事業をしていれば、さまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
それは、故意であっても偶然であっても経営者にとっては、悩みの種です。
そんな中でも、催告書に関わるトラブルはよく起こるトラブルのひとつです。
今回は、催告書の基礎とその対応についてご紹介します。
そもそも催告書って何?
催告とは、相手方に対して一定の行為を請求することです。
催告書はそのための書類で、どのような行為を請求するのか、いつまでに請求するのかというようなことが書かれています。
催告書で一番よく知られているのは税金関係です。特に、県・府民税や市町村民税については、納付期限が守られていないと、ほとんどの場合、催告書が送られてきます。
催告書、督促状、催告状の違い
催告書がたいていの場合、なんらかの支払やその他の行為を請求するものだということは、おわかりいただけたと思います。
では、一般的によく言われる、督促状や、催告状とはどう違うのでしょうか?
まず、一番に通っている催告状ですが、基本的な内容は催告書と同じです。
催告状とは年金関係での未納金を支払いなさいという請求の際に送られてくるものです。
また、督促状とは、年金だけでなく、税金や債務の場合にもおくられてきます。
督促状は、市町村民税などでは地方税法によって、納期限から20日以内に送付することが、自治体に義務付けられていますが、催告書よりも一段階前の請求の書状と位置づけられています。
これは、その他の請求の場合も同じことで、督促状が送られてきた場合には、債務(未納金)があること知らせて、支払を促すためのものだと考えておけばよいでしょう。
もちろん、督促状が送られてきた時点で、支払う義務があるもので、支払うことができるのであれば、すぐに対処した方がよいことを申し添えておきます。
企業同士の債権債務の催告書
税金や年金などの公的機関からの督促状や催告書(催告状)については、やはり確認の上、誠実に対応するのが得策です。
事情によっては、減免、免除、などの処置が講じられることもあります。
しかし、民間の企業同士の場合はどうでしょうか。特に、さまざまな取引での債権債務の発生は日常の出来事です。
ただ、景気の悪化などもあり、支払が滞りがちになったり、支払えなくなったりということも現実的には考えられます。
こういったケースで督促状や催告書が関係してくることになります。
基本的には、請求書→督促状→催告書といった種類をかえて、送られてくることがあります。
しかしながら、実際には、企業間など民法の範囲では、督促状も催告書も初めの請求書と同じ効力しか持っていません。
民法の債権は2年間で消滅する
ご存じの方も多いとは思うのですが、民法上の債権は2年以上たってしまうと請求する権利がなくなってしまいます。
そのため、例えば、取引先との掛取引で請求できる高額の債権をもっていたとしても、支払日の翌日から2年がたってしまうと、相手には支払う義務がなくなってしまうのです。
いいかえれば、請求書や催告書がきても、支払の期日(法律的には弁済日といいます)の翌日から2年過ぎれば、支払う義務がなくなるので、いわゆる踏み倒しになってしまいます。
当たり前のことですが、請求する側もだまって2年間を過ごすわけはないので、高額な債権の場合は、時効前に裁判にもちこまれることがほとんどです。
しかし、言うは易し行うは難しの裁判。
できれば十分準備に時間をかけたいところです。
支払われなくなって、裁判でしか結論が出ない場合などは、すでに相当の時間が経っていることがほとんどですので、裁判の準備に時間がかけられないことが多いのです。
催告書の出番
そういった、準備の時間を稼いでくれるのが催告書です。
民法では裁判所以外の方法で相手にその請求を通知する場合(催告ですね)には、6か月間時効に猶予が与えられます。
その6ヶ月間のあいだに、裁判の準備をすることができますし、その催告書自体が証拠になります。
ただし、「時効が終了しないように、うちは毎月請求書を送っていますから、権利が消滅していません」とか、「先月も請求書をだしたので、6か月時効が延長されました」という経営者の方がいらっしゃいますが、それは間違いです。
請求書は、催告書としてみなされますが、毎月送っているからずっと債権が生きているということではありません。
それから、6か月延長されるのは、1回きりです。
ですから、基本的には最長2年と6か月の間に、債権債務の問題は解決しないといけないということになります。
また、反対の立場でいうと、催告書が来てそれに対して返信を出したり、たとえ少額でも、支払いに応じたりすると6か月間の時効が延長されてしまうということです。
身に覚えのある場合はともかく、時効が成立してしまっている借入金などもこの催告書に対して何らかの対応をしてしまうと、相手の請求の存在を認めることになります。
編集後記
催告は書面だけでなく、電話や口頭でも行えます。
しかし身に覚えが無い限り、電話や口頭のものは、むやみに相手をしない方が無難です。
大抵の場合が、内容証明などの書面で催告書を送ってくることがありますが、受け取り拒否ということもできますので、内容証明の郵送物は送り元を確認してから受け取るようにすることをおすすめします。
身に覚えのない場合には、専門家に相談することも視野に入れて行動しましょう。
例えば「支払督促」は、2週間以内に反論の申し立てをしないと、債権者は簡易裁判所に対して仮執行宣言の申立てをすることができてしまいます。
催告や督促が書面で届いたときは放置せずに、専門家に相談し、適切な対応をしないと思わぬ落とし穴にはまることとなってしまいます。
*必ずご自身の責任において詳細を確認してください