中小企業の経営者の方には事業計画は金融機関から融資を受けるために作成するものといった認識をお持ちの方も多いかと思います。
それは事業計画を立てる本来の目的を失っていることになります。
事業計画の本来の目的を理解し、適切な事業計画書を作成し活用することにより驚くほど経営が変わります。
この記事の目次
事業計画書の本来の目的
それでは事業計画書の本来の目的とはなんなのでしょうか。
それは経営者や会社または従業員や社会の夢や志を実現するための「魔法の地図」なのです。
夢や志をお持ちの経営者の方は多くいらっしゃいます。
でも、それを具体的にイメージにし形にされている方は少ないのが現状です。
事業計画書はその夢や志を具体的な数字を使いながら形にし、目標達成への明確なルートを示してくれるものになります。
また経営を行っていて途中で迷った場合などに、今の状況を理解し、進むべき道を指し示してくれるものにもなります。
事業計画をもつことの重要性
経営にあたって正確な地図を有しているかどうかはとても重要なファクターになります。
地図が悪ければ、迷いっぱなしの経営になりますし、逆にしっかりとした地図を持つことによりいつでも正しいルートに戻ってくることができるのです。
また、地図を持っていることにより、経営を支えてくれる社員や取引先、金融機関、出資者に対しても明確なビジョンを示すことができるのです。
事業計画書を作成するために必要な情報
事業計画書という地図を作成するために必要な要素は、ヒト、モノ、カネの把握になります。
まず、ヒトは従業員の能力や資格、経験などを把握することを指します。
次にモノは会社の資産にはどのようなものがあり、その資産が会社にもたらすものは何なのかを把握することを指します。
そして最後にカネは、事業運営にあたってどの程度の運手資金がいり、将来得られるキャッシュフローはどの程度あり、また将来の設備投資などにどの程度のお金がいるか、これらを実現するための借入余力やキャッシュフローは十分にあるかなどを指します。
事業計画書のひな形
事業計画書は次の3つからなります。
全体構想
夢や志を実現するためにどういう過程、手段を活用するのかなど大きいイメージをここで具体的にします。
事業計画を立てる上で一番大事なポイントになります。
構想を練る際の注意点としては、市場の環境や課題、社会がどう動いていくのかなどの外部環境についてある程度の予想をたてるとイメージしやすくなります。
具体的な取り組み
全体構想を実現するために具体的にどのようなことをしていくのか、またどのような課題があるのかを示して行きます。
全体構想のなかで出てきた課題を克服するにはどうしたら良いのか、あるいはどのような事業を創出すべきなのかを考え、その具体的アクションプアンを作成していきます。
損益計画表
損益は会社の経営成績を示すものです。
この計画をしっかり立てることにより現実的に今何をすべきか、何が足りないのかが見えてきます。
具体的には目標利益を設定するし、資金繰りなどの点についても見て行きます。
目標利益を設定するための順序としてまずは売上高がどの程度になり、あるいはどの程度にすべきかを考えると、目標利益率も自ずと算出することができ、損益計画を立てやすくなります。
事業計画書の活用
事業計画書は作成しただけではその効果を発揮しません。
日々の会社の運営の中で計画書と照らしあわしながらチェックを行っていくことによってはじめてその効果が現れるのです。
このチェックするということは、まさに車にのってカーナビを付けたときに今の現在地を指し示すことになります。
もし、現在地が解らなければいくら目的地を設定してもカーナビは適切に目的地まで案内してくれませんよね。
企業継続と事業計画
自ら立てた事業計画と向き合い歩み、その歩みを修正していくなかでも自分が目指すべき方向性に迷う時があります。
企業は継続していくことを前提とした組織であり、その為には事業転換や組織転換が求められるますので、これは仕方のないことです。
そんなときに考えるべきことは、自らの会社が社会に対してどのような存在意義があるかということです。
また、社会に対してどのような貢献ができるかになります。
難しく考える必要はありません、大事なのはその事業の先に顧客がいるかどうかなのです。
ピータードラッカーも企業の目的は「顧客の創造」にあると言っています。
つまり企業は継続していくものということを前提とした場合には、事業計画に顧客の存在をみることこそ最高の地図の見方ということになります。
編集後記
人は必ず迷い失敗するものです。
大事なのはその迷いや失敗を受け止めて本来歩くべき道を進んでいくことです。
企業も同じで、失敗や迷いをしっかり受け止めて学び次のステップへ繋げてくれる事業計画書を活用しあなたの会社が繁栄発展していくことを願ってやみません。