則は無用な労働トラブルを防ぐ第一歩

賃金規定は法律で作成が義務付けられています

実は、労働基準法によって賃金規定は作成することが義務付けられています。
ただし、従業員が常時10人以上の事業所の場合です。

いくら全員が正社員でも常時働いている人が9人しかいない場合には、作成の義務はありませんので、なくても法律違反ではありません。
なぜなら、この賃金規定は、就業規則のなかに盛り込まれるべきものだからです。

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就業規則の必要性とそのモデル、就業規則は無用な労働トラブルを防ぐ第一歩

就業規則とは、常時10人以上の従業員がいる事業所において、すべての人に適応する働き方のルールを決めたものです。
そのため、正社員とパート社員など働き方が違う場合には、その働き方に応じた就業規則が必要となります。
それぞれの就業規則にかならず、記載されなければならない項目の一つが賃金規定なのです。

賃金規定は就業規則の別冊に

賃金規定をつくることは、法律で決まっているということはわかっていただけたと思います。
しかし、いったいどのようなルールを盛り込めばよいのでしょうか。

賃金の規定は詳しく書く必要のある事柄が多いので、就業規則の中にいれずに、別冊のような形で就業規則の一部として賃金規定を作る方が一般的です。
そうでないと、就業規則自体が従業員に提示する際にたいへんなボリュームになってしまう可能性があります。
また、賃金に関しては別規則にするくらい重要で詳細なルール決めが必要だということの裏返しでもあります。

そして、忘れてはならないのが、別規則にしたとしても、就業規則の一部には変わりありませんから、従業員の過半数で組織される労働組合、または過半数の従業員の代表者の意見をきき、その意見書を添えて管轄の労働基準監督署へ届けなくてはなりません。
従業員に周知する義務があるのは就業規則と変わりありません。

賃金規定ではなにをルール化しておくべきなのか

労働基準法では、「賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」を記載しなくてはならないとされています。
では、具体的にはどのような内容になるのでしょうか。ひとつずつご紹介していきます。

賃金の決定および計算方法

基本給や手当など、支払われる給与の内訳を記載しておきます。
年齢給、勤続給、職能給など企業によって賃金の決め方はさまざまですが、従業員間で不公平のないようにどのようにして給与が決められるのかを明確にしておく必要があります。
その他の手当についても同じで、通勤手当、家族手当などの手当てもどういった基準で支払われるのかを明確に記載しておきます。
計算方法については、社内で実施しているものは全て記載します。

パート社員なら時給制、正社員なら年棒制など働き方に応じて何種類かの計算方法を使っていることが一般的ですので、漏れのないようにします。欠勤や残業手当の計算方法や、有給休暇の計算、産休育休の場合の給与計算の方法も明らかにしておきます。

賃金の支払い方法

これについては、法律で5原則が決められています。

1)通貨で支払うこと 
2)従業員に直接支払うこと
3)全額支払うこと 
4)毎月1回以上支払うこと 
5)毎月一定期日に支払うこと
の5つです。

物で支払ったり、従業員の家族に支払ってしまったり、債権者に渡してしまったり、少しずつ支払ったり、たまにしか支払わなかったりということがあれば、従業員の生活は安定しません。

従業員の生活に直結する事項だからこそ、詳細に記載しましょう。

賃金の締日

毎月の締切日と支払日を明確にすることです。
支払日はひと月に一回以上あってもよいので、締日も複数あってもよいのですが、何度あってもその日をきちんと明確に記載する義務があります。

昇給に関すること

昇給があることも、昇給がないことも、それ自体は法律に違反することではありません。
ただし、昇給のルールを明確にしておく必要があります。
昇給がない場合もその旨を記載しないといけません。
ある場合には、どのような時に、どれくらい昇給するのか、また、企業の実績によって昇給がなくなる場合もあるならば、その旨も記載しましょう。

事業所ごとのルール

同じ企業内でも事業所ごとに違うルールを設けている場合があります。
事業所ごとに別の事業を展開している企業などがそのケースにあたります。
その場合も、事業所のルールとしての賃金規定を明記します。旅費の規程や最低賃金なども、事業所によって違う場合がありますので、明確にしておきます。

絶対的記載事項と相対的記載事項

労働基準法では、必ず規定しなければいけない絶対的記載事項と、事業として決まりがあるのであれば記載すべき相対的記載事項があります。

絶対記載事項

① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
② 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

相対的記載事項

① 退職手当に関する事項
② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
③ 食費、作業用品などの負担に関する事項
④ 安全衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦ 表彰、制裁に関する事項
⑧ その他全労働者に適用される事項
など

任意的記載事項

これらの絶対的記載事項と相対的記載事項の他に、任意的記載事項と呼ばれるものがあります。
これは、文字通り法律で定められているものではありませんが、従業員の理解を深めるために、記載するものです。
たとえば、昇給の内容を図式化したものや、退職金の支払い率の表などがあげられます。

外国人社員

編集後記

賃金規定は、就業規則の中に含まれるもので、労働基準法によって作成が義務付けられていますしかし、法律で決められている以上に、賃金規定をきちんと整備することによって、会社と従業員の間のもめごとが未然に防ぐことができます。
また、整備し、周知された賃金規定があれば、公平で開かれた経営だと従業員からの信頼も増します。
法律上の規定なので、面倒に感じることもありますが、経営サイドにも十分なメリットがあるといえます。


最後に

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