返済額に必要な利益を計算中

借入金の返済をする際に稼げば良い利益の金額をご存知でしょうか?
返済する金額だけ利益が出ていればいいと考える方が少なくないようですが、そんな「どんぶり勘定」をしていたら間違いなく会社は潰れてしまいます。
借入金と上手に付き合うことが事業を継続成長させていくために絶対に必要なことですので、参考にしていただけたらと思います。

今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。

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今回は『月100万円の借入金を返済するのに、いくらの利益を稼げば良いのか?』です。(編集前のメルマガは2015年9月23日(水)に配信されています)

借入金は利益の前倒しである

借入金というのは将来の利益を前倒ししているという事実をまずは抑えましょう。

本来であれば、利益を稼いでコツコツと貯めるはずのお金を、将来の利益で返済しますと約束して金融機関から前倒しして借りているのが借入金の本質です。

返済期間というのは前倒し期間と考えて下さい。
5年間の返済期間であれば5年分の利益を前倒ししたことになります。

前倒しして借りたお金以上に稼げれば何の問題もありませんが、前倒しして借りたお金より稼げなければ手元のお金はどんどん減っていってしまうこととなります。

返済は「税引後利益+減価償却費」が基本

もちろん本当は返済はお金ですることとなりますが、税引後利益+減価償却費が返済額を上回っていなければ返済能力があるとはいえません。

支払より入金が先にあったなどで一時的に返済できることはあるかもしれませんが、長期的に見ればいずれ返済できなくなるのは明らかです。

そのため金融機関も返済能力を「税引後利益+減価償却費」で考えるのです。

参考:
【VOL72】中小企業の金融機関からの借入限度額の考え方

減価償却費がなぜ返済能力として見られるのかを忘れてしまった方はこちら。
【VOL2】減価償却費に代表される会計の罠にひっかからないように気をつけましょう!

税引後利益であることに注意!

一番間違え易いのが、税引後利益であるということです。

正直な話、減価償却費は忘れても大丈夫です。

減価償却費を仮にゼロとして考えると、返済が月100万円ということは税引き後利益で100万円が必要です。

では、税引き前利益でいくらの利益が必要かわかりますか?

即答できる人は少ないかと思います。

単純に考える場合には税率を多めに50%と考え、200万の税引き前利益が必要と考えるのが無難です。

実際には中小企業であれば最近の実行税率(法人税、地方税の合計)は30%程度になっていますので、100万÷(100%-30%)=約150万円と考えていただいても構いません。(但し、所得金額が多い場合には実行税率は約40%となります。)

実際の税金計算は複雑ですが、細かいところは税理士に任せて単純化して考えることが大切です。

減価償却費がある場合の考え方

減価償却費がある場合、どう考えたら良いか例題で考えてみましょう。

月の返済額が100万円で、減価償却費が50万円あるとすると、必要な税引後利益は50万円となります。(返済額=税引後利益+減価償却費)

つまり、税引前利益では、実行税率を50%と考えれば100万円、30%と考えれば約70万円となります。

仮に減価償却費を忘れても大丈夫と書いた理由は、多く稼ぎすぎる分には問題がないからですね笑

実行税率を50%と考えるか、30%と考えるか、それとも間をとって40%と考えるかは、余裕をどの程度持つかですが、事業計画を立てる上では50%で考えておくと良いと思います。

返済だけでなく、投資や貯蓄のためにもお金は必要ですので、少し多めに考えておくことをお勧めします。

返済額に必要な利益を計算中

編集後記

聞いてみれば当たり前と思うことかもしれませんが、意外と税金について考えることを失念しているケースが多くあります。

また、節税ばかり考えて、節税のためにお金がなくなってしまい、資金繰りが困難になってしまうケースも多々あります。

事業のお金の流れをしっかりと把握して経営をしていきましょう。

※実行税率に関しては法人の話であり、個人事業の場合には計算は変わってきます。詳しくは税理士に確認してみて下さい。

このへんの記事も参考にしてみて下さい。
【VOL11】最低でも稼がなければいけない利益はいくらですか?
【VOL12】最低限必要な利益とは、黒字倒産しないための利益額のことです、一緒に計算してみましょう

最後に

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