事業における効率と能率の違いをご存知ですか?
経営者は能率主義ではなく効率主義に徹するべきです。
経営効率をあげることこそ、経営者の本当の仕事です。
メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は『経営は能率主義では失敗します。経営者の仕事は儲かる事業構造を作ることです。』です。(編集前のメルマガは2014年12月31日(水)に配信されています)
能率と効率の意味を間違えるな!
一倉定先生の言葉によれば、
能率主義に会社を発展させる力はない。会社を発展させるのは収益性のよい製品を売るという効率主義。収益性のよい製品は決して能率的には生産されていない。
作業効率が上がれば利益が増大するというのは、それ以外の条件が変わらない場合。能率以外の条件が変われば利益は減少する。
①社長は能率は部下に任せ、効率に専念しなければ、会社は存続できない。
②効率主義に必要なものは営業活動である。高収益経営の実現、社長がやる。
③効率主義に大切なものは価格政策である。高く売るのは暴利ではない、アイディア料である。
と書かれています。
参考までに、一倉定先生のことを学びたい方はまずこちらがお勧めです。
「一倉定の経営の心得」
能率とは?効率とは?
能率とは、作業の早さ、工場での生産スピードの早さなどを表しています。
効率とは、粗利益率の高さや利益率の高さを表しています。
現場の作業の能率は現場に任せ、利益率の良い商品を取り扱う、開発するというのが効率になり、経営者の仕事だと言っています。
一倉定先生が活躍した時代は、製造業中心の時代ですので、製品という表現になっていますが、今であれば、商品、サービス、市場の組み合わせで効率が産まれます。
例えば…
例が悪いかもしれませんが、私が長い間関わってきた理美容業と税理士業で比較してみましょう。(あくまで数字は例題であり、現実の平均値とは違います)
大雑把な数字ですが、理美容業の1ヶ月の1人あたりの平均売上高は約50万円です。
粗利益率が90%とすると、1人あたりの平均粗利益額は約45万円です。
一方税理士業は1ヶ月の1人あたりの平均売上高は約100万円だとします。
粗利益率は100%ですから、1人あたりの平均粗利益額は約100万円になります。
これが経営効率です。
(もちろんその他の条件、つまり設備費やその他の経費も含めて経営効率です)
もっと言えば、同じ税理士業でも大企業をお客様にするか、中小企業をお客様にするかで、お客様単価は大きく変わりますし、相続やM&Aを中心の商品構成にすると単価があがるという結果になります。
この商品構成やお客様構成により高付加価値事業をつくることが経営者の仕事で、一倉先生のいうところの効率になります。
一方で、1人のカットにかかる時間を削減するためにスピードをあげる、オペレーションを変える、とか、パーマをしている間にアシスタントと協力しながら、1時間に3人のお客様の対応をするなどというのが能率であり、現場の従業員が考えるべき仕事であるというのが一倉先生の考え方です。
(もちろん、経営者は経営が仕事ではありますが、経営に専念できるのは一部の人で、現場も兼ねている人が多いでしょうから、実際には効率も能率も考える必要があるとは思いますが…)
一倉先生のいう効率と能率の違いとは、上記のような定義になり、経営者の仕事は事業構造=経営効率を考えること、作り出すことというになります。
経営効率が数字でわかる魔法の資料
そして、その経営効率は、貸借対照表と損益計算書で数字で確認することができます。
その指標が前回の宿題だった、粗利益率、経常利益率、損益分岐点比率、総資本経常利益率、ROA、ROEといった数字となります。
次回はこの魔法の資料と魔法の指標について解説します。