利益計画や事業計画を立てたときに、経費は人件費や広告宣伝費などと細かくわけて計画することが多いと思いますが、売上に関しては、売上高とまとめて計画することが多いのではないでしょうか?
売上こそ事業にとって根幹をなす重要なものです。
そして、売上目標を達成するためには、販売計画が必要です。
具体的に3種類の販売計画についてご紹介させていただきます。
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今回は『3種類の販売計画を使って事業を成長させましょう!』です。(編集前のメルマガは2016年1月13日(水)に配信されています)
この記事の目次
必要な販売計画は事業の構造によって違う
まず、3種類の販売計画とは、商品別販売計画、得意先別販売計画、担当者別販売計画の3つになります。
それぞれの具体的な説明は後ほど書きますが、事業の構造、例えば業種によって必要な販売計画は変わってきます。
美容室の場合
例えば美容室であれば、スタイリスト別の売上目標を作ると効果的でしょう。
つまりこれが担当者別販売計画になります。
また、カット、パーマ、トリートメントといった商品別販売計画も持つべきです。
どの商品が売れ筋なのか、どの商品に力を入れて売っていくのか、などを予実で管理する必要があるからです。
ただ得意先別販売計画は必要性があまりないかと思います。
新規のお客様を何人増やすとか、リピート率向上などは意味があるでしょうが、Aさんに何回来てもらって、◯月はパーマをかけてもらうから売上は◯円になるなどと計画を立てても効果は薄いのではないでしょうか?
飲食店の場合
美容室以上に得意先別販売計画は意味がありません。
Aさんに何回ランチを食べてもらってなどと考えても、無意味です。
であれば、商品別販売計画をきちんと立てましょう。
フードとドリンク、ランチとディナーという大雑把な分け方から、メニュー別までありますが、最低でもランチとディナーはわけるべきです。
お客様単価に驚くべき違いがあります。
また、フードとドリンクでは原価率が違いますので、可能であればわけることをお勧めします。
一方で、美容室と違い、担当者別販売計画は意味がありません。
そもそも誰が売るという概念が、一般的な飲食店にはないからです。
建設業の場合
建設業の場合には得意先別販売計画が意味があります。
もっと言えば、(営業)担当者別に得意先別販売計画を立てるべきです。
元請け企業がだいたい年間いくらくらいの工事を出してくれるのかがわかれば経営はやりやすくなるからです。
(BtoCで個人から直請けの工事をしている建設業はこの限りではありません。美容室や飲食店に近くなります)
既存の得意先(元請け)に営業したら売上はどのくらい増やせるのかをまず考え、足りないなら新規の元請け企業を開拓しなければと考えるのが一般的な思考になるのではないでしょうか?
逆にいえば商品別販売計画は不要です。
商品別販売計画の特徴
様々な商品を取り扱い、粗利益率が違ったり単価が大きく違ったりする事業にお薦めです。
年間目標
A商品(利益率10%) 100万円
B商品(利益率20%) 200万円
C商品(利益率30%) 100万円
と
年間目標
A商品(利益率10%) 300万円
B商品(利益率20%) 50万円
C商品(利益率30%) 50万円
では、
売上目標は同じ400万円ですが、粗利益額は前者が80万円なのに対し、後者が55万と変わってきます。
どの商品を売っていくかが大事な事業にとって商品別販売計画は非常に重要といえます。
得意先別販売計画
得意先が少ない、または一定の取引先の売上高が占める割合が高い場合に有効です。
足りない売上を新規開拓によって補うのか、得意先の中でシェアを広げるのかなどを考える参考資料になります。
A社 昨年500万→今年1,000万
どうやって500万増やすか?
ここで前回紹介した行動計画を使うと更に効果的です。
→【VOL88】事業計画は行動計画まで立てるべき3つの理由
お客様の社内の中でのシェアをどうやって増やすか、ランチェスター戦略でいうところのNO1戦略に通じるところでもあります。
ランチェスター戦略についてはこちら
→ランチェスター戦略に学ぶ中小企業の営業戦略:基礎編
担当者別販売計画
誰がいくら売上をあげるかといった目標の立て方です。
専属の営業マンがいる事業やお客様ごとに担当者がつくような事業にお薦めです。
逆にいうと流動的なプロジェクト単位でやる仕事には向きません。
Xという案件は、Aさん、Bさん、Cさんが、Yという案件はBさん、Dさん、Eさん、Zという案件はAさん、Eさんがという感じだと、一人ひとりの売上を集計するのが難しくなります。
また、会社全体の目標を作るというよりは、スタッフに目標を持ってもらうために使うという使い方をしている会社が多い現状があります。
その場合、上記のように流動的なプロジェクトでも、多少工程数がかかっても、売上を分解して個人別に計算しています。
一人ひとりの事業への貢献度がわかる一方で、売上にならない仕事はやらないという弊害がありますが、人事評価制度などを導入している場合には多数採用されています。
単独ではなく組み合わせで使う
担当者別>お客様別>商品別で考えるなども1つの方法です。
AさんがB社、C社、D社の担当だとして、現状売っている商品で買ってもらっていないもの、または新商品をB社、C社、D社のどこが買ってくれるかを考えるという方法です。
例えば、掃除用品を売っていたとしたら、B社は掃除機は自社のものを買ってくれているが、モップはライバルのものを買っているとしましょう。
そうやって絞れば、モップの市場がどうかなんて関係ありません。
自社商品でお客様のニーズを満たし、ライバルに勝てるモップを探すことができれば、売上を増やすことができるのです。
こんな感じで、販売計画は考えるキッカケを作るツールでもあります。
お客様別>商品別>担当者別という考え方もありますし、誰に何を売るのかという商売の基本から考えれば一番一般的な方法ともいえます。
編集後記
事業のほとんどが売上が足りずに廃業していきます。
それほど大事な売上にも関わらず、決算書では売上高という科目でしか表示されません。
販売費及び一般管理費など、多種多様な科目にわけられているにも関わらずです。
決算書で表示されないからといって疎かにしてはいけません。
ぜひ担当者、商品、得意先など、自社の事業に合わせて細分化してみてください。
もし、自分の事業にどの販売計画を立てるかが向いているのかわからない方は、ご相談頂けたらと思います。
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