貸借対照表の見るべきポイントは資金の流動性です。
資金調達がすぐに支払わなければいけないお金でしているのか、長期間または返済不要なお金を中心でしているのかによって企業の安定性は大きく変わってきます。
簡単な貸借対照表の見方とポイントをお伝えしています。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は『一目でわかる!簡単な貸借対照表のポイントは資金の流動性です。』です。(編集前のメルマガは2015年4月29日(水)に配信されています)
この記事の目次
良い貸借対照表とは?
良い貸借対照表とはいったいどんな貸借対照表でしょうか?
以前、自己資本比率が大切と行ったお話を覚えていらっしゃるでしょうか?
忘れてしまった方はこちらから
→【VOL50】貸借対照表で見るべき大事な数字:自己資本比率とは?
貸借対照表の右側は負債と資本から構成されていて、資本は右側の下の段になります。
右側はお金の調達を表しており、負債は返済が必要なお金、資本は返済の不要なお金の調達となります。
貸借対照表の左側(資産)がお金の運用、右側(負債・資本)がお金の調達という話はこちらでご確認下さい。
→【VOL48】貸借対照表とは?BS経営のための貸借対照表の読み方の基礎
貸借対照表は流動性配列法に基づいて科目が並んでいます
貸借対照表というのは面白いもので、お金への換金性が早いか遅いかで並び順が決まっています。
左側の資産は、現金、受取手形、売掛金、商品・・・と入金するスピードが早く正確なものから並び、右側の負債は支払手形、買掛金、短期借入金などと、支払のスピードが早く可能性が高いものから並びます。
資産は、流動資産、固定資産、繰延資産から構成され、負債は、流動負債、固定負債で構成されます。
また、資本の部は、資本と利益剰余金で構成されます(厳密には若干違いますが)
流動資産、固定資産、繰延資産で構成される資産の部
流動資産とは、現金預金、売掛金、未収入金などの1年以内にお金になるものが載ってきます。
固定資産とは、土地や建物、車両、ソフトウェアなど1年を超えて企業で使用するものが載ります。
繰延資産とは、ちょっと難しいのですが、不動産の権利金など一括で払うのですが、不動産の契約期間の年数に按分して経費にしなければいけないものの仮勘定となり、換金性がほとんどないものが載ってきます。
つまり、上側に載っていれば載っているほど換金性が高いということになります。
流動負債、固定負債、資本、利益で構成される負債の部と資本の部
一方、右側は、
流動負債とは、支払手形、買掛金、短期借入金などの1年以内に支払をしなければいけないものが載ってきて、
固定負債とは、長期借入金や設備支払手形、長期未払金などの支払が1年を超える長期間で支払や返済が可能なものです。
資本は、株主が出してくれた元出であり、半永久的に返済や支払は不要のもの、
利益剰余金は会社が出してきた利益の積み立てであり、永久的に返済不要なお金です。
つまり、下にいけばいくほど返済が不要または長期間で良いものとなります。
流動性(換金スピード)で会社の安定性がわかります
長期間入金しない資産ばかり持っていて、すぐに支払わなければいけない負債ばかりある会社と、すぐに換金できる資産がたくさんあり、返済不要または長期にわたって支払または返済すれば良い負債が多い会社では、どっちが安定した会社かは一目瞭然だと思います。
結果、良い貸借対照表とは、左側(資産)は上のほうの科目ほど金額が大きく、右側(負債・資本)は下のほうにいけばいくほど金額大きい貸借対照表が理想となります。
次回は、そのバランスを示す数値指標(自己資本比率や流動比率など)についてです。