黒字なら会社が存続できるなら経営は簡単ではありません。
黒字倒産の理由は様々にありますが、まずは最低限稼がなければいけない利益を把握しましょう。
黒字倒産は、利益ではなく資金繰りの問題で倒産するケースが多いですが、実は黒字なのに最低限必要な稼がなければいけない利益を稼げておらず倒産するケースもあります。
今回はそのケースを事例を使って取り上げてみました。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は「最低限必要な利益とは、黒字倒産しないための利益額のことです、一緒に計算してみましょう」です。(編集前のメルマガは2014年07月23日(水)に配信されています)
経営は単純に黒字だから良い!ってことではない理由
今回は具体的な数字を使ってご説明しますが、下記の事例でまずはなぜ黒字なら良いってもんではないのかをご説明します。
借入金が5,000万あって月の返済額が100万円の会社があります。毎月の減価償却費は50万円ですが、いくら利益を稼いだら良いでしょう?
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では、答えです。
この会社毎月30万円の利益を稼いでいるとします。
(本来は税金に関して考える必要がありますが、ここでは割愛し、次回以降ご説明します。)
利益30万円+減価償却費50万円が手元に残りますが、毎月返済が100万円あるので、
利益30万円+減価償却費50万円-返済100万円=▲20万円
つまり、毎月20万円ずつお金が減っていくわけです。
減価償却費については2回目のメルマガで説明しているので、忘れてしまった方はもう一度見てみて下さい。
【VOL2】減価償却費に代表される会計の罠にひっかからないように気をつけましょう!
手元現金がたくさんあれば話は別ですが、なければ利益が出ているのに会社は資金ショートしてしまいます。
黒字倒産と呼ばれるものの理由の1つですね。
黒字倒産しないために必要な利益とは?
売上の何%以上を稼ぐとか、損益分岐点比率を何%にするとか、利益に対する考え方はあり、もちろんそれも非常に大切なわけですが、まずは借入の返済ができる利益を稼ぐのが最低条件です。
この事例ですと、利益は50万円必要ですね。
しかし、それでも返済をしてしまったら、1円も残らないわけですから、最低限だと思っていて下さい。
うちは金融機関から借り換えをしながら経営しているから大丈夫と思っている経営者の方、その考え方はとても危険です。
なぜなら、金融機関の胸先三寸で会社の存続が決まってしまうわけですから。
金融機関に事業存続のカギを握られないための2つの対策とは
もし現在の状況が、毎月の利益+減価償却費<毎月の返済額という状態であれば、至急対策が必要です。
対策方法は2つです。
利益を増やす。現在30万円の利益を50万円にすることです。
そしてもう1つは、借入の返済金額を少なくすることです。
これは銀行交渉とか金融機関交渉と呼ばれるものです。
この事例では5,000万円を毎月100万円ずつ返済していますので、残存返済期間は5,000万÷100万円=50か月(=約4.2年)です。
これが長いか短いかわかりますか?
今回はここまででおしまいです。