前回、借入金や負債が多いだけで会社や事業が潰れることはほとんどなく、支払手形が一番会社や事業が続けられなくなるリスクが高いことをご説明させていただきました。
では実際に支払手形をなくす、または、減らすためにはどうしたら良いのか?
その具体例を今回はご説明していきます。
支払手形が危険な理由を再確認したい方はこちらから。
→【VOL98】財務体質を強くしたければ支払手形をなくすことから始めましょう!
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今回は『財務体質を強くするための「支払手形を減らす具体的な3つの方法」』です。(編集前のメルマガは2016年3月23日(水)に配信されています)
この記事の目次
期日指定払いに変更する
なかなか難易度が高いですが、仕入先との力関係、支払先の財務状態によってはこれが一番理想です。
月300万円の仕入があって、翌月末に4ヶ月手形を振り出していたとすると、その会社は
買掛金300万円(300万円×1ヶ月)
支払手形1,200万円(300万円×4ヶ月)
となります。
支払手形の発行を辞めて、5ヶ月後に金融機関から振り込むことにすることです。
つまり、
買掛金1,500万円(300万円×5ヶ月)
となります。
これなら、手形を発行しているかしていないかの違いはありますが、毎月の支払金額は同じになりますので、資金繰りの心配は何もいりません。
しかし、そもそも手形というのは、5ヶ月後の支払を口約束や書面の契約だけでは心配だから、決済されなければ倒産するというリスクのあるモノを預かるという意味がありますので、よほど信用力がなければ仕入先は応じてくれないでしょう。
また、仕入先が手形を割引も裏書もせず、期日がくるまで持ち続けているようであれば問題がありませんが、仕入の支払に裏書をしたり、金融機関で割引をして現金預金に変えている場合には、手形をもらえなくなることで、裏書も割引もできなくなってしまいますので、仕入先が資金繰りに困ってしまいます。
なので、非常に難易度が高い方法となります。
ファクタリングという方法を勧めてみる
通常は手形でなければ現金預金に変えられませんが、一定額以上の売掛金(この場合、自社にとっての買掛金)はファクタリングという方法で現金預金に換金することができる可能性があります。
金融機関から借りれない場合の運転資金をまかなう方法や、金融機関から借りるほどではない割引手形と同様の効果を得られる運転資金の調達方法です。
これを仕入先に勧めてみて、手形の発行を辞めさせてもらうことも1つの方法です。
例えば、下記のサイトでは100万円以上の売掛金がある会社であれば、無料でファクタリング可能かどうかの診断ができますので、試してみても良いと思います。
→【資金調達プロ】ファクタリングの10秒カンタン無料診断はコチラ
借入金をして一掃する方法
借入金をしてでも支払手形を一掃してしまうことも1つの方法です。
上記の例題でいえば、
買掛金300万円(300万円×1ヶ月)
支払手形1,200万円(300万円×4ヶ月)
ですので、
支払手形を一掃する為には、1,200万円借りて払ってしまうことです。
その理由は借入金で会社は潰れないからです。
利息が多少もったいなくとも、リスクは最低限にすることが大切です。
詳しい理由は前回の内容を再確認してみてください。
→【VOL98】財務体質を強くしたければ支払手形をなくすことから始めましょう!
一度手形をなくそうとした場合、毎月支払手形の決済にプラスして、買掛金の決済のために新しい支払手形を発行していた分を払わなければいけないため、手形の期間、この場合であれば4ヶ月は支払金額が、通常の2倍となります。
つまり、300万円(買掛金)+300万円(支払手形)=600万円の支払が4ヶ月続くこととなります。
もともと支払手形を発行しようがしまいが、発行して期日のきた300万円については支払があったわけですから、支払金額として増えるのは300万円です。
300万円×4ヶ月=1,200万円が余分にかかる支払となります。
1,200万円借りておけば、この分の支払ができるので手形が一掃できることとなります。
但し、この方法の問題点は、1,200万円余分に借りる余力が会社にあるかという点です。
多くの中小零細企業が、金融機関からの借入は目一杯していると思いますので、なかなか難しいのが現実ではないでしょうか?
中小企業の金融機関との付き合い方はこちら
そして、もう1つの問題点は、上記の計算には返済金額が入っていないということです。
借入の返済ができる利益がでているか?
以前の記事でもご紹介させていただきましたが、短期借入金ならともかく長期借入金は毎月返済することが原則となっています。
もちろん中には1年間は返済不要という借入もありますが。。。
→【VOL91】金融機関(銀行)からの借入は長期でするべきか?短期でするべきか?
例えば、上記の例で1,200万円の借入を5年でしたとしたら、
1,200万円÷5年÷12ヶ月=20万円
つまり、月20万円の返済が発生します。
結果として、支払手形を発行していた時より、300万円の支払(4ヶ月間)+20万円の支払+利息の支払が増えることとなります。
借入の返済=税引き後利益+減価償却費
ですから、上記の計算で、既存の借入返済額+20万円になるかどうか、もしくは余剰現金預金があり、手元現金預金がマイナスになっても4ヶ月耐えられる&その後も20万円の返済を続けられることが前提となります。
支払手形を一掃する時期も大切
例題では毎月300万円の仕入と言いましたが、実際には毎月一定の金額の仕入が発生する会社なんてほとんどなく、季節によって変動する会社がほとんどだと思います。
なので、狙い目の時期は手形を発行する額が少なく、入金が多い月です。
通常であれば「入金が多い=支払が多い」となりますが、実際に仕入れてから支払の時期までが長い支払手形については、意外と「入金が多いが、支払手形の決済は少ない月」というのが存在しますので、ぜひ探してみてください。
借入の返済は季節関係なく一定ですので、どうせなら支払が少ない月を狙って手形を一掃したほうが、金銭的負担は非常に少なくなります。
現金払いに変更することで値引きをお願いする
例えば先ほどの例題で300万円の支払でしたが、仕入先としては5ヶ月後に払われる300万円より1ヶ月後に支払われる295万のほうが嬉しかったりします。
上記の2つの例と組み合わせて使うと有効です。
まず、一斉振込に変えることを通知します。
恐らく嫌な会社が多いでしょう。
次にファクタリングという方法をお勧めします。
それでもダメな会社も多いでしょう。
次に上記例なら、1〜3ヶ月後の現金預金支払にする変わりに、支払期日に応じて値引きをお願いします。
値引きの考え方は、昔から現金で即金払いでするから値引きしてよ!なんていうマンガやドラマを見たことがあるかと思いますが、普通の考え方です。
現金預金というのは、もらうのが、今日より明日、明日より明後日になればなるほど価値が下がっていくのです。
(現在価値への換算の仕方なんていう考え方もあるので、気になる方は調べてみてください。)
単純に、今日300万円もらえれば、何かに投資して年で利益を10%の30万円を稼げるかもしれません。
仮に使わなかったとしても預金をすれば金利がつきます。(対した%ではありませんが…)
借金がある会社であれば、返済できます。
仮に4ヶ月も早く払ってくれれば、1,200万円(300万×4ヶ月)の借金が返済できます。
以上のような理由から、支払期日を早くするということは値引きの理由になるのです。
(支払期日が長いということは、そこに待たせている期間の金利が載っているという考え方も1つの理由です)
つまり、仮に少し高めですが、金融機関金利が年利3%だとしたら、3%÷12ヶ月=0.25%/月ずつ値引きのお願いをしていっていいこととなります。
4ヶ月であれば、1%の値引きをお願いできるわけです。
業種にもよりますが、粗利益率1%変わったら、利益額が大きく変わる業種もあると思いますので、ぜひ交渉していただきたい方法です。
こうすれば、手形の割引をしている仕入業者などは、手形の割引率より値引率のほうが良ければ、値引きしても現金預金を早くもらうほうを選ぶでしょう。
なぜなら、金融機関に割引手数料を払うより、値引きしても手元に残る金額が増えるからです。
この3つの方法をうまく使い分けながら手形を少しずつ減らしていってほしいと思います。
編集後記
以上の
①期日指定払いに変更する
②借入金をして一掃する方法
③現金払いに変更することで値引きをお願いする
の3つが具体的な方法でした。
上記を読んで、理論的にはわかるんだけど、うちの場合、どこから手をつけたら良いかわからない・・・という方も多いのではないでしょうか?
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もちろん入金仕入サイトや決算書を見なければ適切なアドバイスはできないと思います。
ただ、そこまでやるとさすがに無料では対応できませんが、まずは無料のメール相談をしていただき、信頼関係を築くことができてから本格的な相談をしていただければと思います。
中小零細企業はなかなか財務や法務、労務に時間もお金も避けないと思います。
でも、完全に軽視し続けて良いことでもありません。
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