伝票の作成や、帳票整理の時間、会計ソフトへの入力、経費の精算などなど、経理に時間がかかっていると思っている方は多いのではないでしょうか?
なぜ経理に時間がかかっているのか?それは昔のやり方や独自のやり方を今でもやっているからです。
今では経理の仕事は会計ソフトの発達に伴い誰でもできる仕事になりつつあります。
しかし、財務の仕事は誰にでもできる仕事ではなく、しかも企業にとってとても大切な部分になります。
今回は経理コストの削減の方法、財務と経理の違い、財務に強い会社を作る方法にわけて書いていきます。
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今回は『経理コストを削減して、財務に強い会社を作る方法』です。(編集前のメルマガは2017年8月31日(木)に配信されています)
この記事の目次
1円も利益を生み出さない経理業務
経理はもちろんのこと、総務などの間接部門(直接売上を上げない部門)は、営業や生産、技術という部門に比べて利益を生み出せる機会はありません。
消耗品の削減や振込手数料の削減をはじめ、数字を見て気づける経費削減で多少の貢献はできることはあるかもしれませんが、1円も利益を生み出さないといっても過言ではない経理が中小企業には多くあります。
大企業は経理のみならず法務や人事、労務といった部門を内製化することで、営業や商品開発、生産といった部署の人が自分の部署の業務に集中できるというメリットを最大限に活かしています。
しかし、中小企業では、経理に限らず営業も自分でして、生産も自分でするような総合的な仕事をスタッフがしているケースが多々あります。
縦割り専業でやっていることで専門性が高まり大企業は競争力があります。
これを中小企業が真似をしてもリソースで劣るので勝ち目はありません。
総合化していることで小回りが効き、大企業にできない強みを活かすことにメリットがあります。
そのため、営業方法や集客の方法、商品やサービスを差別化することで、強みにできています。
しかし、経理や総務などの間接部門まで独自化を目指す必要があるのでしょうか?
経理1つに絞ってみても、効率が大事であり、独自性は必要ありません。
独自の伝票を切って独自のシステムで管理するなどというのは無駄にも関わらず、独自といえば聞こえが良いですが、昔のままの工数のかかる仕組みでやっている中小企業が多くみられます。
馬鹿にならない経理コスト
経理にコストをいくらまでならかけて良いのでしょうか?
一説によると限界利益の2〜3%程度と言われています。
限界利益とは?
→【VOL96】売上総利益(粗利益)と限界利益の違いと経営への活かし方!
つまり、少なく見積もっても、正社員を1人おけば、お給料が25万程度とすると、社会保険や福利厚生費やその他の経費(PCや電気、場所など)を含めれば30万円を超えます。
会計事務所のコストが少なくても月3万円はかかります。
33万円÷3%=1,100万円
1,100万円×12ヶ月=約1億3千万円
となります。
粗利益額で約1億3千万円いっていない会社は経理1人雇う余裕はないということになります。
経理は簡単になった?!
昔は領収書から伝票を起こし、仕訳日記帳を書き、総勘定元帳(または補助元帳に転記)し、集計して試算表を作成するという複雑かつ職人技のような知識と技術が必要だったため誰でもできる仕事ではありませんでした。
当然のように簿記の知識が必要でした。
しかし、パソコンやソフトが発達した現在では、お小遣い帳のようなデータをパソコンのソフトに入力すれば自動的に試算表まで作成される時代になりました。
また、ネットバンクの通帳を自動的に読み取ったり、写メをとれば領収書の仕訳が起こされるなど、どんどん誰でもできるように簡略化されています。(まだまだ発展途上ですが・・・)
化石のような経理方法からの脱却を!
中小企業の場合、経営者が経理畑ではなく営業畑か技術畑の出身のケースが多いため、なんとなく経理がブラックボックス化されています。
更には商品やサービスのように他社との競争もないため、昔ながらの経理方法を意味なく続けているケースが散見します。
具体的にいくつか例を紹介します。
もし、今でもやっているのであれば、すぐに改善することをお勧めします。
銀行に行ってきます
これだけネットバンクが普及している時代に金融機関に行ってきますといって頻繁にでかけるのは時間のムダです。
昔であれば振込のために金融機関に行く必要がありましたが、現在はネットバンクで用が足ります。
税金などの国や、公共機関の一部がまだネットバンクの決済に対応していないケースもありますが、電子納税も普及してきています。
電子納税、自動引落、ネット振込で対応できない振込先のほうが少なくなってます。
唯一残るのは、金庫のお金を補充するために金融機関に行くケースですが、これも後述する方法でほぼ無くすことができますので、経理が金融機関に行く必要はほぼ無くなります。
伝票の起票
未だに振替伝票を書いている会社もあるのではないでしょうか?
振替伝票に書く必要はありません。
すぐに廃止しましょう。
会計ソフトに請求書や給与台帳、預金通帳から直接入力するので足ります。
請求書から伝票を起こして・・・伝票から会計ソフトに入力してとやっているのであればムダな作業であり時間のムダです。
伝票で必要なものは、出金伝票と入金伝票ですが、これも後述する方法で限りなく少なくすることができます。
そうすることで、金庫のお金の出入りは伝票など書かずとも出納帳と呼ばれるお小遣い帳のようなもので代用することができます。
金庫の入出金のチェック
経理というと経費の精算をする際に、伝票をチェックして勘定科目が合ってないと注意しているイメージがあります。
また、毎日金庫の残高をチェックし過不足がないかを確認しています。
なぜこんな業務が発生するのかというと、、、
金庫の入出金があるからです。
では、金庫の入出金を極力なくしてしまえば良いのではという話になります。
方法は簡単で、毎月仮払精算書を各スタッフに作ってもらい、給与と一緒に振込で支払うだけです。
これでかなりの金庫の入出金が減りますので、伝票のチェックや残高のチェックがだいぶ削減されます。
スタッフが作ると勘定科目に間違いが生じるのではないかという疑問がありますが、スタッフの仮払はほぼ毎月同じような内容というのがほとんどです。
イレギュラーがあったときだけ税理士さんに確認すれば問題ありません。
また、精算書の提出と一緒に領収書などの添付をするでしょうから、仮に間違っていても税理士のチェックで気づくでしょう。
一時的にスタッフが経費の立替を行うことになるため立替が辛いという問題も、金額が多くなるスタッフには先に仮払で一律5万円などを支給するなどすることで解決できます。
経理は内製化かそれとも外注化か?
経理業務には振込などが含まれるため、責任の大きさが伴いますが、実際には簿記の知識がないパートでもできるように現在ではなっております。
なので、経理に正社員を雇う必要性は中小企業では皆無になってきています。
パートなどの低コストで内製化するか、それとも外注するかはメリット、デメリットありますが、外注化をお勧めします。
外注化がなぜ良いのかはこの記事に書きましたので参考にしてください。
→【VOL145】記帳代行などの経理業務やバックオフィス業務を外注するメリット
外注を勧める主な理由は、
・採用コストの削減(採用するのは外注先です。)
・守秘義務の徹底(社内だとどこから漏れるかわかりません。)
・教育コストの削減(教育するのは外注で、自社では不要です。)
・退職リスクの低減(退職しても質が落ちないようにするのは外注先の仕事です)
などです。
経理と財務の違い
経理は支払や記帳をするのが仕事です。
そしてこれは上記に書いたように工程を削減し、仕組み化すればコスト削減が可能です。
しかし、財務の部分は簡単には行きません。
例えば、
うちの売上が何%減ったら資金繰りがショートするかわかりますか?
今、いくらまでなら投資をできるますか?
金融機関からあといくら借りれますか?
といった質問に答えられる経理の社員は多くありません。
それもそのはず、専門的知識ももちろん必要ですが、お金の話で経営者が興味のある話がわかるのは、やはり経営者だけです。
もし、上記のような質問に応えられる幹部または社員がいるのであれば、とても幸運です。
経営者感覚というのは育てようと思ってなかなか育つものではありませんし、新規事業の立上げや事業部門長をやっていれば身につく可能性がありますが、会計畑ではなかなか機会がなく難しいものです。
ですので、経理にかかるコストは抑えてでも、財務がわかる人財に投資すべきです。
これは中の人財が成長することを目指すのも有りですが、他社の事例をたくさん知っている税理士やコンサルタントを頼るのも方法の1つです。
それをメインの職業にやっている人間のほうが、今までの経験値もそうですが、これから経験する事例の数も圧倒的に多いですし、相談件数も多いので経験による実力が大きく違います。
サラリーマン意識の税理士、コンサルは・・・
税理士事務所の所長や、コンサル会社の社長は、経営者ですので、お金の使い方やお金に対する考え方など、経営者意識を持っている方がほとんどです。
しかし、職員は・・・毎月定額のお給料をもらっているサラリーマンです。
自分のお金で100万円単位の投資をしたことがある人のほうが少なく、下手したら10万円単位のお金ですら慎重な人が多い世界です。
財務の相談をする上で金銭感覚は大切です。
例えば、交際費1つとってみても、交際費というだけで無駄遣いだと思う人もいますが、経営者からしてみれば、誰が相手かによるし、その後を長期的に見てみないと効果があったかなかったか判断しかねるというものが多いはずです。
そのあたりの感覚が合って、かつ、現実的な金銭感覚と投資感覚を持ち、ブレーキをかける役目を担うのが、企業の財務担当です。
サラリーマン意識の人にはなかなか務まりません。
1人のプロを採用し育てるコストを考えれば、自身も経営者である専門家にお願いするのが1番です。
編集後記
中小企業は、商品開発や営業など自社にとってコアな部分で差別化が必要なものは内製化して自社の資産にしていく必要があります。
しかし、それ以外の部分は、コストをかけて内製化するよりも、プロに外注化していくほうが効率的ですし、リスクヘッジにもなります。
その一例が経理であり財務です。
よく経営者が言われる言葉の1つに、「全て自分でやる必要はない、できる専門家に任せれば良い」という言葉がありますが、会社も同様で何もかも内製化する必要はありません。
それを専門にし、得意にしている企業に任せれば良いのです。
外部にアウトソーシングするということはコストがかかりますが、その分経営者はもちろん社内のリソースが空くわけですから、そのリソースで更に売上があがる方法に取り組む、考えるという方向にリソースを使うことこそ経営です。
一番経営において投資効果があるのはマーケティングだと思いますので、リソースを空けてマーケテイングを学び実践してみましょう。
→「営業・集客・販売・マーケティング」 一覧
ビジネスで最初に大切になるのは商品と集客ですので、そこに時間とお金をまずは投入していきましょう。