emotion

マーケティングに役立つ心理効果、第4弾です。
今回は人の感情がどう動くかを中心に紹介します。
人は何かを決めるときに最後は理屈や正論ではなく、感情的で決めます。
ですので、感情がどういう動きをしやすいかを知っておくことは、ビジネスにおいて大切です。

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今回は『マーケティングに役立つ心理効果〜感情編4選〜』です。(編集前のメルマガは2017年1月11日(水)に配信されています)

視線解析

昔から「目は口ほどにモノを言う」という言葉がありますが、人の感情や考えは目に現れます。
目が泳ぐ、目が据わる、目から火がでるなど、たくさんの慣用句があるのも、そのためです。

視線解析の事例

過去を思い出す時は、「目が左の方向へ」、将来など何かを想像する時は「目が右の方向へ」動きます。
また、視覚でイメージする時は「目が上の方向へ」、嗅覚でイメージする時は「目が真ん中に」、そして体感をイメージする時は「目が下の方向へ」動きます。

但し、注意点として、人によって全く方向が逆の場合もあります。
そんな人でも一定の習性はあるので、簡単な質問で目がどっちの方向に動くか試してみると良いでしょう。
学生時代の思い出などを聞いてみると、過去を考える場合に、目が動く方向がわかります。

その習性がわかれば、過去の質問をしているのに、右に目が動けばウソをつくために何かを想像していることが容易にわかることとなります。

中小企業で活用できる視線解析の事例

1つは対面営業で相手が考えていることが視線からわかれば、次に何を説明すれば良いのか、相手が何を心配しているのかがわかります。
また、ホームページなどを作る際の配置にも効果的です。
過去の実績などは左側に、自社の商品サービスを使ってどういう効果が生まれるかという未来のことは右側に配置すると効果があります。

図表などの時間軸で、横軸の左側が過去、右側に近づけば近づくほど現在または未来になっていきますが、人はこの配置になれていることもあり、左から右に時間が流れることが人にとって自然に感じられます。
逆だと強い違和感を感じると言われています。

更には、文章の中に、視覚、嗅覚、体感のすべてをイメージできるような文言を入れると体全体で商品サービスを使った自分(又は自社)がイメージでき効果が倍増します。

コンコルド効果

別名、サンクコスト(埋没費用)効果とも呼ばれ、一定の時間やお金などのコストをかけたあとだと、そのコストがもったいなく感じてしまい、別の選択肢を取ったり、思い切って辞めてしまったりしたほうが、効果的にも関わらずその選択肢を続けてしまうことをいいます。

コンコルド効果の由来

コンコルドとは、イギリスとフランスが共同開発した当時世界最速の旅客飛行機です。
当時、開発段階で完成しても採算が合わないことがわかっていたのにも関わらず、既に投資した莫大なコストのために開発中止ができず、結果多額の赤字を出し、生産中止になりました。

このことから、先行投資を惜しんで合理的な選択をできない心理のことをコンコルド効果と呼ぶようになりました。

コンコルド効果の事例

コンコルド効果は、単純に企業だけではなく、個人にも現れます。
例えば何かの商品サービスを買おうかと考えて、ネットで調べたり、訪問して説明を受けたりします。
そうすると、そこに費やした時間がもったいなく感じ、買う買わないの選択から、どれを買うかに思考が切り替わってしまうことが多くあるという研究成果があります。

また、ポイントカードなどもコンコルド効果が働く場合があります。
ある飲食店で食事をするよりも他の店のほうが良いケースがありますが、貯めたポイントがあるので、よく調べずにそのお店に行きポイントを貯める(または使う)という選択をするケースです。
これも、せっかく労力とお金を使って貯めたポイントを活かしたい、ムダにしたくないという精神が働いていて、コンコルド効果の一例といえます。

中小企業で活かせるコンコルド効果

一眼レフカメラの販売方法をご存知でしょうか?
本体価格とセットのレンズを格安で販売します。(とはいってもウン万円〜ウン十万円ですが…)

そこでカメラの楽しさを覚えると、新しいレンズが欲しくなります。

これは、カメラとセットのレンズ(レンズキット)に投資したお金ももちろんですが、手軽に買える金額で楽しんだ時間と、写真の勉強をした時間やお金を惜しんで、更に高額のレンズを買って楽しもうとする感情が働きます。

同じように、自社の商品サービスを手軽に楽しめる、または、役に立つと経験できるような価格で用意し、満足していただいた方にその上のプランを提供するという商品構成及び販売方法を中小企業でもとることができます。

無料のメルマガや動画などもその一つです。

ここで大切なのは、抱き合わせ商法のように、カメラ本体は安いけど、レンズも買わなければ意味がないような方法をとらないことです。
お客様は見た目だけ安くても、実際には高くなり結局いくらになるかわからないような販売方法には嫌気がさしています。

エピソード記憶

あるものに対する記憶があるエピソードとつながって覚えていることをエピソード記憶といいます。
例えば、ある曲を聞くと昔の恋愛を思い出すとか、ある食べ物を食べると昔行ったあの場所でこれを食べたななどです。
これは特殊なことではなく、誰にでもある記憶方法の一種です。

エピソード記憶の事例

ある曲を聞くと、その曲を流していたCMを思い出し、CMで紹介されていた商品が思い出されるのも、その一例です。
京都というワードを聞くと「そうだ京都、行こう」というキャッチコピーを思い出し、JR東海の宣伝ポスターを思い出すのもエピソード記憶です。(JR東海まで思い出せる人は多くないかもしれませんが…)

中小企業で活かせるエピソード記憶

よく使われるのは、流行語や有名キャッチフレーズなどを真似るという手法です。
著作権等には注意が必要ですが、例えば何かの人気投票をするのであれば、ただ人気投票とするのではなく、少し古いかも知れませんですが、AKB48の総選挙にちなんで、◯◯総選挙とするなど、実際に私がお手伝いしている会社では効果がありました。(しかも総選挙は政治の言葉で一般的なので著作権等にも抵触しません。)

その言葉を聞くだけで、どんなことが行われるのかや、お祭り感を感じられるため、普通にアンケートや人気投票等でやるより参加率が良かったです。

他には、扱う商品にもよりますが、「体脂肪を落とすために◯◯」や「運動不足のあなたに◯◯」、「数字が苦手な経営者に◯◯」、「売上を伸ばしたい経営者に◯◯」など、一般的かつ普段から考えているけど、優先順位が低い言葉が響きます。

数字が苦手で金融機関から借りるのに苦労した経営者であれば、そのときの記憶が蘇ってきますし、健康診断で何か気になる点がある人であれば、体脂肪や運動不足というキーワードに健康診断の結果がきたときの記憶がよみがえってくるでしょう。

中小企業の場合、CMを作ったり、マンガ化したり、エピソードを自分たちで作るのは、なかなか難しいですが、有名なもの、一般的なもののエピソードを利用することで効果を発揮できます。

ピグマリオン効果

期待が相手に伝わり、期待したとおりになることをピグマリオン効果と呼びます。
別名、教育期待効果やローゼンタール効果とも呼ばれます。

逆に相手に期待せずに、その通りの結果となることをゴーレム効果と呼びます。

最近では、ピグマリオン効果と心理には因果関係がないという研究報告もあります。

ピグマリオン効果の由来

ギリシャ神話の中にある「変身物語(転身物語)」に登場するピュグマリオン王という人物がいます。
ピュグマリオン王が女性の彫像に恋をする物語なのですが、恋いこがれた結果、女性の彫像がアプロディテ神という神様の力で人間化したという伝説に由来しているそうです。

ピグマリオン効果の事例

教育現場での実験が有名です。
サンフランシスコの小学校で行われた、今後成績が伸びる生徒とそうではない生徒を割り出す「ハーバード式突発性学習能力予測テスト」というものがあります。
実際にはこのテストには何の意味もなく、普通の知能テストだったのですが、テスト後にランダムに生徒を選び、担任の先生に「この子たちは成績が伸びる」と伝えました。

当然、担任の先生は「この子たちは成績が伸びる」という期待を持って生徒に接しました。
結果、他の生徒よりも成績が伸びたということが起こりました。

また、同じように動物実験でも、学生たちに利口なネズミといって渡したグループと、のろまなネズミといって渡したグループにわけてネズミを育てさせて結果、実験結果に差がでたという事例もあります。

このように期待値によって結果が変わることをピグマリオン効果といいます。

ピグマリオン効果に対する批判

ピグマリオン効果は心理との因果関係がないという批判もあります。
他の人が再実験を試みたものの同じ結果が出なかったという実験結果もあり、また、教師側や育てる側の扱い方の問題であり、相手に対しての効果は期待とは関係なく、えこひいきや扱いによって変わっているだけという意見もあり、現在でも激しく論争されています。

しかし、心理効果との因果関係はともかく、期待を含めた環境によって結果が変わるというのは事実ですので、経営にも活かせるものです。

中小企業で活かせるピグマリオン効果

マーケティングとは関係ありませんが、まずはスタッフ教育の現場です。
このスタッフはできると思って接するのと、どうせこいつはダメだろうと思って接するのでは、効果は大きく違います。

また、マーケティングと関連するところでは、自社をすごい会社だと思っているか、こんな小さな会社と思っているかによって、スタッフの営業成績はもちろん、その他の部分も大きく変わってきます。

同じく商品、サービスも同じです。
うちの商品なんてライバルの◯◯の商品に比べてダメだと思っていると本当にその通りになります。
ライバルの商品にも素晴らしい点があるが、うちの商品のここは絶対に負けないと思い込む(実際には違っても)と、自社の商品を好きになることで、実際に商品は同じでも結果は大きく変わります。

つまり、商品、サービス、そして自社に対して自信や期待を持てるような根拠を作ることが中小企業にはお勧めです。

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編集後記

マーケティングに役立つ心理効果ということで、人の感情にまつわる4つの心理効果を紹介しました。
他のマーケティングに役立つ心理効果と併せて、どれでも良いので、まずは1つ実行してみて成果を出してみることをお勧めします。
1回では成功しないかもしれませんが、一度うまくいくと、その後も長い間うまくいきますので、労力やお金を含めたコストをかける価値のある分野です。

ぜひ心理効果を勉強して、お客様の心理を理解し、お客様に喜ばれる商品やサービスを提供するために、少しでも参考になればと思います。

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最後に

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