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上場企業の財務分析第5弾です。
前回の幸楽苑に引き続き、今回は日高屋についてです。
同じような業態の事業だと財務状況も似てくるのか、それとも全く違ったものになるのか、比較しながら見ていただくと数字が表す企業の業績が見えてくると思います。

また、以前の回転寿司業界の分析とあわせて見ると、業態による違いも見えてくるのではないでしょうか?

参考:
【VOL67】上場企業の財務分析:かっぱ寿司の業績

【VOL68】上場企業の財務分析:スシローの業績

【VOL69】上場企業の財務分析:くら寿司の業績

【VOL70】上場企業の財務分析:幸楽苑の業績

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【VOL1】起業したら真っ先に見るべき会計の3つの数字

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今回は『上場企業の財務分析:日高屋の業績』です。(編集前のメルマガは2015年9月9日(水)に配信されています)

日高屋のIR情報

今回は幸楽苑と日高屋の比較の第2回目ということで日高屋の平成27年2月期のIR情報である有価証券報告書に基づいて財務分析をしていきます。

いつものように「企業名 IR」で調べると簡単に出てきます。

前回の幸楽苑が平成27年の3月期の数字で、今回の日高屋が平成27年2月期の数字ですから、直近で、かつ、同じくらいの時期の数字なので、比較対象としては非常に理想的です。

ちなみに日高屋の正式名称は「株式会社ハイデイ日高」です。

幸楽苑の重要指標

平成27年2月期
売上高・・・・・約344億
粗利益額・・・・約250億
営業利益・・・・約41億
経常利益・・・・約40億
当期純利益・・・約23億

減価償却費・・・約14億

総資産・・・・・約232億
純資産・・・・・約169億

有利子負債・・・約5億(リース負債を含む)

どうでしょうか?驚きの結果だったのではないかと思います。
売上規模、粗利益額はほとんど変わらないにも関わらず、経常利益は日高屋のほうが約4倍も儲かっています。
また、有利子負債も幸楽苑に比べ日高屋は17分の1と、借入金も少なくすんでいます。(総資産の額はほとんど同じです)

日高屋の総資本経常利益率は?

経常利益(約40億)÷総資産(約232億)=約17.2%

理想は10%ですので、理想より高く、効率的な経営ができていることがわかります。
幸楽苑は3.6%でしたので、同じお金を使ったら日高屋のほうが約5倍の利益がでるくらい経営効率が違うことがわかります。

日高屋の償還年数は?

幸楽苑の比較のときと基準を同じくするためにも当期純利益を使います。
なお、有利子負債は、短期借入金、長期借入金、1年以内返済長期借入金、リース債務をいれています。

有利子負債(約5億)÷(税引き後利益(約23億)+減価償却費(14億))=約0.1年

10年を超えたら危険と言われていますが、日高屋はその気になればすぐにでも借金を返済することができるということになります。

逆に言えば、金融機関からの借入の枠がまだまだ残っているということになりますので、新しい投資がしやすい環境にあるということもいえます。

日高屋の自己資本比率

純資産(約169億)÷総資産(約232億)=72.8%

50%を超えたら理想と言われていますので、72.8%というのはほとんどの投資を自己資本でまかなえているということになりますので、財務基盤のしっかりした優良企業といっても過言ではありません。

上場企業と考えると・・・

悪くもないが、安心できるほど安全圏でもないという状況といえます。

幸楽苑が土地、建物、リース資産などに約145億の投資しているのに対し、日高屋は約99億なのでやや少なめなのも関係ありますが、土地や建物を含めた総投資額(=総資産)は幸楽苑が250億、日高屋が232億とほとんど変わらないため、いかにその投資の多くを自己資本でまかなえていることがすごいことかわかるのではないでしょうか?

ちなみに幸楽苑の自己資本比率は38.2%でした。

日高屋の損益分岐点比率

100%ー(経常利益(約40億)÷粗利益額(約250億))=84%

損益分岐点比率80%が一つの基準ではありますので、若干足りていませんが、幸楽苑の96.7%と比較をすると余裕のある数字といえます。

ちなみに粗利益率は粗利益額(約250億)÷売上高(約344億)=72.7%

幸楽苑が73.2%ですので、やはり同じような業態だと同じような粗利益率になる傾向があり、回転寿司業界をみたときのようにスシローが原価率が高く、粗利益率が下がっても、食材の質をあげようとしているなどの戦略的違いも、この2社の間にはないようなことがわかります。

参考までに、くら寿司が約54.2%、かっぱ寿司が56.1%、スシローが約50.7%、元気寿司が約59.1%でした。

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編集後記

前回こんな記事を紹介させていただきました。

幸楽苑と日高屋、なぜ明暗が分かれたのか

記事の中では日高屋が有利なように書かれていましたが、数字的にも日高屋のほうが財務基盤がしっかりしていることがわかって頂けたのではないでしょうか?

損益分岐点比率を見れば、売上があと何%減少しても赤字にならないかがわかります。
たしかにどちらも80%を超えていなかったので20%売上が減少したら赤字になってしまいますが、それでも日高屋は84%の損益分岐点比率でしたから、対応能力は幸楽苑より高いことがわかります。

何より、自己資本比率の高さ、そして借入金の依存度が低いのが日高屋の財務が優れている点です。

仮に、業績不振が続いても、過去の利益の蓄積(=自己資本)もありますし、いざとなったら金融機関から借りることもできます。

また、時代の流れのなかで、広告や宣伝などはもちろん、設備なども含む新規投資や新業種、新事業への展開も自己資本があり、金融機関からもお金を借り易い日高屋のほうが有利なのは明白です。

今回の財務分析は1年分の決算書のみを使っていますし、細かい会計基準などは考慮しておりませんので、実際の2社の経営とは違うところがあることはご理解いただけたらと思います。

今回の目的はたった4つの財務分析指標を使いこなすことで、企業の業績がこんなにもわかるということをお伝えすることでした。

もっと細かく財務分析したい方は金融機関の格付け指標を使えばもっともっとよりわかります。
更に3年分を比較することで企業の実態はわかってくるでしょう。

興味がわいた方はぜひやってみてください。

参考:
金融機関(銀行)の融資審査の最大のポイント、信用格付けを徹底解剖

信用格付け対策が重要!信用格付けの企業へのメリットとデメリット

最後に

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