できるだけ節税したいと思うのは普通のことです。(脱税ではありません!)
しかし、節税をしすぎることで資金繰りが厳しくなってしまうこともあります。
資金が潤沢にない中小企業は資金繰りを中心に経営を考えていきましょう。
今回の内容は、メルマガ版財務講座「実践型!経営者向け財務講座 ~財務に強い経営者が見ている数字のポイント~」で過去に配信した内容を再編集して掲載しています。
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今回は「キャッシュフロー経営とは資金繰り中心の経営です。過剰な節税は危険です。」です。(編集前のメルマガは2014年08月20日(水)に配信されています)
この記事の目次
なぜ資金繰り、キャッシュフローが大切か
前回は、借入期間を延ばしてでもキャッシュフローを良くすることの大切さをお伝えしました。
では、なぜキャッシュフローを良くすることが大切なのでしょうか?
これは説明するまでもない愚問ですね。
大きな会社の社長で、手元の資金に余裕がある方は別ですが、中小企業の社長であれば、毎月の資金増減は気になると思います。
その際に、毎月資金が減っているのと増えているのと、どちらが精神衛生上良いかは一目瞭然です。
資金繰りが厳しくなり、資金繰りに頭を悩ませるようになると、その会社はうまくいかないケースが非常に多くなります。
明日の資金繰りの不安を抱えて経営するよりも、商品開発や営業に社長の時間が使える会社のほうが、業績が良くなる可能性が高いのは、普通の事です。
資金繰りが悪化する理由
資金繰りが悪化する理由は、
赤字、設備投資、過剰な借入、過剰な返済金額、過剰な節税等
などなど、いくつかありますが、今回は節税を例にお話をさせて頂きます。
例えば1,000万円の利益が出た場合、法人税等の税率を仮に40%とすると400万円の税額になります。
事業をしている方なら多くの方が思いますし、私も思いますが、出来ることなら無駄な税金は払いたくありません。
脱税はしないけど、節税はしたいというのは、普通の考え方です。
節税事例
例えば、この会社は借入金の返済が、月額50万円あります。
さて、いくらまで節税できるでしょうか?
(節税にはお金が出ていく節税、出ていかない節税など様々なものがあります。
詳しく知りたい方はこちらを→http://belink.asia/archives/414/
更に自社でどう運用すべきかは税理士さんとご相談ください。
今回はお金が出ていく節税を前提にお話をさせて頂きます。)
※今回の例題はわかりやすくするために、減価償却費は加味しないものとします。
例えば半分くらい節税したい場合だと?
1,000万の利益だけど、半分くらいは節税したい!という方は500万円の節税をするとしましょう。
その結果、税金は40%という仮定なので、200万円の納税で済みます。
しかし、返済が50万円×12ヵ月=600万円/年あるわけですから、キャッシュフローは、
利益1,000万円-節税500万円-納税200万円-返済600万円=▲300万円
になるわけです。
資金ショートしないためには?
つまり、この場合、一切節税せず、
利益1,000万円-節税0万円-納税400万円-返済600万円=±0万円
というのが1つの正解です。
税金自体が減っても、トータルの支出額が増えてしまうケースもあるということですね。
現実的には?
しかし、現実には1,000万円の利益が出ても手元に1,000万円のお金がないケースもありますし、節税方法の中には保険などで3年以上継続すると、満額もしくは8割近くお金が戻ってくる貯蓄性のあるものがあったりします。
その場合、借入を有効に活用しながら、節税や納税をする必要があります。
長期的な財務戦略が必要
ここまで来ると企業の5年くらいの長期にわたる事業計画、利益計画、投資計画、資金運用計画、金融対策などの財務戦略が必要になってきます。
財務戦略がなければ企業の成長はありませんが、経営者がそれを勉強して立案、実行するのは非常に難しいので、パートナーが必要となります。
会社にCFOのような存在を雇うことも1つですし、外部に委託することも1つです。
外部に委託するのであれば、まずはお願いしている税理士さんに相談してみることをお勧めします。
ただし、税理士さんの多くは、経営まで考えた財務戦略の立案をできる人が少ないというのも事実です。
彼らは税のプロではありますが、経営のプロではありません。
100歩譲って所長先生は経営者ですから、多少は経営のことがわかるかもしれませんが、所員の人には、ほぼ無理だと思います。
所長先生でも、もう何年も税理士事務所を経営しているのに一向に会社が成長していない事務所であれば、ほぼ相談しても無駄です。
自分の会社を成長させられない人が、他人の会社のアドバイスなどできるわけがないからです。
次回は、財務戦略を立てる上で経営者が知っておかなければいけないことについて解説させて頂きます。
細かい立案は、担当社員や外部パートナーにお願いするにしても、カギとなる部分は経営者がわかっている必要がありますし、これを知っておくだけで、相談相手が財務戦略を相談する相手としてふさわしいかわかる判断基準になると思います。