長期的な財務計画を立てる上で重要な指標は何かご存知でしょうか?
どのタイミングで金融機関から資金調達が必要なのかがわかるだけでも、金融機関からの信頼もあがり財務計画が立て易くなります。
今回は5年、10年といった長期的な財務計画の立て方、考え方についてご説明致します。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は『利益計画と資金計画から考える長期的な財務計画の考え方』です。(編集前のメルマガは2015年10月7日(水)に配信されています)
短期的な資金繰りと長期的な財務計画の違い
短期的な資金繰りには、売上債権と仕入債務のサイトの違いによる資金不足(いわゆるサイト負け)や源泉所得税や消費税などの預り金の納付などにより、利益がでていても資金繰りに困るケースがあります。
このあたりは下記の記事を読んでいただくとよくわかるかと思います。
また、長期的な資金繰りを考える上でも資金運用計画が非常に重要になってきます。
例えば、50円で仕入れた商品を100円で売っていて、仕入は1ヶ月後の支払、売上は3ヶ月後の入金の場合には、50円×1ヶ月=50円と100円×3ヶ月=300円の250円のサイト負けが生じることになるわけです。
規模が大きくなればなるほど、このサイト負けの金額は大きくなるわけですから、それを加味せずには長期的な資金繰りは考えられないこととなります。
ただ、今回はこの話は割愛致します。
長期的な財務計画はもっと根本的なことから考えていきます。
詳しくは後日また書きますが、長期的な資金繰りの考え方を知りたい方はこちらの記事を参考にして下さい。
理論上の資金繰り
売上仕入サイトにサイト負けがあっても、預り金があろうが、納税があろうが、長期的には損益計算書で出た利益分はお金がプラスになるはずです。
但し、事業はずっと続いているので今手元にあるお金は何のお金かわからなくなってしまいますが、今月50円で仕入れたものを300円で売った場合には、250円お金が増えるというのは支払サイトがいつでも、売上サイトがいつでも変わりません。
入金する前に支払があったり、追加の仕入があったりするので、わけがわからなくなってしまうだけで、長期的にみれば絶対に儲かった分お金は増えることとなります。(その時点で事業を辞めた場合と言っても間違いではありません。)
利益以外にお金の増減に長期的に関係するものは、借入金の増減(借入と返済)と投資です。
つまり、利益+借入ー返済ー投資=長期的な現金預金の増減となります。
長期的な財務計画の立て方
一番単純な考え方です。
その期間の「借入金の返済額+投資額+増やしたいお金の金額」が「(税引き後利益+減価償却費)×その期間」になれば良いのです。
なぜ、税引き後利益+減価償却費がイコールになるのかわからない方はこちらを読んでみて下さい。
→【VOL74】利益計画の作り方と稼がなければいけない利益
上記の記事を読んでいただければ、具体的にいくらの売上をあげなければいけないかわかると思います。
これで、単純に余裕で稼げる売上額になるようであれば、短期的な資金ショートにさえ気をつければ大丈夫です。
但し、売上額があまりにも現実とかけ離れるようであれば、粗利益率の改善や、固定費の削減、将来の投資額の見直し、返済額の見直しなどをしなければいけなくなります。
返済額の見直しでリスケジュールにならない方法はこちら
→【VOL14】リスケジュールせずに借入金の返済を減らす方法(メルマガ版財務講座)
利益以外にお金を増やす方法
それは金融機関からお金を借りるか、投資家から出資してもらうこととなります。
この計画を立てておけば、だいたい何年後に資金が足りなくなるかわかりますので、金融機関にも説明し易くなります。
赤字であればともかく、黒字で計画的な資金調達の説明ができれば金融機関との付き合いも非常にうまくいくことができます。
金融機関とどう付き合うかはスモールビジネスや中小企業では必須事項ですので、非常に有効な方法になると思います。
金融機関との付き合い方について知りたい方はこちらから
→「金融機関・銀行・資金調達」に関する記事一覧
編集後記
今回は長期的な財務計画についてざっくりと概要をご説明しましたが、次回は事例を使って細かく説明させていただきます。
少し難しい話かもしれませんが、この方法を知っておくだけで未来を向いた数字による事業経営ができるようになります。
ぜひマスターしていただき、未来を数字で考え、更に金融機関と上手につきあっていきましょう。