貸借対照表は企業の安定度を見る指標だとお伝えしてきましたが、具体的には貸借対照表のどの数字を見たらいいのでしょうか?
自己資本比率、流動比率に続く重要な指標であるギアリング比率と固定長期適合率について解説しました。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は『安定企業を目指すために抑えておきたい貸借対照表の数字とは?』です。(編集前のメルマガは2015年5月13日(水)に配信されています)
この記事の目次
まずは今までの貸借対照表関係の記事の復習から
今までの記事をお読みでない方はぜひ読んでから、今回の記事もお読み頂けると理解が深まるかと思います。
貸借対照表の最大のポイントといえば自己資本比率です。
→【VOL50】貸借対照表で見るべき大事な数字:自己資本比率とは?
そして、貸借対照表はどうやってお金を調達してきたか(右側の負債と資本)、そのお金をどう運用しているか(左側の資産)を表すものだというのことはご説明させて頂きました。
→【VOL48】貸借対照表とは?BS経営のための貸借対照表の読み方の基礎
更に、貸借対照表は左(資産)も右(負債・資本)も資金の流動性の高いものから順に並んでいるということもご説明しました。
→【VOL52】一目でわかる!簡単な貸借対照表のポイントは資金の流動性です。
前回は貸借対照表で企業の安定度を見るための数字として、自己資本比率と流動資産についてご説明させて頂きました。
→【VOL53】企業の安定度をみるための貸借対照表の数字
貸借対照表の重要指標、ギアリング比率と固定長期適合率
今回は、「ギアリング比率」「固定長期適合率」をご説明させて頂きます。
ギアリング比率とは
有利子負債÷自己資本で計算されます。
※有利子負債とは銀行借入などの利息のつく負債のことです。
別名、レバレッジ比率とも呼ばれ、自己資本の何%の有利子負債を運用しているかを示す指標です。
FX取引などのレバレッジ2倍はギアリング比率200%と同義であり、自分のお金の2倍の他人のお金を使って利益を追求しているという意味になります。
企業の安定度という観点から見ると比率が低ければ低いほど良いということになります。
固定長期適合率とは?
固定資産÷(固定負債+自己資本)で計算されます。
固定的に使う固定資産を返済及び支払不要な自己資本と長期的に支払っていく固定負債でどのくらい補っているかという指標です。
例えば同じ1億の土地を買うにしても、販売目的の不動産の業者などであれば土地は「商品」として流動資産になりますが、製造業などでその土地に工場を立てて長期的に利益を稼ぐことを目的としていれば、「土地」として固定資産となります。
この場合に、すぐに売却する予定の「商品」としての流動資産を短期借入金で購入しているのも危険といえば危険ですが、すぐ現金化できる可能性もありますが、「土地」としての固定資産を短期借入金で購入してしまっては、返済できる可能性は低く企業としては安定しているといえない状況となります。
そこで、長期的に調達した資金で、長期的に利用しようとしている資産をどの程度購入しているかをみるための固定長期適合率という指標があるわけです。
この指標も%と低ければ低いほど安定している企業といえるということです。
(本来は20年利用する予定の土地を20年以上の返済予定の長期借入金で購入することが理想です。または一部返済不要の自己資金)
貸借対照表は企業の安定度を見る指標
自己資本比率、流動比率、ギアリング比率、固定長期適合率の説明が終わりましたが、貸借対照表がいかに企業が安定しているかを見る指標だということがわかって頂けたかと思います。
一方でギアリング比率のように高ければ高いほど、少ない資本で多くの他人のお金を運用できているということになるので、経営効率が良いと考える人も少なくないですが、経営効率はまた別の観点からみることとなります。
次回は貸借対照表と損益計算書のつながり、そして経営効率についてです。