設備資金であれば、設備の購入額が借入額になりますが、運転資金の借入額を金融機関(銀行)はどう考えているかご存知ですか?
その根拠となる考え方は必要運転資金にあります。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は『金融機関(銀行)が考える貸し出し可能運転資金の考え方』です。(編集前のメルマガは2015年2月18日(水)に配信されています)
前回まで運転資金の考え方の1つである入金出金サイトについてご説明させて頂きました。
前回までの内容は、こちらの記事から3回分を読んで頂けたらと思います。
http://kigyo-jyuku.asia/424/zaimu-merumaga39-how-to-think-working-capital/
この記事の目次
金融機関(銀行)が見ている運転資金のポイントとは?
今回は金融機関(銀行)から運転資金を借りる際に金融機関が見ているポイントになります。
ぜひ金融機関の考え方を知り財務戦略のお役に立てて頂けたら幸いです。
金融機関からの借入金には大きくわけて2つの種類があり、運転資金と設備資金に大別されます。
運転資金の借入、3つの種類
今回は運転資金のための借入についてご説明させて頂きますので、設備資金については割愛しますが、運転資金にも3つの種類があります。
①黒字だが、サイト負けを起こしていて、資金が回らない
②黒字だが、利益より銀行返済が多いため、資金が回らない
③赤字なので資金がない
赤字の会社には貸したくないというのが本音?
金融機関としては、出来ることなら③の赤字でお金がないところには貸したくないというのが本音です。
なぜなら、赤字ということは将来お金が減ることはあっても増えることが見込めないので、返済もされそうもないからです。
①と②の違いはいずれ説明するとして、金融機関としては③を避けてお金を貸したいですし、仮に①、②であっても、適正金額より多く貸してしまうことは避けたいので、適正金額を決算書(貸借対照表・損益計算書など)から算出しております。
そして①の場合には、前回まで説明してきたサイトを使って考えます。
貸借対照表から見る運転資金の考え方
ここで運転資金の基本的な計算の仕方をご説明します。
必要運転資金=売上債権(受取手形+売掛金)+棚卸資産(商品・製品など)ー仕入債務(支払手形+買掛金)
前回の例題で考えると?
つまり前回までの例題で行くと、
商品を買う1個1万円×100個=100万円→支払い30日後
商品を売る1個1.5万円×100個=150万円→入金60日後
とでしたから、
必要運転資金=売上債権(売掛金2ヶ月分:300万円)+棚卸資産0円ー仕入債務(買掛金1ヶ月分100万円)
ということで必要運転資金は200万円となります。
(計算しやすくするために在庫はない例題となっていたので、割愛します。在庫の考え方はいずれご説明致します。)
以前の内容で、この取引しかなく数ヶ月継続する企業だったら、初期費用200万円は必要と申し上げた理由はここにあります。
ぜひ以前の内容を振り返って頂いて、実際のシミュレーションをご覧になって下さい。
簡単に運転資金のサイトが計算できます
さて、この例題の会社ですが、年ベースで考えると年商1,800万円、仕入1,200万円で利益が600万円の会社となります。
その時の売掛金は150万円の2ヶ月で300万円、買掛金は1ヶ月分で100万円になりますね。
ちなみに売上サイトは何ヶ月?と聞かれたら、下記のような計算が一般的です。
売上債権÷(年商÷12)=売上債権のサイトですので、
300万円÷(1,800万円÷12ヶ月)=2ヶ月
これで、自社の売上債権、仕入債務、棚卸資産のサイトが計算できるかと思います。
あなたが銀行員だったら、いくらお金を貸しますか
さて、あなたが金融機関(銀行)の貸し出し担当者だとして、この会社の社長が来年は2倍の売上になる予定なので、運転資金が不足しそうなので、お金を貸してほしいと言ってきたら、あなたならいくらのお金を貸しますか?
(売上が2倍になる計画の信憑性は高いものとし、その他の条件は現在と変わらないものとします。計算を簡単にするため、月毎に考えず年毎に考えて頂ければ大丈夫です。金融機関の多くもそうしています。)
次回は、この点についてご説明させて頂きます。