ランチェスター戦略シリーズ、今回は「弱者の戦略」についてです。
経営がうまくいっている中小企業・スモールビジネスは必ずと言って良いほどこのランチェスター弱者の戦略を応用してビジネスをしています。
弱者が強者と同じ戦略で同じ土俵で戦っても勝てる可能性は万に一つもありません。
ぜひ強者の戦略と弱者の戦略の違いを理解して、強者の隙を見つけ弱者の戦略に徹してビジネスをして、突破口を見つけてもらえたらと思います。
強者の戦略についてはこちら。
→ランチェスター戦略:強者の戦略5つの基本とは?
ランチェスター戦略って何?とか、強者と弱者って何?って方はぜひ過去記事を先にお読みいただけたらと思います。
→中小企業が参考にすべきランチェスター戦略における強者と弱者の違いとは?
→ランチェスター戦略に基づく企業の資源配分の原則はお客様獲得に8割の資源を配分すること
この記事の目次
ランチェスター戦略、弱者の基本戦略5つ
どこかで「基本戦略5つ」に関して記憶があるかもしれません。
そうです、強者の基本戦略も5つでしたね。
強者ー弱者の順で、
総合主義 VS 一点集中主義
広域戦 VS 局地戦
遠隔戦 VS 接近戦
確率戦 VS 一騎打ち
誘導戦 VS 陽動戦
と対応していきます。
強者の戦略についてはこちら
→ランチェスター戦略:強者の戦略5つの基本とは?
弱者の戦略は基本的には「差別化」になります。
強者が手を出さないようなニッチな市場やニッチな商品サービスを展開し、その市場の中で早く他の追随を許さない圧倒的なNO1を作ることが弱者の戦略の基本となります。
それではそれぞれの戦略を見ていきましょう。
一点集中主義
あれもこれもではなく、一つのことに持てる資源を集中することが一番大切なことになります。
強者には総合の経営資源で負けているかもしれませんが、一点に集中すれば強者が総合主義で分散しているため、その一点においては強者に勝てる可能性があります。
商品構成にしても市場にしても、限られた資源を分散しては強者には勝てません。
一点集中主義とは捨てる部分を決める戦術ともいえます。
局地戦
強者が注目していない四角を狙いましょう。
小規模都市や田舎を狙うなどの当たり前の方法から、美容室であればくせ毛に悩む高校生を狙うなど、ニッチなターゲットに絞り、競合他社がいないか弱い、少ないところを狙います。
接近戦
強者が間接販売やマスメディアを使って広く多くの人に届くように遠隔戦を使っているのに対し、弱者はなるべくお客様と直接やり取りをする接近戦を取ります。
結果、お客様の要望や声が直接届くことにより、より小回りの聞いた対応ができます。
一騎打ち
一騎打ちとは、大多数と戦うのではなく、攻撃目標を決め一対一で戦うことをいいます。
テレビなどを使ったブランディングは一対多の戦いですが、同業他社のうち1社に目標を定め、そこに勝てるように徹底的に自社の商品・サービスや販路などを磨きます。
陽動戦
強者に戦術を知られてしまったら、真似をされてしまい弱者が勝てる要素はなくなってしまいます。
常に右に行くふりをして左に行くなど、陽動が必要になります。
また相手に行動を知られないようにするための隠密行動も必要となってきます。
手の内を明かさない、常に陽動し続けることが弱者には必要です。
ランチェスター弱者の戦略の3つの重点項目
上記の5つが基本となる5つの戦略ですが、その5つを応用した下記の3つが弱者にとって最も重要となります。
ナンバーワン(NO1)主義
ランチェスター戦略でいうところのNO1は、ただ1位であるというだけではありません。
ナンバーワン(NO1)とは2位以下を圧倒的に突き放している1位のことだけをナンバーワンと呼びます。
圧倒的というのは、市場シェアで2位以下を3倍以上引き離している状態をいいます(広域戦では1.7倍ですが割愛)
弱者は、地域、得意先、商品なんでも良いからナンバーワン(NO1)になれる場所を探します。
見つからなければ、見つかるまで細分化します。
弱者は①地域、②得意先、③商品の順で細分化したほうが勝率は高くなります。
つまり、地域を絞って細分化していくことが最高の方法ということになります。
地域を絞るのが一番簡単な方法である上に、営業効率もあがり、②の得意先シェアもあがり、得意先の中でのナンバーワン(NO1)にもつなげやすいからです。
競争目標と攻撃目標の分離
・競争目標は自社とシェアが伯仲している企業か、若干上にある企業を選ぶ(差別化戦略)
・攻撃目標は自社よりシェアの低い企業、特に自分よりすぐ下のシェアを持つ企業にする(ミート戦略)
競争目標に対してはどう差別化していくか、どうやったらナンバーワンをとれるかを考えますが、実際に攻撃する相手は下位の企業です。
まずは下位の企業のシェアを奪うことに集中します。
せこいようですが、勝てない相手とは戦わず、勝てる相手とだけ戦うのは、戦争だけでなくビジネスでも同じです。
一点集中主義
ナンバーワン(N01)主義で細分化した市場に、持てる資源を一点集中し、占拠率40%を超えるまで徹底的に続けることです。
自社より下の市場を奪いつづけ占拠率40%以上を確保できれば、競合にそう簡単に負けなくなります。
この40%を超えるまでは「やらないこと」を決め、ひたすらその細分化した市場で40%を超えるために戦い続けることが大切です。
弱者ほど手を広げたがりますが、ランチェスター戦略においては、この「狭く絞り込むこと」が重要です。
その他のランチェスター弱者の戦略で重要な項目
上記と重複する点もあるかもしれませんが、より具体的な弱者の法則になります。
軽装備の実行
いつでもその市場から徹底できるように、大きな投資が必要で資金が固定化しそうな戦い方は避けることが必要です。
例えば、店舗が必要な業種だったとしても、土地・建物・内装を自前で買わず、土地・建物は借り、居抜き物件を選ぶなどの工夫が必要です。
資金が固定化していると、強者がミート戦略で市場に参入してきたときに、撤退ができなくなります。
長時間労働
長時間労働は悪という風潮がありますが、起業したてや小さな会社や事業の経営者はそんなことは言っていられません。
時間は誰にでも与えられた唯一平等なもので24時間あります。
ランチェスター法則では、時間にはルートがかかるとされていて、7時間労働を基準に人の4倍働くとしたら、7時間×√4=14時間とされています。
つまり、
2倍なら10時間
3倍なら12時間
ということになります。
ランチェスター必勝の法則では、
人の約3倍投入すると大体勝て、
約4倍投入すると圧勝とされています。
5倍投入する方法は、決死型と呼ばれています。
編集後記
ランチェスター弱者の戦略について書きました。
抽象的な話も多かったかもしれませんが、これが原則中の原則の話となります。
事例で知りたい方は小さな会社のすごい社長!を参考にしてみて下さい。
儲かっている中小企業は必ずと言って良いほど、このランチェスター弱者の戦略を活用しています。
ポイントは細分化と集中です。
とにかく勝てる市場を自ら作り出すことが大切です。
経営はお客様作りが最も大切です。ドラッカーも経営は顧客の創造と言っています。
ランチェスター戦略は営業のための戦略です。
ぜひランチェスター戦略を自社のお客様づくりの参考にしていただけたらと思います。
次回以降で更にランチェスター戦略の応用に迫っていきます。