財務の数字を見る理由は、過去を振り返り将来に活かす為です。
過去を見て、あの時にこうすれば良かった、ああすれば良かったと愚痴をいうためではありません。
現状をしっかり把握し、明日からどうするかを考える考えるために財務数字を振り返ります。
今回は明るい未来を作る為の数字の見方について解説致します。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は『事業の明るい未来を作るための財務数値の5つを使った経営改善方法』です。(編集前のメルマガは2015年10月28日(水)に配信されています)
この記事の目次
収入を増やし支出を減らす
前回もお話しましたが、ものすごく単純かすると、この2つしかありません。
収入を増やし、支出を減らせば利益は増えていきます。
それを分解して考えると以下の5つになります。
①お客様単価をあげる
②お客様数を増やす
③原価を下げる
④固定費を減らす
⑤返済額を減らす
参考
→【VOL77】財務指標から考える利益を出すための改善方法
数字で未来を変える為の5つの改善方法
5つに細分化した方法を具体的に解説していきます。
少し具体的に説明するので、どうしたら自分の事業に当てはまるか考えてみてください。
その中で、もっとも簡単な方法から実行していきましょう。
お客様単価をあげる
方法は2つあります。
1つ目は単純に値上げをする方法です。
例えばコンサル業であれば、1件5万円だった案件を5万5千円にするなどです。
飲食店で例えれば、ランチメニューが800円から850円に変わっているケースなどがあたります。
お客様に値上げの正当性が伝わりづらいためあまり多くはありませんが、原材料などの高騰により、飲食店やスーパーなどでよく見られます。
また、消費税に便乗した値上げもこれに該当します。
2つ目はお客様単価をあげる方法です。
例えばコンサル業であれば、1件5万円の財務コンサルに、1件3万円の労務コンサルも買ってもらえれば、1件あたりのお客様単価はあがります。
飲食店でもドリンクメニューを頼んでもらうとか、デザートも頼んでもらうなどが該当します。
単純に単価を増やすのとは違い、その商品やサービスに対応する原価がかかります。
お客様数を増やす
経営の中でこれが一番難しい部分です。
逆にいえばお客様を増やすことを計画的に狙ってできるようになれば、経営がコントロールできるようになります。
営業、集客、販売、マーケティングなどと呼ばれる部分です。
少しずつですが、こちらにヒントを書きためているので参考にしてみて下さい。
→「営業・集客・販売・マーケティング」 一覧
こちらも1人お客様が増えればそれに対応する原価がふえます。
原価を下げる
仕入先の相見積りをするなどして、原価を下げる方法をいいます。
中小企業では意外とここにムダが多い企業が多くあります。
長い付き合いだから、うちのことをよくわかってくれているからとかの理由で他社と比較しないケースが多々あります。
特に粗利益率の高くない業種の場合には、原価の引き下げは非常に効果が高いので検討してみて下さい。
原価があがったからといってなかなか値上げができないのと同様に、原価が下がったからといって値下げする必要はありませんので、原価を下げられて分がまるまる利益となります。
下請け企業を安くたたけということではなく、適正価格を意識しようということです。
反則技として、10個入りで1,000円で売っていたものを、いつの間にか9個にして1,000円で売るという方法もあります。
お客様の印象は良くないでしょうが、意外と多くのメーカーがやっている方法です。お勧めはしませんが…
固定費を下げる
事業は続ければ続けるほど、ムダな経費が増えていきます。
意識していないといつの間にかふくれあがっています。
定期的にダイエットが必要です。
現状から必要かどうかを判断する
オーソドックスなやり方です。
資金繰り表または会計の元帳を見て、何にいくら支払っているかをみて、不必要なものを削っていく方法です。
年に1回でも構いません、ぜひ全支出を見てみて下さい。
不必要な支出が以外とあるものです。
予算制を取り入れる
交際費や会議費など、一定の支払は必要だが上限を決めておいたほうが良い経費に関して使います。
予算を決めずにただ使うより、予算上限を意識して使うことで経費の無駄遣いを避けることができます。
ゼロベース予算
ゼロベースからスタートし、何も見ずに何にいくら使うか考えてみましょう。
ここで思いつかないものの多くが不必要な経費の可能性があります。
借入金の返済を減らす
上記4つが出来ない場合の最後の手段になりますが、借入の返済額を減らしましょう。
借換という方法とリスケジュールという方法があります。
借換
5,000万の借入を5年で返済しているとすると、年間の返済額は1,000万円ですが、2年返済後なら残額は3,000万円です。
それでも1,000万円ずつ返さなければいけません。
これを、新しい借入を5年3,000万円で借りて、古い3,000万円を返せば、年間返済額は600万円になり、400万円の余裕ができることとなります。
リスケジュール
上記の例でいけば、年間1,000万円ずつ返す約束(スケジュール)でしたが、金融機関と交渉して、600万円に変更(リスケジュール)してもらうことをいいます。(1年間返済ゼロに変えてもらえるケースも多々あります)
同じく返済額を減らす効果があります。
借換とリスケジュールの違い
リスケジュールをすると多くの場合、金融機関や保証協会のリストに載ってしまうので、新規の借入ができなくなってしまいます。
リスケジュールは借換を含めた他のどの方法も難しい時の最後の最後の方法としてとっておきましょう。
借換もリスケジュール相当と見られるケースもありますので、返済額が減る借換をする際には金融機関の担当者に念のため確認することをお勧めします。
借換とリスケについて知りたい方はこちら。
→【VOL14】リスケジュールせずに借入金の返済を減らす方法(メルマガ版財務講座)
その他金融機関全般について知りたい方はこちらから
→「金融機関・銀行・資金調達」に関する記事一覧
編集後記
財務や試算表は税務署に提出したり、金融機関に提出したりするために作っているわけではありません。
毎月素早く現状を把握し、どこを改善したら経営が更によくなるかを考えるための未来思考の道具として使える便利なものです。
上記5つのうち、リスケジュール以外で自分の事業でできるものをまずは探してみましょう。
その中でもっとも簡単なものから手をつけることをお勧めします。
簡単なことをやるだけで、経営が改善されるのがわかると思います。
次回は、経営改善方法が利益に与える影響、つまり利益感度についてご説明させていただきます。