今回は前回に引き続き、財務諸表をいかに経営に活かすか、その方法についてご説明させていただきます。
前回の貸借対照表と損益計算書は必ず税務署への申告用に、年に1度作成しますので、経営に活かさなければ損です。
今回ご説明するキャッシュフロー計算書や資金繰り表も多くの企業は作成していると思いますので、経営に活かす見方と目線を知るだけで大きく変わると思います。
前回のお話はこちら
【VOL64】会計を経営に活かせ!決算書は税務署のために作るものではありません。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は『会計を経営に活かせ!決算書は税務署のために作るものではありません。』です。(編集前のメルマガは2015年7月29日(水)に配信されています)
財務諸表を見る上でのポイント
何回か他の記事にも書いていますが、どの帳票で何がわかるのかを理解することです。
損益計算書を見て会社にいくらお金が残っているのかはわかりませんし、貸借対照表を見て売上がいくらなのかはわかりません。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、資金繰り表、それぞれにそれぞれの役目があるので、正しい見方、使い方をすることが大切です。
貸借対照表は、企業がどこからお金を集めて、どこにお金を使ったのかを見ることができる指標です。
損益計算書は、会社が儲かっているかをみることができます。
キャッシュフロー計算書は、損益とお金の増減の違いを原因別にみることができます。
資金繰り表は、会社のお金の動きをみることができます。
キャッシュフロー計算書と資金繰り表については、今回ご説明します。
貸借対照表と損益計算書について詳しく知りたい方は、【VOL64】会計を経営に活かせ!決算書は税務署のために作るものではありません。をご覧いただければと思います。
キャッシュフロー計算書で読み取る経営
キャッシュフロー計算書は、損益計算書で出た損益と、実際のお金の増減を原因別に見るための指標です。
こんな経験はありませんか?
利益は出ているのにお金がない!とか、損が出ている割にはお金があるな…とかです。
それはお金の増減と、損益にはズレがあるからです。
わかりやすいお話で言うと、売上は商品を納品した時に売上として損益計算書に載りますが、お金を受け取るのは、商品を納品したときとは限らないからです。
例えば、売上は伸びているのに、入金は3ヶ月後とかの取引条件の場合には、損益計算書では利益が出ているのに、お金は増えていないという現象が起こります。
他にも、借入金の返済は損益計算書には載ってこないので、利益は100万円出ていても、返済が200万円の場合には、利益分お金が増えていたとしても、返済分との差し引きでお金が100万円減ることとなります。
これはあくまで一例ですが、在庫の増減や、資産の購入など、お金の動きと損益計算書の数字にはズレがあります。
そのズレの原因を把握し、対策を考えるための指標がキャッシュフロー計算書になります。
→【VOL57】キャッシュフロー計算書って本当に経営に必要??
→【VOL58】キャッシュフロー計算書でわかる、絶対に知っておきたい儲かっているのに資金がなくなる3つの理由!
→【VOL59】簡単5分でわかるキャッシュフロー計算書の基礎
→【VOL60】損益は解釈、キャッシュこそ企業の真の力を表す、その理由は?
→【VOL61】お金に色をつけるのがキャッシュフロー計算書の役割?!
→【VOL62】経営者ならこれだけは知っておきたい!営業活動によるキャッシュフローの基礎
→【VOL63】投資活動と財務活動によるキャッシュフローで損益とお金の増減は大きく変わる
資金繰り表で読み取る経営
小さな会社が、いわゆるキャッシュフロー経営を目指すのであれば、資金繰り表を重視して経営することが大事です。
資金繰り表とは難しいものではなく、お小遣い帳のようなものに過去のお金と入出金履歴とその原因(売上、仕入、交通費)などを書き、更にそれに将来の予測の入出金を書けば、それで完成です。
会社はどんな規模になってもお金さえあれば潰れません。
「会社は赤字で潰れるのではなく、お金がまわらなくなって潰れるんだ」という名言もあるくらいです。
小さな企業で経営者が自ら支払や入金管理をしている企業は、それほど心配はありませんが、経理を他人に任せた段階では注意が必要となりますので、資金繰り表や予測資金繰り表を作ってもらい、毎月チェックすることをお勧めします。
ちなみにキャッシュフロー経営とは、キャッシュフロー計算書を使って経営することではなく、お金を重視して経営していくことなので、資金繰り表と貸借対照表から経営することのほうが近いので名前に惑わされないように注意しましょう。
はっきりいって小さな会社は納税の計算のために損益計算書は必要ですが、それ以外に関しては資金繰り表さえあれば正しい経営ができるはずです。(金融機関からの評価は貸借対照表や損益計算書からされるので、融資が必要な場合は別)
納税予測さえプロの税理士などに出してもらえれば、自信は資金繰り表をしっかりみて、資金ショートを起こさない経営をしていけばこと足りることとなります。
→【VOL39】事業に必要な運転資金を「月商何ヶ月分」という危険な考え方をしていませんか?
などを参考にしていただければ幸いです。
編集後記
いかがだったでしょうか?
財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)など毎年作成していると思いますが、経営に活かせていない経営者が多いのではないでしょうか?
それどころか、見方もわからないから、見てもいないという人も多くいらっしゃると思います。
せっかく作っているのですから税務署申告用では大変もったいないことです。
ぜひ財務諸表を読める財務に強い経営者となり、事業発展のために活かしていきましょう。
その助けに少しでもなれば幸いです。