前回は損益面から長期事業計画を考えてみましたが、今回は資金面からのお話です。
前回のお話はこちら
→【VOL20】最低限稼がなければいけない利益を計算してみましょう!長期事業計画の立て方:数値編-利益(メルマガ版財務講座)
実は、赤字でも会社は潰れないが資金がなくなれば黒字でも潰れると言われるほど、資金というのは大切な者です。 事業計画を損益面からしか考えないのは片手落ちですので、資金面からも検討してみましょう。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は「【VOL21】最低必要手元資金とは?長期事業計画の立て方:数値編-資金」です。(編集前のメルマガは2014年09月24日(水)に配信されています)
この記事の目次
長期事業計画を資金面から考えてみましょう
前回は長期事業計画を立てるために、損益面から考えてみました。
今回は資金面から考えてみましょう。
損益より資金のほうが大切です
実は、損益より資金のほうが経営という面では大切です。
黒字倒産という言葉もあるくらいで、利益が出ていても、資金がショートしてしまえば、事業経営というのは、そこで終わりになってしまいます。
ですので、損益から長期事業計画を考えることも大切ですが、資金から長期事業計画を考えることも、とても大切です。
最低必要資金の考え方
いくら手元資金を持っておく必要があると思いますか?
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よく言われるのは、月商の1ヶ月分を切ったら危険、月商の3ヶ月分くらいの金額を手元に持っておくと安心という目安です。
いかがですか?手元資金を月商の3ヶ月分を上回るくらい持っているでしょうか?
もちろん、業種、取引先数、入金支払のタイミングなどの違いにより、変わってくる部分もありますので、一概に月商の3ヶ月分は絶対に必要だとか、絶対に安全だとか言えるわけではありませんが、1つの目安にして見てください。
月商〇か月分という考え方は・・・
余談ですが、個人的には、この月商○ヶ月分という考え方は嫌いです。
なぜなら、赤字の会社や売上が少ない会社、規模の小さい会社、借入の返済が多い場合、目安にならないからです。
どちらかというと、運転資金(すべての支払額の合計)の3ヶ月分以上を持っていることを目安にしたほうが良いかと思います。
それだけ持っていれば、1社からも入金されない状態になっても、会社はもう3ヶ月は事業を継続できることとなるからです。
現実的には、1社からも入金されない事態にはなりにくいですし、されないほどの大きな問題が発生した場合には、支払いを待ってもらったり、金融機関からの借り入れを検討したりと時間的な余裕を作れるからです。
例えば、月間の売上が1,000万円、総経費が900万円の会社の場合、月商の3ヶ月分は3,000万です。
900万の経費しかかからないので、売上や入金が突然なくなっても、3ヶ月以上は継続できますが、仮にこの会社に借入金の返済が500万あったとすると、1ヶ月の支払額は1,400万円となり、計算が違ってきます。
しかし、月商から考えると、そこは全く加味されません。更に、この会社経費が1,500万円かかっていて赤字の会社だとしても、月商から考えたら、必要な手元資金がいくらなのかは変わらないことになります。
ですので、実際の支払額、(経費1,500万円+借入金の返済500万円)×3ヶ月=6,000万円と考えるべきだと思っています。
現実と理想の手元資金の差額こそ長期事業計画に盛り込みましょう!
話が横道にそれましたが、この手元資金の理想の額は、現実に持っている金額と大きく違うことに気付く方が多いと思います。
そこで、この足りない手元資金について、どう補うのか?または、何年かけてその額まで貯めるのかをしっかりと考えてください。
前者は資金調達や資金繰り、後者は利益を出し、どう残していくかというお話になります。
基本的には長期事業計画は前回の利益編でお話した考え方から考えていくのが第一段階になります。
→【VOL20】最低限稼がなければいけない利益を計算してみましょう!長期事業計画の立て方:数値編-利益
しかし、資金を貯めるために利益を増やそうとすると売上や経費、借入の返済も増え、結果として、手元現金預金の必要金額も増えるということを忘れないでください。
まずは前回の利益編の考え方で5年分の長期事業計画をたて、次に、その時の手元資金が足りているのか、足りないならどうするのかを考えてみましょう。
→【VOL20】最低限稼がなければいけない利益を計算してみましょう!長期事業計画の立て方:数値編-利益
次回は、長期事業計画を立てる時に陥りがちな、売上を増やせば良いという考え方についての落とし穴を解説させて頂きます。