金融機関シリーズです。借入をするときに聞き慣れない言葉がたくさんあると思います。
借入の基礎知識といえるような内容を1つ1つお伝えしていきたいと思います。
まずは担保についてです。
金融機関シリーズは第1弾が金融機関の種類と選び方でした。
→経営者が知っておくべき金融機関の種類と選び方 ①都市銀行と地方銀行編
→経営者が知っておくべき金融機関の種類と選び方 ②信用金庫・信用組合と政府系金融機関 編
→結局どうやって金融機関を選んだら良いのか? 都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合、政府系金融機関
今回からは担保について解説していきたいと思います。
担保とは
担保ととは簡単に言えば、金融機関がお金を企業に貸した時に、万が一返せなくなった時に、どうやって返済しておくかを担保しておく方法のことを言います。
簡単に言えば、質屋でお金を借りるときに質草に入れるものみたいなものです。
質草に入れたもの(例えば時計など)は、お金を期日までに返済できなければ、質屋さんはその時計を売って返済金代わりにする、というのと全く同じです。
保全率とは?
金融機関独特の考え方に保全率というのがあります。
例えば5,000万円貸して、4,000万の担保をしてもらえれば、4,000万円÷5,000万円=80%ですから、保全率80%と計算します。
質屋で5万円貸して、8万円で売れる宝石を預かれば、保全率は8万円÷5万円=160%ということになりますね。
日本の金融機関はまだまだ担保主義
金融機関が見るものは、まずは決算書、つまり過去の業績、そして次が担保と言っても過言ではないくらい担保主義です。
無担保で借りれるのは創業融資の制度の1部とよっぽど実績を積んだ優良企業だけといっても過言ではありません。
極端な話ですが、決算書、つまり業績が悪くても、どこの担保にも入っていない不動産でもあれば、それを担保に借入ができると言っても言い過ぎではありません。
無担保融資はないのか?
前述した通り創業融資の制度の1部とよっぽど実績を積んだ優良企業だけといっても過言ではないくらい無担保というのはありません。
特に法人の場合には代表取締役の連帯保証は必ずと言っていいほど求められます。
理由や連帯保証とは何かは後ほど。
保証協会付融資とは何か?
無担保と勘違いしやすいのが保証協会付の融資です。
基本的には前述の代表取締役の連帯保証は求められるケースが多いのですが、不動産等の担保を求められないことが多いので無担保と勘違いするケースがあります。
連帯保証を求められないケースもあります。
実務的には保証協会付融資は活用すべきですし、金融機関側も進めてきますが、実態は担保の代わりに保証協会というところが、金融機関に対して、企業が返せなくなったら保証協会が返済しますよという制度で、その代わり企業は保証協会に保証料を払う必要があります。
不動産を借りたことがある方ならわかると思いますが、不動産会社や不動産管理会社または物件によって、保証人を求める会社と保証会社へ保証料を払うことで不要のとこがあると思います。
ここで言う保証協会とは、不動産賃貸の場合の保証会社のようなものだと思って頂ければと思います。
細かい説明はまたの機会にしますが、不動産等の担保を金融機関に入れていたはずなのに、いつの間にか保証協会側の担保に入っていたということもおきます。(いつの間にかなのか、説明があったのに経営者が理解していなかったなのか微妙なところですが…)
金融機関に不動産等の担保を入れていて、その金融機関から保証協会付の融資を受けようとする企業は注意が必要です。
担保は何のために必要か
もうお気づきかもしれませんが、金融機関が貸したお金の回収がより確実にできるように必要なものとなります。
その方法が、保証人であったり、不動産であったり、保証協会であったり、その他のものであったりします。
前述しましたが、日本の金融機関はまだまだ担保主義です。
近年、決算書などの業績も重視するようになってきましたが、将来性にかけて融資してくれるようなケースはまだまだ稀です。
保全(金融機関の貸付金の回収の安全性)が非常に重要となり、それを得るためには担保をとることが合理的なわけです。
編集後記
担保とは何か、そして金融機関がなぜ担保を欲しがるのかがなんとなくわかって頂けたかと思います。
結局どうしたら良いの?という声が聞こえて来そうですが、まずはどういう仕組み考え方で金融機関が運営されているのかに、もうしばらくお付き合い頂けたらと思います。
次回から、人的担保と物的担保の特徴や違い、また、保証人と連帯保証人の違い、抵当権と根抵当権の違いとメリット、デメリットなどのお話をしていこうと思っています。
まずは金融機関を知り、次に交渉術を、そして経営に活かしていって頂けたらと思います。